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「ゆとり」と「詰め込み」の違いとは?生きる力を培うための教育って?

「ゆとり」と「詰め込み」の違いとは?生きる力を培うための教育って?

投稿者:ライター 今井里香(いまい りか)

2019年12月 7日

2020年の小学校を皮切りに全面実施される新学習指導要領。その中には「生きる力」という言葉が登場する。実はこの言葉は、平成10年に改訂された学習指導要領いわゆる「ゆとり教育」の頃に登場したものだ。では新学習指導要領はふたたび「ゆとり教育」に戻るということなのだろうか? 今回は「生きる力」というキーワードを通し、ゆとり教育と詰め込み教育の違いや、これからの教育などについて見ていこう。

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1. 文部科学省が重要視する「生きる力」と学習指導要領の変化

「生きる力」は、平成10年に改訂された学習指導要領から登場したキーワードだ。このときは生きる力のねらいを、急速な社会の変化に対応するためとしており、改訂された学習指導要領の内容は、ゆとりある教育によって、主体的に行動することや問題解決能力などを育むことを意識したものとなっていた。

その後も学習指導要領は何度か改訂が行われたが、生きる力を意識していることに変わりはなく、今回の新学習指導要領にも継承されている。

今回の新学習指導要領では生きる力を育むために必要な資質や能力をさらに明確にし3つの柱に整理している。


・知識や技能を身に付ける
・思考力、判断力、表現力などを育てる
・学びに向かう力や人間性などを育てる

またこういった資質や能力を効果的に育むために、「主体的・対話的で深い学び」が必要だとされ、授業の進め方も、これまでよりも能動的なものへと改善されるようだ。

2. 詰め込み教育とはどういったものか

よくいわれる「詰め込み教育」とは、そもそもどういったものを指すのだろうか。

詰め込み教育が始まったのは1971年頃より実施された学習指導要領改訂からではないかといわれている。その結果、授業時数が増え内容も濃密になり、受験戦争の過熱化や落ちこぼれる子どもが増えるなどの問題が持ち上がったとされる。

詰め込み教育の問題点について、大阪市立大学名誉教授の菅野礼司氏は「日本の科学教育は、詰め込み教育で暗記が重視されていることが多く、理数嫌いを増やしてしまっている」(※1)という。

また「詰め込み教育のような従来の教育の問題点は、問題の正否を問うようなものでしかないところにある。しかし本来教育は、暗記ではなく考えることに本質があるのだ」と考える教育学者らも多い。

これらの内容から、詰め込み教育とは暗記をすることに重点をおいたいわゆる知識偏重型の教育といえるだろう。

3. ゆとり教育とはどういったものか

一方「ゆとり教育」とはどういったものなのだろうか。

ゆとり教育は先ほどの詰め込み教育のへの批判を受け、「生きる力」というキーワードのもと、社会の変化に柔軟に対応できる能力を育成しようと考えられたものである。そして生きる力を培うために、一人一人の個性を生かし、子どもの主体的な行動力や問題解決能力などを育てることがねらいだったのだ。

しかし、ゆとり教育のために授業時数を減らしたことや、以前よりも教科の内容が減少したことにより学力の低下を招いたとされ、その後「生きる力」は継承されたものの、ゆとり教育はすぐに見直されることとなった。

4. ゆとりでも詰め込みでもなく「生きる力」を培う教育へ

ではやはり「詰め込み」が良かったのかというとそうでもないようで、「ゆとり教育」後の世代の学力調査によると、ゆとり教育をやめてからも、問題解決能力に関してはあまり伸びてはいないのだそうだ。

ゆとり教育が提唱されたころから一貫して「社会の変化に対応するためには、生きる力を育むことが大切で、そのためには問題解決能力などが必要となる」と主張されている。しかしこの目標は未だ達成されていないということになる。

これまでの反省を受け、今回の新学習指導要領では「脱ゆとり」が掲げられるが、かといって「詰め込み」に戻るわけでもないようだ。しっかりと知識を学ぶが、その学び方を変えることで考える力などを育て、生きる力を培うことがねらいなのである。

結論

今回の新学習指導要領では「生きる力」を培うというねらいのもと、ゆとりでも詰め込みでもない新しい教育を試みようとしているといえるだろう。今後ますます社会は急速に変化することが予測され、ますます生きる力は重要となると考えられる。私たち大人は子どもの生きる力を養うために、新しい価値観を身につける必要があるのかもしれない。

※1 基本に戻った物理教育論を(談話室)  菅野礼司(大阪市立大学名誉教授)

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