1. ベランダの汚れの原因
そもそもベランダにはどういった汚れが溜まるのだろうか?
砂や土(泥)、ホコリなど
まず考えられるのが風にのってやってきた砂や土、ホコリなどだろう。それらが雨と混ざり合い、泥汚れのようにこびりついてしまうこともある。
排気ガスに含まれる油分やススなど
大通りなど交通量の多いエリアにお住まいの場合、排気ガスに含まれる油分やスス汚れなども窓や網戸に付着しやすい。
枯れ葉やゴミ、鳥のフンや虫の死骸など
まわりに高い建物がないエリアなどはとくに、高層階が鳩などの格好の「とまり木」的な場所になってしまうことがあり、おのずとフンも増えてしまう。同じように虫が飛んできてそのまま死骸となって残ってしまうこともある。風が比較的通り抜けやすいベランダであれば、風にのって運ばれてきた枯れ葉や軽いゴミなども溜まってしまうだろう。
洗濯物から落ちた糸くず、海の近くなら塩分も
そのほかにも、洗濯物を干している間に落ちた糸くずや、海が近いエリアでは塩分などが溜まるし、季節によっては花粉などの有害物質も蓄積されていくだろう。
ひとくちに「ベランダの汚れ」といっても、このようにさまざまな原因があり、それぞれ異なる性質を持っている。
ひとくちに「ベランダの汚れ」といっても、このようにさまざまな原因があり、それぞれ異なる性質を持っている。
2. ベランダ掃除には「適した日」がある
ベランダ掃除に適している日と、そうでない日があるのをご存知だろうか?雨が強く降っていてベランダに入り込むような日は当然避けるはずだが、それ以外にもベランダ掃除に向かない日がある。
「曇で風が弱い日」「小雨の日」「雨上がり」はベランダ掃除に最適
曇りで風が弱い日、あるいは小雨の日や雨上がりといった湿度が高い日は、ベランダ掃除に向いている。理由は、熱中症などのリスクが低いほか、風が弱く湿度が高いことでホコリが舞いにくくなるからだ。忙しくてそんなタイミングを待っていられないという方も多いかもしれないが、可能であればこうした日を選ぶようにしよう。
「風が強い日」「陽射しが強い日」は避けたほうがよい
たとえば風の強い日はホコリなどが舞ってしまうため掃除しにくい。戸建てならまだしも、マンションなどではお隣や下階の住人に迷惑をかけてしまうかもしれない。また、たとえ晴れた日であっても暑い日や日差しが強い日などは避けたほうがよい場合もある。とくに直射日光が当たるベランダは、熱中症のおそれがあるため気をつけよう。
3. マンションのベランダ掃除は注意が必要
マンションなど集合住宅にお住まいの場合、ベランダ掃除に際していくつか注意点がある。近隣トラブルを避けるためにもぜひ覚えておこう。なおマンションのベランダを、水を使わずに掃除する方法について後述しているので、知りたい方はぜひそちらを確認していただきたい。
下階への水漏れ
2階以上にお住まいの場合、下階への水漏れの心配がある。多くのマンションではウレタンやシートなどで防水加工が施されているはずだが、中には古くなって防水効果が薄れているケースや、防水加工が行き届いていないケースもある。少量であれば問題ないかもしれないが、大量に流した場合、下階に漏れるおそれがあるため防水の有無を確認しておこう。
規約違反
意外と見落としがちなのがこちらだ。マンションのベランダは、廊下などのように「共用部分」に当たるのをご存知だろうか?したがって入居者が自由に使えるわけではなく、一定の制約がある。避難の妨げになるモノを置かないといったこともそのひとつだが、それと同じように「大量に水を流すこと」を禁止している場合もある。ベランダ掃除の前に規約を確認しておこう。
排水口(排水溝)がつながっている
物件によるが、排水口(排水溝)を隣室と共有しているところもある。ベランダにドレン(金属のフタのついた排水口)がなければ、共有している可能性が高い。そうしたベランダで大量に水や汚れを流してしまうと、隣室のベランダに流れ込んでしまうおそれがある。事前に確認しておくとよいだろう。いずれにせよ、大量の水を一気に流すといったことは避けたほうが無難だ。
掃除機などの騒音やホコリ
隣室がとくに近い場合などは、掃除機やデッキブラシの音、ホウキで掃いたときに舞うホコリなどに対して苦情がくる場合がある。隣室が窓を開けて換気している最中などであれば、それこそ室内にホコリが舞い込むおそれがあるため気をつけたい。作業は慎重におこなうとともに、騒音や粉塵にも細心の注意を払おう。
4. ベランダの鳥のフンを掃除する際の注意点
もうひとつ、ベランダに鳥のフンがある場合、掃除に際して注意点があるのでこちらも先にお伝えさせていただく。
鳥のフンに注意が必要な理由
鳥のフンには、さまざまなウイルスや菌、寄生虫などが含まれているおそれがある。大げさかもしれないが、オウム病やクリプトコックス症などは鳥のフンが原因ともいわれている。そんな鳥のフンを掃除機で吸い込んでしまうと、排気から室内に入り込んでしまったり、ホウキで掃いたときに舞い上がったりするおそれがある。軽視せず慎重に作業にあたろう。
鳥のフンはどう掃除すればよい?
消毒用エタノールをかけてしばらく置いておく。やがてふやけてきたら、使い捨てのウエスやダスターなどで拭き取り、そのまましっかり包んでゴミ袋へ捨てるなどしよう。フンが付いていた場所にもエタノールをかけて消毒しておくとより安心だ。
5. 簡単なベランダ掃除のやり方
それでは、ベランダ掃除について解説を進めていこう。まずは簡単に済ませる方法から紹介していく。
掃除機と雑巾だけで掃除する方法
水に濡らして固く絞った雑巾で手すりなどを拭き掃除し、最後に床を掃除機で掃除すれば完了だ。これだけでも目に見える汚れやホコリ、ゴミなどを取り除けるので、見た目はキレイになる。
新聞紙とホウキだけで掃除する方法
掃除機が使えない(使いたくない)という場合は、少々手間だが新聞紙とホウキでも掃除できる。手すりなどは同じように雑巾で拭き掃除し、床には細かくちぎって水に濡らした新聞紙を撒く。あとはホウキでその新聞紙を掃けばOKだ。新聞紙が汚れを吸着してくれるため、掃除機を使ったときと同じようにキレイになる。
6. 入念なベランダ掃除に必要な道具と手順
続いて、入念なベランダ掃除のやり方を解説していく。まずは揃えておきたいアイテムと大まかな流れから確認していこう。
ベランダ掃除に使うアイテム
- マスク
- ホウキとチリトリ
- バケツ
- 雑巾
- デッキブラシ
- 使い古しのブラシ
- 重曹(またはセスキ炭酸ソーダ)
- エタノール(鳥のフン用)
- 掃除機
- ゴム手袋
- 新聞紙
40〜45℃程度のお湯をバケツにくみ、粉末の重曹を溶かしておこう。分量はお湯1Lにつき重曹大さじ3〜4杯が目安だ。空のスプレーボトルがあれば、水100mlにつき小さじ1杯の重曹を溶かした重曹水スプレーを用意しておくとより便利である。なお重曹には研磨作用があるため、ベランダの床が柔らかい素材や傷つきやすい素材だった場合は控えたほうがよい。また木材の場合も、染み込んで変色するおそれがあるため使わないほうがよいだろう。その場合、台所用中性洗剤を薄めたもので代用しよう。
入念なベランダ掃除の手順
- ベランダに置いてあるモノを移動する
- 鳥のフンがあれば、先にエタノールをかけて拭き取る
- ホウキで手すりや室外機など「上から下へ」汚れを落としていく
- 手すりや腰壁、室外機など水拭きできる場所は水拭きする
- ホウキとチリトリで床や排水溝を掃除する
- 床に重曹水をまく
- デッキブラシでこすり洗いする(目地など細かい部分は古い歯ブラシを使う)
- 床を水でしっかり洗い流す
- 排水口に溜まった汚れを取り除く(細かい汚れは古い歯ブラシを使う)
この流れで行くと、ベランダの上から下に掃除ができるので効率がよい。最後に水で洗い流すのを控えたい方はちぎって濡らした新聞紙で吸い取るか、後述する水を流さない方法で掃除しよう。それでは具体的な掃除方法をひとつずつ解説していく。
7. 入念なベランダのやり方|「床」「窓」
それでは、場所別に詳しいやり方を見ていこう。
床の掃除方法
鳥のフンはエタノールを使って先に取り除いておくとよい。また大きいゴミなどは掃除機で吸い取るか、ホウキで掃き掃除をして取り除いておこう。ある程度キレイになったら重曹水を撒いて、デッキブラシでこすり洗いをする。最後に水を流して完了としよう。
窓の掃除方法
大きなホコリなどはホウキで先に落としておくとよい。次に水に濡らして丸めた新聞紙で拭き掃除をし、乾いた新聞紙で拭き取る。これだけでかなりキレイになるはずだ。なお、古いストッキングなどがあればそれを活用してもよい。スポンジのように丸めて使えば、濡らさなくても汚れをキレイに落とせる。
8. 入念なベランダ掃除のやり方|「室外機」「手すり」「腰壁」
続いてエアコンの室外機や手すり、腰壁などの掃除方法を解説する。
室外機の掃除方法
内部の掃除は難しいが、せめて外側だけでもキレイにしておこう。最初に表面の汚れを掃除機またはホウキを使って取り除き、水に濡らして固く絞った雑巾で水拭きをする。網目部分などは使い古しの歯ブラシなどを使い、最後に掃除機で吸い取れば完了だ。
なおフィンと呼ばれる、室外機の裏側に設置してあることの多い金属のパーツは、非常に繊細だ。力を入れるとすぐに曲がるなどしてしまう。ブラシなどでこすり洗いをする際は柔らかいものを使うことと、ブラシ以外の部分が触れないように気をつけることなどを意識しよう。
なおフィンと呼ばれる、室外機の裏側に設置してあることの多い金属のパーツは、非常に繊細だ。力を入れるとすぐに曲がるなどしてしまう。ブラシなどでこすり洗いをする際は柔らかいものを使うことと、ブラシ以外の部分が触れないように気をつけることなどを意識しよう。
手すりや腰壁の掃除方法
鳥のフンはエタノールを使って取り除く。あとはホウキで汚れを落とし、水に濡らして固く絞った雑巾で拭き掃除をすればよい。
9. 入念なベランダ掃除のやり方|「側溝」「排水口」
最後は、ベランダの側溝や排水口の掃除方法だ。
側溝や排水口の掃除方法
床と同じようにまずは大きなゴミを取り除き、重曹水を撒いてデッキブラシでこすり洗いをする。排水口はゴム手袋を装着して枯れ葉や泥などを取り除き、細かい部分は使い古しの歯ブラシなどで掻き出そう。最後に水を流して完了だ。
10. 水を流さずにベランダを掃除する方法
マンションなど集合住宅のベランダ掃除では水を使いにくいことがある。そこで、続いては水流さずに済むベランダ掃除の方法を紹介しよう。先ほど紹介した重曹スプレーを用意しておこう。
水を流さないベランダ掃除の手順
- ベランダに置いてあるモノを移動する
- 鳥のフンがあれば、先にエタノールスプレーをかけて拭き取る
- ホウキで手すりや室外機など「上から下へ」汚れを落としていく
- 手すりや腰壁、室外機など水拭きできる場所は水拭きする
- ホウキとチリトリで床や排水溝を掃除する
- 新聞紙を濡らして細かくちぎり、床に満遍なくばらまく
- 新聞紙をホウキとチリトリで取り除く
- 重曹スプレーを床全体に吹きつけ、5分程度放置する
- デッキブラシや古い歯ブラシで床を磨いていく
- 濡れ雑巾でよく拭き取る
- 乾拭きする
少し手間だが、水が流せないベランダ掃除はこの方法でキレイにしよう。汚れが残ってしまい、どうしても水分がほしいというときは、ジョウロなどでごく少量ずつまくとよい。また掃除機が使えるなら床の大きなゴミやホコリを吸ってもよい。ただし鳥のフンには気をつけよう。
11. ベランダ掃除の頻度
ベランダ掃除は大掃除など年に1回程度、あるいは台風などが去ったあとだけ、といったご家庭も多いだろう。当然だが汚れが溜まるほど掃除は大変になるため、できればコンスタントに掃除をしておきたいところだ。
理想は月1回の入念な掃除
常にキレイなベランダをキープしたいのであれば、月に1回は念入りに掃除をするとよい。とはいえ共働きのご家庭も多く、毎月となるとやや非現実的かもしれない。
少なくとも月1回は簡単に、3カ月に1回は念入りに掃除をしよう
ベランダの入念な掃除に時間を割けないという場合は、掃除機と雑巾、あるいは新聞紙とホウキを使った簡単な掃除を月に1回実践し、入念な掃除を3カ月に1回などと決めておこなおう。
12. ベランダ掃除を楽にする日々のお手入れ
ベランダの掃除は一気にやると大変だが、ちょっとした工夫で掃除が楽になる。
日々の「ついで掃除」がおすすめ
たとえば洗濯物を干したり取り込んだりするついでに、手すりや室外機を水拭きする。床は気づいたときにゴミを拾ったり軽く水で流しておいたりするだけでも汚れが溜まりにくくなる。日々のこうしたひと工夫で、そのベランダ掃除もだいぶ楽になるはずだ。
13. ベランダ掃除におすすめのアイテム3選
最後に、ベランダ掃除にあると便利なアイテムを紹介しよう。
タイショー産業「ぐんぐん伸び〜る 魔法のホ〜ス」
5〜15mまで伸縮するホースだ。これならベランダに水道がなくても水を流せる。手元にレバーがあるので、水が出っぱなしということもない。軽量で絡まりにくいのも特徴だ。
山崎産業「JP デッキブラシ」
幅20cm、長さ125cmとベランダ掃除にピッタリなサイズ感のデッキブラシである。毛の長さも4cmと十分あるのでしっかり掃除できるだろう。590gと軽いので扱いやすい。
ケルヒャー「高圧洗浄機 K2 クラシック プラス」
壁や床のガンコな汚れ落としには高圧洗浄機もおすすめだ。こちらは軽量&コンパクトサイズで扱いやすく、水圧調節が可能なので洗車や網戸掃除などにも使える。
結論
ベランダは汚れやすいが、外にあるためつい放置しがちだ。だが洗濯物に汚れがついてしまったり、いざ掃除しようとすると汚れがこびりついて大変だったりもする。ベランダに出たときにこまめに掃除しておくなど、ひと工夫してベランダ掃除を楽にしよう。