目次
1. 哺乳瓶の消毒はいつまで続けるべき?

哺乳瓶の消毒をいつまで続けるべきかについては、さまざまな意見がある。「生後◯カ月まで」といった明確な基準がないため、迷ってしまうお母さんやお父さんも多いだろう。
生後3〜6カ月くらいまでといった意見が一般的
上述のように明確な基準はないが、おおよそ生後3〜6カ月くらいまでとする意見が多いようだ。ただし中には10カ月くらいまで消毒したほうがよいという意見や、1カ月も過ぎれば消毒は必要ないといった意見も散見される。赤ちゃんの成長には個人差があり、また各ご家庭の考え方もさまざまであるため何が「正解」とは言い切れないが、迷ったときは6カ月をひとつの目安にするとよいだろう。
「6カ月」がひとつの目安となる理由
生まれたばかりの赤ちゃんの体内には、お母さんからもらった免疫が残っていると考えられている。しかしその免疫も次第に減っていく。一方、赤ちゃん自身も免疫を作り始めるのだが、やはり十分に発達するまでは成人と比べて非常に弱いものである。
赤ちゃんの免疫機能や病気などへの抵抗力は成長とともに高まっていき、生後6カ月頃になると、成人の50%程度の抗体が備わるとされている(※1)。個人差はあるが、こうしたことが6カ月を目安にするというひとつの理由であると考えられる。
赤ちゃんの免疫機能や病気などへの抵抗力は成長とともに高まっていき、生後6カ月頃になると、成人の50%程度の抗体が備わるとされている(※1)。個人差はあるが、こうしたことが6カ月を目安にするというひとつの理由であると考えられる。
「ピジョン」「ミルトン」など消毒液を扱うメーカーの推奨期間は?
ピジョンやミルトン(杏林製薬)といった、哺乳瓶を消毒する薬液を取り扱うメーカーも、いつまで消毒するかについての見解を、ホームページ上で公開している。それによればピジョンは3〜4カ月頃まで、ミルトンは1歳くらいまでとのことだ。このように、哺乳瓶の消毒をいつまで続けるかについてはさまざまな意見がある。
2. 哺乳瓶の消毒をやめてもよいタイミングは?

生後6カ月がひとつの目安になるとはいえ、赤ちゃんの成長には個人差があるため、6カ月経過後、直ちにやめてよいものかどうか迷うこともあるだろう。その場合、次のようなことを基準にしてみてはいかがだろうか?
哺乳瓶の消毒をやめてもよいタイミング
- 離乳食を開始した
- おもちゃを口に入れるようになった
- かつ、赤ちゃんの体調がよい
離乳食を開始すればスプーンや食器などから、おもちゃを口にするようになればそのおもちゃから、赤ちゃんの手指や口の中などに雑菌が付着するようになる。そのため哺乳瓶を消毒しただけでは予防しきれなくなる。加えて、赤ちゃんが健康に育っており発熱や下痢などの症状がないといったケースであれば、哺乳瓶の消毒をやめてもよいと判断できるだろう。
3. そもそも哺乳瓶の消毒が必要な理由は?

そもそも哺乳瓶を消毒しなければならない理由とは何なのだろうか?
免疫力の低い赤ちゃんを守るため
生まれて間もない赤ちゃんは雑菌に対する免疫機能が十分に発達していない。哺乳瓶を消毒するのは、赤ちゃんをさまざまな病気から守るためである。
厚生労働省のホームページでも確認できるが、WHO(世界保健機関)およびFAO(国連食糧農業機関)によって作成された「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」という資料がある(※2)。この中でも「乳児への哺乳・調乳に使用した器具は、次回使用する前までに徹底的に洗浄および滅菌することが重要」であるとしている。
厚生労働省のホームページでも確認できるが、WHO(世界保健機関)およびFAO(国連食糧農業機関)によって作成された「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」という資料がある(※2)。この中でも「乳児への哺乳・調乳に使用した器具は、次回使用する前までに徹底的に洗浄および滅菌することが重要」であるとしている。
洗剤だけでは雑菌を落としきれないこともあるため
たとえ乳首やキャップなどを分解したとしても、流水や洗剤だけでは落としきれない雑菌がいることもある。栄養たっぷりの母乳はほんのわずか残っただけでも、それをエサに雑菌が繁殖するおそれがある。免疫機能が十分に発達していない赤ちゃんが食中毒に罹ってしまうといったことも考えられるのだ。
哺乳瓶だけ消毒すればよいのか?
口の中に入れるようなおもちゃにも雑菌は付着し繁殖する。したがって哺乳瓶を消毒している期間中、そうしたおもちゃも消毒することが望ましいだろう。素材などによっては煮沸消毒や薬液が向かないものもあるので、その場合はアルコール除菌スプレーで消毒するなどしよう。
4. 哺乳瓶の正しい消毒方法を再確認

哺乳瓶の消毒方法はいくつかあるが、ここでは「薬液消毒」と「煮沸消毒」の2つを説明する。
薬液消毒
哺乳瓶用の消毒液は、ドラッグストアなどのベビーコーナーで販売されている。消毒液に哺乳瓶を一定時間浸しておくだけで消毒してくれるというものだ。ガスや電気などの熱を使う必要がないうえ、消毒中もその場を離れられるといったところが利点だろう。
それに、たとえばピジョンの「ミルクポン」などは1回液を作れば24時間使うことができる。何度も消毒液を作る手間が省けるのもうれしいポイントだ。また使う直前まで哺乳瓶を浸けておけるので、消毒液から出したあとの再汚染防止にもつながる。
それに、たとえばピジョンの「ミルクポン」などは1回液を作れば24時間使うことができる。何度も消毒液を作る手間が省けるのもうれしいポイントだ。また使う直前まで哺乳瓶を浸けておけるので、消毒液から出したあとの再汚染防止にもつながる。
煮沸消毒
水を沸騰させた鍋に哺乳瓶を浸すことで消毒する、昔ながらの方法だ。消毒液が不要で、いつでも消毒できるのが利点である。だが沸騰にはガスや電気が必要なため、本体の消毒なら7分ほどは、その場を離れられない。消毒後は手で直接哺乳瓶を触らないようにし、新しいキッチンペーパーなどの上で乾かすようにしよう。
なお7分ほどとお伝えしたものの乳首とキャップ、瓶などパーツや素材によって耐熱温度が異なる場合がある。そのため、事前に必ず取扱説明書やメーカーのホームページなどで確認してほしい。
なお7分ほどとお伝えしたものの乳首とキャップ、瓶などパーツや素材によって耐熱温度が異なる場合がある。そのため、事前に必ず取扱説明書やメーカーのホームページなどで確認してほしい。
5. 電子レンジで哺乳瓶を消毒する方法もある

上述のように哺乳瓶の消毒方法は難しいものではないが、とはいえミルクを飲ませるたびに毎回哺乳瓶を消毒するのは、お母さんやお父さんにとって大変な負担となる場合がある。先ほど薬液消毒と煮沸消毒を説明したが、実はもうひとつ、電子レンジで消毒する方法もあるので紹介しておこう。
電子レンジで哺乳瓶を消毒する方法とは?
たとえばCombiの「除菌じょ〜ずα」は、専用の容器に哺乳瓶などをセットし、水を入れて電子レンジで5分加熱するだけで、手軽に消毒することが可能だ。
煮沸消毒の場合、消毒後に直接手で触らないようにし、きれいなキッチンペーパーなどに移す必要がある。しかし「除菌じょ〜ずα」は専用の容器ごと消毒するため、消毒後は哺乳瓶などをそのまま保管しておくことができる。煮沸消毒のように火を使わないため、その場を離れても問題なく、さらに経済的でもある。
煮沸消毒の場合、消毒後に直接手で触らないようにし、きれいなキッチンペーパーなどに移す必要がある。しかし「除菌じょ〜ずα」は専用の容器ごと消毒するため、消毒後は哺乳瓶などをそのまま保管しておくことができる。煮沸消毒のように火を使わないため、その場を離れても問題なく、さらに経済的でもある。
6. 哺乳瓶を消毒する頻度は?毎回すべき?

哺乳瓶の消毒は、どれくらいの頻度でするとよいのだろうか?素朴な疑問を持つ方もいるだろう。
使うたびに消毒することが望ましい
哺乳瓶に残った母乳やミルクは、雑菌にとって絶好のエサであり繁殖場所である。そのため、使うたびにしっかり洗浄し消毒することが望ましい。だが育児や家事、さらに仕事をしながら毎回毎回消毒するのは非常に大変だ。そんな方はぜひ、先ほど紹介した消毒液を使ってみてはいかがだろうか?1回作れば24時間作り直さなくてよい消毒液があるので、ぜひ使ってみていただきたい。これがあれば、洗浄したあとは浸けておくだけでOKなので、消毒し終わるのを待つ必要もない。
哺乳瓶を複数本用意しておくとよい
月齢が低い赤ちゃんは授乳回数が多い。哺乳瓶を複数本準備しておけば「まだ消毒が終わってない」というときでも安心だ。とくに、夜間など眠い時間帯はこのような消毒液を活用して、お母さんやお父さんができる限り少ない負担で、なおかつ清潔に消毒ができるようにしよう。
7. 哺乳瓶の消毒をやめてからの注意点

哺乳瓶の消毒をやめたあとでも、念のため消毒をしたほうがよいタイミングなどがある。
梅雨どきや夏場は消毒する
湿度が高くなる梅雨どきや高温になる夏場などは、雑菌が繁殖しやすい。たとえやめたあとでも、こうした時期は哺乳瓶の消毒をするのがおすすめだ。
赤ちゃんの体調が優れないときも消毒する
赤ちゃんの体調がどうも優れないというときは、免疫機能が弱っていることが考えられる。普段は平気な雑菌も、そうしたタイミングでは猛威を振るうおそれがある。念のため消毒をすると安心だろう。
消毒をやめても丁寧に洗うことは忘れずに
いくら消毒が必要なくなったからとはいえ、哺乳瓶のお手入れが雑になってしまえば雑菌は繁殖し放題だ。カビなどが生えてしまえばより深刻である。消毒をやめても、哺乳瓶を丁寧に洗うことは忘れないようにしよう。
8. 旅行先でも使える!哺乳瓶の消毒に便利なアイテムとは

赤ちゃんを連れて旅行などに行くとき、旅先で薬液消毒や煮沸消毒などができないケースも想定しておく必要がある。そんなときに便利なアイテムがあるので紹介しよう。
錠剤タイプの消毒剤が便利
赤ちゃん連れの旅行では、消毒液よりも「錠剤タイプ」の消毒剤が軽くて便利だ。たとえばミルトンの「Milton CP(錠剤タイプ)」は、哺乳瓶を洗浄後4Lの水に2錠入れた消毒液に、1時間以上浸けると消毒が完了する。
1回消毒液を作れば24時間使用可能なので、簡単なうえ何度も消毒液を作る手間が必要ない。哺乳瓶だけでなく、おしゃぶりやおもちゃ、離乳食用の食器なども除菌できるため、旅先でも赤ちゃんグッズを清潔に保つことが可能だ。
1回消毒液を作れば24時間使用可能なので、簡単なうえ何度も消毒液を作る手間が必要ない。哺乳瓶だけでなく、おしゃぶりやおもちゃ、離乳食用の食器なども除菌できるため、旅先でも赤ちゃんグッズを清潔に保つことが可能だ。
9. 哺乳瓶の消毒方法や、いつまで消毒するかはよく話し合おう

お伝えしてきたように、哺乳瓶をいつまで消毒すべきかということに関しては、さまざまな意見がある。正解がないため迷ってしまうが、ご家庭でじっくり話し合い納得できるタイミングでやめるようにしよう。
また哺乳瓶の消毒方法もいろいろある。お母さんやお父さんにとって、できる限り負担が少なく、かつ清潔に保てる方法を選ぶようにしよう。
また哺乳瓶の消毒方法もいろいろある。お母さんやお父さんにとって、できる限り負担が少なく、かつ清潔に保てる方法を選ぶようにしよう。
結論
毎日使う哺乳瓶は、大切な赤ちゃんがいつ口に入れてもいいようにしっかり消毒することが大切だ。哺乳瓶の消毒方法には「薬液消毒」「煮沸消毒」「電子レンジ消毒」があるが、目を離していても消毒できる薬液消毒、あるいは電子レンジ消毒が便利だろう。赤ちゃんのためにも、月齢に合わせて哺乳瓶をできる限り清潔に保ってあげよう。
(参考文献)
- 1:日本小児感染症学会若手会員研修会第 1 回水戸偕楽園セミナー レクチャー 3 健常児におけるウイルス感染症
http://www.jspid.jp/journal/full/02204/022040403.pdf - 2:厚生労働省:食品安全情報:乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/070604-1.html