目次
- ※1参照:大阪大学大学院 理学研究科 化学専攻 有機生物化学研究室「生体内の糖タンパク質の働き」 https://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/kajihara/background.html
- ※2参照:東京月島クリニック「体が"こげる"糖化とは?」 https://rivercity-clinic.jp/imc/anti-glycation/column_01/
1. 糖タンパク質とは?

まずは糖タンパク質が一体どんなものなのか紹介しよう。
糖鎖について
糖タンパク質は糖鎖とタンパク質からなるもので、糖鎖とはガラクトース・マンノース・アミノ糖などの単糖が鎖状に繋がったものを指す。糖鎖がタンパク質と結合すると糖タンパク質、脂質と結合すると糖脂質となり、これらをまとめて複合糖質と呼ぶ。
糖鎖とタンパク質が結合
糖タンパク質はさまざまな単糖が複雑に絡み合った糖鎖がタンパク質と結合したもので、代表的なものに「ムチン」がある。ムチンは動物の粘液を構成する糖タンパク質で、粘りやとろみがあるのが特徴だ。タンパク質が糖鎖と結びついて糖タンパク質になると全体が親水性になり、タンパク質分解酵素から守る作用が期待できる。
2. 糖タンパク質の役割

糖タンパク質がどんなものかわかったところで、次は糖タンパク質の役割について詳しく見ていこう。
身体にとって重要な働き
糖タンパク質は体内でさまざまな働きをすることで知られている。例えば細胞の表面に存在している糖タンパク質は、その分子にある糖鎖が目印になりほかの分子や細胞が結合するとされている。また、唾液などにも糖鎖を含むタンパク質、つまり糖タンパク質が存在する。糖鎖が分子に粘性を与える働きがあるとされている。(※1)
3. 糖タンパク質と糖化の違い

糖タンパク質と似た言葉に糖化がある。ここでは、糖タンパク質と糖化の違いについて詳しく見ていこう。
老化物質のAGEs
糖タンパク質は糖鎖とタンパク質が結合したものだと紹介したが、糖化は体内で余分な糖とタンパク質が結合し、変性や劣化をしてAGEsと呼ばれる老化物質になることを指す。AGEsは体内の老化に繋がってしまう悪玉物質で、糖化が起こると身体に害が出る可能性が高いのだ。(※2)糖化と糖タンパク質はどちらも糖とタンパク質からなるものだが、糖化は身体によくない現象なので注意しよう。体内で糖化が起こることを「身体が焦げる」と例え、自然の老化とは異なる病的な老化を指す。余計な糖質を摂りすぎると糖化が起こるため、バランスのよい食事を心がけるのが大切だ。ただし、低糖質ダイエットなどで過度に糖質を減らすと体調を崩す場合があるので注意しよう。
結論
今回は糖タンパク質とはどんなものなのか、糖化との違いなどを紹介した。糖タンパク質は身体にとってよいものだが、糖化は身体にとってよくないものだ。糖化はファストフード中心の食生活やストレス、睡眠や運動不足で起こる。そのため、できるだけ規則正しい生活をして糖化が起こらないように注意しよう。
(参考文献)