1. ウドとは

ウドは古来から日本に自生していた植物で、「ウドの大木」ということわざになるほど日本人になじみの深いものだ。大きくなったウドは木のように高さ2メートル以上に育つが、柔らかくて木材のように使えないうえ、食用にするには固すぎることから、体ばかり大きくて役に立たない人のことを「ウドの大木」と言う。
ことわざからも分かるように、大きくなったウドは人間には役に立たないのだが、土から顔を出したばかりの新芽や若い茎や葉は食用になる。もともとは山菜の野ウドとして春から初夏にだけ食されていたが、昨今では、固くなりにくいよう日光を避け、土をかけながら栽培されたウドが冬から春にかけて出回っている。
2. ウドの栄養と効能

ウドはその94パーセントが水分。栽培ものでは100グラムあたり18キロカロリーと低カロリーだが、クロロゲン酸やアスパラギン酸、ジテルペンアルデヒドなどの栄養素を含んでいる。ウドの根は漢方薬としても用いられるが、食用とされる部位にも栄養素が含まれているのだ。
クロロゲン酸
クロロゲン酸はポリフェノールの1種である。抗酸化作用があるとされ、がんの発生予防や動脈硬化の予防、免疫力の向上に効果が期待できるようだ。
アスパラギン酸
アミノ酸の1種であり、ウドの独特な味を生み出すようだ。アスパラギン酸は、体内の新陳代謝を高め、疲労回復や有害物質の除去に効果があるとされている。
ジテルペンアルデヒド
ウドの香りのもとであるジテルペンアルデヒド。血行を良くし、疲労回復に効果があると言われる。
3. ウドの旬と下ごしらえ
ウドの旬

栽培もののウドは1年を通じて出回っている。しかしウドの旬は天然ものも出回る3月から5月の春であり、この時期に出回るウドのことを、春ウドと呼ぶ。旬の春ウドは栽培ものであっても香りが良くて柔らかい。
ウドの下ごしらえ
ウドにはアクがあるため下ごしらえが必要だが、日を当てずに育てた白ウドと、日に当たって育った山ウドや野ウドとではその方法が異なる。
白ウドは皮むきの必要は無いが、山ウドや野ウドは皮が固くアクも強いため皮を厚くむく。どのウドも切ったそばから変色するため、酢水にさらして色止めが必要だ。
白ウドは皮むきの必要は無いが、山ウドや野ウドは皮が固くアクも強いため皮を厚くむく。どのウドも切ったそばから変色するため、酢水にさらして色止めが必要だ。
ウドの料理
あく抜きをしたウドは、生のままやさっと湯がいたりして酢味噌などで和えたり、薄めに切って天ぷらにしたりして食べるのが一般的。
結論
店先に並んでいる野菜の中に、ウドなどの日本古来の野菜の割合は少ない。下ごしらえなどのひと手間はかかるが、縄文時代から取り入れられているウドを、ぜひ現代の食卓にうまく取り入れてはどうだろうか。