1. パーソナライズフードとは
パーソナライズフードとは、個々の人の趣味や嗜好、体型、健康など、生活スタイルに合わせた食べ物のこと。海外ではすでに広がりを見せている食ビジネスのひとつだ。
フードテックとパーソナライズフード
パーソナライズフードが広がる基盤にあるのがフードテックだ。フードテックとは、食とITの融合。金融とITの融合であるフィンテックが、既存にはない新しいビジネスを生み出したのと同じように、このフードテックにも新たなビジネスの種が数多く隠れているといわれている。パーソナライズフードもそのひとつである。多くの人がスマートフォンを持つようになったことで、これまで追いきれなかった個々のニーズや消費行動にリーチすることができるようになったのだ。
パーソナライズフードのいま
パーソナライズフードが注目される背景には、人々のウェルビーイングに対する意識の高まりがある。最適化された食べ物は、より幸せな暮らしをもたらしてくれるかもしれないのだ。さらには環境破壊や人口増加による食糧危機、フードロスなど、社会問題の解決の糸口になる可能性を秘めていると期待されている点もあるだろう。
2. 具体的なパーソナライズフード
海外の現状
たとえばアメリカのスタートアップ企業が行う「innit」は、自分の情報や状況をスマホからシェアすると適切なレシピを提案。さらに材料をスーパーから取り寄せたり、loT家電で料理を作ることまでできる。そのほかにもお茶に特化したパーソナライズサービスや遺伝子検査の結果を元におすすめの外食メニューを教えてくれるサービスなど、多彩な広がりを見せている。これまでであれば、超えることのできなかった各々のサービスの壁を縦横無尽に渡り歩くことができるようになったのだ。
the kindest
こちらは、パーソナライズベビーフードを展開するサブスクリプションブランドだ。オーガニック食材を使用し、添加物はオールフリー。さらに小児科医や管理栄養士が、発達に応じた必要な栄養素のデータを導き出しているので、非常に安心感が強い。とくに忙しい共働き世代には喉から手が出るほど、嬉しいサービスに違いない。ユーザーとのコミュニケーションには、LINEが活用されている。
snaq.me
こちらはおやつのパーソナライズサブスクリプションブランドだ。100種類を超える、健康的で安全なおやつから、その人にあったおやつ8種がボックスに入って届くシステム。人工添加物のみならず、白砂糖、ショートニングなどもフリー。初回におやつ診断をして、到着後、また食べたいorまた食べたくないおやつを申請することで、よりパーソナルな内容になるといった仕組みだ。実際に使ってみると非常にクオリティーの高いおやつが届き、満足度が高い。
3. パーソナライズフードのこれから
さらに広がりを見せると思われるパーソナライズフード。ここまではおもに家庭内でのパーソナライズフードについてお届けしたが、今後は家庭外でもそのようなサービスが浸透すると考えられている。実際に海外では、パーソナライズなスムージーやサラダのベンディングマシーンがすでに登場している。
体調管理にも寄与
パーソナライズフードは、体調管理にも大きく影響を及ぼしそうだ。たとえばウェアラブル端末からバイタルデータを取得すれば、文字通りその日、その瞬間の体調に合わせた食事を摂取することができるようになる。大きな健康被害がないため、どうしても注意が怠りがちな生活習慣病の改善にも効果を発揮するかもしれない。
コロナで加速
パーソナライズフードの浸透は、COVID-19感染拡大によってさらに拍車がかかったようにも見える。外食のみならず、外出が制限され、リモートワークが拡充。未知なるウィルスの流行により、健康意識も高まり続けている。そういったなかで、その人の健康に合わせた食材が自宅に届き、loT家電が調理するというようなプラットフォームは確実に需要が高まっている。
結論
決まったメニューを選ぶのではなく、その日の体調や気分などに合わせた味をロボットが作ってくれるような世界もそう遠い未来ではないかもしれない。パーソナライズフードは、これからさらに広がりを見せる分野のひとつだ。その動向をしっかり見据えつつ、上手に活用していきたい。
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