1. プルーンとは?

まずはプルーンについて詳しくなっておこう。基礎知識から解説していく。
すもも(プラム)を乾燥させたもの
プルーンとは、すもも(プラム)を乾燥させたものを指すのが一般的だ。生食用として作られている品種は甘酸っぱく、みずみずしさが特徴の果物である。すももを乾燥させて作るプルーンは、その過程で水分が蒸発するため、栄養素の一部がギュッと濃縮された状態になる。
プルーンの歴史
プルーンはカスピ海沿岸のコーカサス地方が原産地と言われ、その歴史は古く、紀元前には食べられていたと言われている。のちにフランスで広まり、19世紀中ごろにアメリカ、カリフォルニアへと伝わった。日本にプルーンが入ってきたのは明治初期だが、雨に弱くなかなか定着しなかった。今では品質改良がなされ長野や北海道などで作られている。
プルーンの産地
海外では西ヨーロッパやバルカン半島地域、また、アメリカではカリフォルニア産が有名で、現在では世界の70%の収穫量を誇る。収穫されたプルーンはすぐに乾燥工場へ運ばれ、水分約18%まで乾燥される。日本ではプラムが長野県の佐久地方を中心に作られている。日本では、そのまま食べる他に、プルーンはもちろん、ジャムやジュース、ワインなどにも加工されているのだ。
プルーンの旬
もっとも多く出回る時期を「旬」とするのであれば、8月中旬頃から9月中旬頃である。ただしプルーンには早生種から晩生種まで種類がいろいろあり、早いものでは7月中旬頃から、遅いものでは10月中旬頃から収穫が始まる。
2. プルーンの栄養と効能

プルーンは栄養が豊富に含まれているといわれており、健康食品としても人気がある。具体的にどんな栄養が含まれているのか紹介しよう。なお以下の栄養成分一覧表は文部科学省「第2章日本食品標準成分表2015年版「果実類」一覧」によるものだ(※1)。
乾燥プルーン100g中の主な栄養成分一覧
- エネルギー:235kcal
- たんぱく質:2.5g
- 脂質:0.2g
- 炭水化物:62.4g
- 灰分:1.6g
- α-カロテン:130μg
- β-カロテン:1100μg
- β-クリプトキサンチン:220μg
- α-トコフェロール:1.5mg
- ビタミンE:1.7mg
- ビタミンB1:0.07mg
- ビタミンB2:0.07mg
- ナイアシン:2.2mg
- ビタミンB6:0.34mg
- 葉酸:3μg
- パントテン酸:0.32mg
- ビタミンC:0mg
- ナトリウム:1mg
- カリウム::480mg
- カルシウム:39mg
- マグネシウム:40mg
- リン:45mg
- 鉄:1.0mg
- 水溶性食物繊維:3.4g
- 不溶性食物繊維:3.8g
塩分の排出を促す「カリウム(※2)」
人体に欠かすことのできないミネラルのひとつがカリウムである。ナトリウムを排出する作用があるため、塩分とバランスよく摂取することが大切だ。そのほか、細胞内液の浸透圧を調整し、一定に保つ働きもある。摂取量が不足すると、脱力感や食欲不振、筋無力症や不整脈といった症状が見られることもある。
人体に欠かせない「ビタミン類(※3)」
プルーンにはビタミン類が豊富に含まれている。ビタミンは人体の機能を正常に保つうえで欠かせない栄養素であるが、体内ではほとんど合成できない。そのため食物から摂取する必要がある。CやEの含有量はそれほど多くないが、皮膚や粘膜の機能を保つのに必要なA、代謝を促進するB群、骨の形成に関わるKなど、幅広いビタミンが含まれている。
抗酸化効果をもたらす「βカロテン(※4)」
βカロテンはヒトの体内でビタミンAに変わる。ビタミンAは肌や髪、目などの機能を正常に保つために欠かせない栄養素である。またβカロテンはビタミンEと並んで強い抗酸化作用を持っており、風邪などウイルスに対抗する免疫を正常に保つうえでも欠かせない。
便秘解消などに効果的な「食物繊維(※5)」
食物繊維には整腸作用などがあり、よく便秘対策などで摂取が推奨される栄養素だ。「水溶性」と「不溶性」があり、前者は腸内でゼリー状になり、栄養素の吸収を緩やかにする。これにより血糖値が急上昇するのを抑えることができる。後者は水分を吸収すると膨らみ、便をかさ増しする。その便が大腸に刺激を与え、便通が促進されるといった効果が期待できる。
「鉄分が豊富」は誤り?
プルーンは鉄分が豊富であると聞いたことはないだろうか?だが一覧表を見ていただくと分かるように、乾燥プルーンでも100gあたり1.0mgしか鉄が含まれていない。これは、干しアンズや干しブドウなどの2.3mgと比べると半分以下ということになる。まったく含まれていないわけではないが「豊富」という言葉からイメージする量よりは少ないかもしれない。
3. プルーンの1日の摂取目安量は?

人体にうれしい栄養素が豊富に含まれているプルーンだが、糖質の量には気をつけなければならない。際立って糖質が多く含まれているというわけではないが、何ごともそうであるように食べすぎはよくない。
1日4〜5粒を目安にしよう
プルーンを食べるとすれば間食だが、一般的に適量とされている間食の摂取エネルギーは200kcalである(※6)。乾燥プルーンに置き換えると8粒ほどが目安になるが、そうすると今度は糖質を摂りすぎてしまうおそれがある。「カリフォルニア プルーン協会」では1日約40g(4〜5粒程度)を推奨しているため、これを目安にするとよいだろう(※7)。ただし、ほかの間食との食べ合わせなどには十分、気をつけてほしい。
4. プルーンのおすすめの食べ方

プルーンはそのまま食べてもおいしいが、ひと工夫することでよりおいしくいただける。最後に紹介するのでぜひ試してみてほしい。ただし食べすぎにはくれぐれもご注意を。
ヨーグルトやパウンドケーキに混ぜる
もっとも手軽な方法は、ヨーグルトに混ぜて食べることだ。食べづらい大きさの場合はスライスすればよい。普通のフルーツヨーグルトのようにいただくことができ、朝食にもぴったりだ。そのほか、パウンドケーキに混ぜても食べやすい。
赤ワインで煮込む
プルーンを赤ワインと砂糖と一緒に煮込むと、赤ワインのポリフェノールも摂れる「ジャム」ができあがる。こちらも、時間に余裕があるときにぜひ試してほしいレシピだ。
結論
ドライフルーツが苦手という方もいるかもしれないが、乾燥プルーンを取り入れるなら、まずは1日1粒から始めよう。栄養がギュッと濃縮された乾燥プルーンを上手に生活に取り入れることで、不足しがちな栄養素をバランスよく補ってほしい。
(参考文献)
- 1:第2章日本食品標準成分表2015年版「果実類」一覧(文部科学省)https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/01/15/1365343_1-0207r2_1.pdf
- 2:カリウム _ e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
- 3:ビタミン _ e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
- 4:カロテノイド _ e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html
- 5:食物繊維 _ e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
- 6:間食のエネルギー(カロリー) _ e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-013.html