目次
- 1. ジュニアシートの設置は絶対なのか?まずは法律を確認
- 2. ジュニアシートはどの座席に設置すべき?助手席に設置するメリットも解説
- 3. ジュニアシートを助手席に設置しないほうがよい理由|リスクやデメリットを解説
- 4. 福岡県で2021年に発生した事故では助手席に設置していた男児が死亡した?
- 5. ジュニアシートを助手席に設置しなければならないときの注意点
- 6. ジュニアシートの取り付け方式と選び方も重要
- ※1:道路交通法 _ e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
1. ジュニアシートの設置は絶対なのか?まずは法律を確認

子どもが成長し、チャイルドシートからジュニアシートへの買い替えを検討しているご家庭も多いだろう。中には、ジュニアシートは本当に必要なのか疑問に思う方もいるかもしれない。そこでまずは、ジュニアシートの必要性について確認しておこう。
6歳未満の子どもにはチャイルドシートかジュニアシートが必要
道路交通法第71条の3第3項(※1)により、6歳未満の子どもを乗せる場合はチャイルドシートまたはジュニアシートの設置・使用が義務付けられている。6歳以上の子どもは義務ではないが、安全確保のためにジュニアシートが必要なこともある。車に備え付けられているシートベルトは、適用身長140cm以上に設計されているため、それに満たない場合などだ。
2. ジュニアシートはどの座席に設置すべき?助手席に設置するメリットも解説

ジュニアシートをどこに設置するのか、という点も悩むご家庭が多いだろう。
助手席も禁止されていないが後部座席が推奨されている
ジュニアシートを設置する座席として推奨されているのは「後部座席」である。法律では座席の指定または禁止について明記されていないため、助手席もOKという解釈になる。確かに以下で述べるようにメリットもあるが、詳しく後述するようにリスクやデメリットも存在するため、慎重に検討することが求められる。
ジュニアシートを助手席に設置するメリットとは?
後部座席よりも目に付きやすいことから、たとえば体調不良の子どもを乗せているときなど、信号待ちで停車中に様子を窺えるといったメリットがある。
3. ジュニアシートを助手席に設置しないほうがよい理由|リスクやデメリットを解説

上述のようにメリットもあるが、やはり大切な子どもの安全に関わるためリスクやデメリットのほうを重点的にお伝えしておきたい。
エアバッグ機能は成人を対象に設計されている
事故の衝撃を軽減するためのエアバッグは助手席にも装備されている。このエアバッグ、実は成人を対象に設計されているのをご存知だろうか?身体が低い子どもの場合、エアバッグがその役割を果たせないだけでなく、膨らむ衝撃によって子どもを危険に晒すリスクもある。安全装備のはずが子どもに危険をもたらすおそれがある、というのが助手席へのジュニアシートの設置をおすすめしない理由のひとつだ。
助手席は後部座席よりも死亡率が高い
事故に遭遇した際、座席別の死亡率は助手席がもっとも高い。一方でもっとも低いのが後部座席(運転席後ろ)である。もちろん確率論であるため「絶対」ではないが、こうした点もジュニアシートを後部座席に設置することが望ましいとされている理由である。
子どもに気を取られてしまうおそれがある
乗車中、手や体を伸ばしたり後ろを振り向いたり、流れる景色が楽しくてドライバーに頻繁に話しかけたりなど、子どもがとにかく動いてしまう場合は気を取られるおそれがある。助手席側のサイドミラーが見えづらく、ドライバーが身を乗り出して注視するなどした場合も、前方確認がおろそかになり危険だ。
子どもがハンドルやシフトレバーを操作してしまうリスクがある
さらに、好奇心旺盛な子どもが手を伸ばしてシフトレバーを操作したり、ハンドルを持ってしまったりするといったリスクも想定される。
4. 福岡県で2021年に発生した事故では助手席に設置していた男児が死亡した?

2021年8月31日、福岡県で痛ましい事故が起こった。ジュニアシートを設置した軽乗用車の助手席に乗っていた5歳男児が、事故によって腹部を圧迫され内臓損傷で死亡したのだ。これにより「やはりジュニアシートの助手席への設置は危険」という認識が広まった。
このとき男児の顔にはエアバッグが当たった形跡が見られなかったという。では本当に助手席のジュニアシートが原因なのだろうか?
ブースタータイプのジュニアシートを使用していた
当時、男児は座面だけ(背もたれなし)のブースタータイプのジュニアシートに乗っていたという。着座状況について詳しくはわかっていないものの、腰ベルトがお腹にかかっていたため腹部圧迫による内蔵損傷という大ケガを追ってしまったと結論づけられている。
後部座席でも起こりうるため、この事故と助手席を結びつけるのはやや乱暴だが、ジュニアシートの設置座席のみならず、ベルトなどについて考える必要性も教えてくれている。
5. ジュニアシートを助手席に設置しなければならないときの注意点

同乗者の年齢や人数、そのほか諸事情でジュニアシートを助手席に設置しなけらばならないケースも想定される。そのとき、どういったポイントに気をつけるべきなのかも考えてみよう。
座席を最大限に後ろに下げる
まずエアバッグが膨らみ、子どもの顔面に勢いよく当たるなどの危険を避けることが大切だ。助手席にジュニアシートを設置して子どもを座らせる際は、助手席をもっとも後ろまでスライドさせてエアバッグとの距離を離そう。
シートベルトの位置を確認する
本来ジュニアシートには、子どもが安全な位置でシートベルトを装着できるよう、高さを補う役割がある。だがそのジュニアシートを使用しても子どもの身長が低いこともある。シートベルトが首に当たるような状態で事故が起これば、子どもは大きな被害を受けるおそれがある。正しい位置でシートベルトを装着・固定できているか、必ず確認や調節をしてほしい。
エアバッグ機能を解除する方法も
輸入車などでは、助手席のエアバッグ機能を解除できる車種もある。エアバッグが作動しないことによる危険性もあるが、子どもにエアバッグが衝突するリスクは排除できる。判断はお任せするしかないが、こうした方法があることは、知っておいて損はないだろう。
6. ジュニアシートの取り付け方式と選び方も重要

ジュニアシートの取り付け方式には大きく2種類あるのをご存知だろうか?助手席かどうかに関わらず、ジュニアシートを購入する際に大切なポイントにもなるので覚えておこう。
ジュニアシートには「シートベルトタイプ」と「ISOFIXタイプ」がある
まずシートベルトタイプだが、こちらは子どもとジュニアシートを一緒に、3点シートベルトで座席に固定する方式だ。一方ISOFIX(アイソフィックス)タイプは、座席に装備された金具(アンカー)とジュニアシートに装備された金具を結合させて固定する方式である。
ISOFIXのほうが取り付けミスも起こりにくく、安定感があることから安全性も高いとされている。新規購入や買い替えを検討している方はISOFIXタイプで絞り込んでみてはいかがだろうか?
「Eマーク」付きのジュニアシートを選ぶのがおすすめ
国の安全基準をクリアしたジュニアシートに付与されるのが「Eマーク」だ。さまざまなメーカーからジュニアシートが発売されているが、何より子どもの安全に関わる重要な装備品でもあるため、国の安全基準を満たしているものを選ぶことをおすすめする。
結論
ジュニアシートを助手席に設置した場合のリスクやデメリットについて、お分かりいただけただろう。子どもの様子を観察しやすいメリットもあるが、事故に遭ったときに大切な命を危険にさらしてしまうリスクもある。可能な限り後部座席に設置していただき、どうしても助手席に設置する場合はあらゆる対策をほどこして万全な状態で安全に走行していただきたい。
(参考文献)