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もともとは薬草!?万能野菜「もやし」の歴史

もともとは薬草!?万能野菜「もやし」の歴史

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2020年2月14日

いろいろな料理に使える便利な野菜、もやし。ラーメンや焼きそば、味噌汁やナムル、そして鍋料理や炒め物などにも活躍する万能さだけでなく、一袋数十円という価格も魅力だ。もやしは細い体に栄養をたっぷり含む正に主役級の野菜だが、一体いつから食べられているのだろうか?日本で食べられるようになった時期や名前の由来など、もやしの歴史を説明する。

  

1. もやしの伝来と名前の由来

"もやし"とは、豆類・穀類・野菜の種子を発芽させた若い芽を意味する。芽が出るようにする(発芽させる)ことを意味する「萌やす」を語源として、"もやし(萌やし・糵)"と名付けられた。
家庭料理の材料として欠かせないもやしだが、その歴史を調べると興味深い説にたどり着いた。もやしが元々は薬草だという説だ。
人類が「種子が発芽すること」を発見した時がもやしの歴史の始まりであり、中近東地方から中国に伝わったと言われている。日本に伝わった時期は明らかではなく、1850年ころ長崎に漂着した外国人から日本各地に広まったという説もあるが、平安時代に描かれた日本最古の薬物辞典「本草和名」には"もやし(毛也之)"が登場する。これにより、平安時代には既にもやしが日本に伝わっていたこと、そしてもやしが元々薬草とされていたことが想像できる。更に、江戸時代中期の図説百科事典「和漢三才図会」には"黒豆もやしは痺れや膝の痛み、筋のひきつりなどに効果がある"という記録もあり、もやしが薬草として栽培されていたという説は信憑性が高いと言えるだろう。1900年代の始めには大都市を中心にもやしを栽培する業者が増え、その後1950年ころには日本全国で栽培されるようになり現在に至る。

2. もやしの種類

もやしの原料は、豆類・穀物・野菜である。そのため、一口に"もやし"と言っても種類はひとつではない。豆を原料とするもやしには、中華料理とともに1965年ころから日本中に広まった「黒まめもやし(ブラックマッペ)」や、現在もっとも普及している「緑豆もやし」のほか、「大豆もやし」などがある。大豆もやしとは聞きなれないかもしれないが、ナムルやチゲなどでお馴染みの韓国料理には欠かせない種類である。海外では様々な豆でもやしが作られており、ヨーロッパではスパイスとして利用されるフェネグリークという豆をもやしとして栽培している。
穀物では、小麦・大麦・ライ麦などからもやしが作られる。そして、誰もが知るカイワレ大根もまた実はもやしの一種。大根の種から発芽した茎や芽がカイワレ大根なのだ。このような種類は"新芽野菜"と呼ばれ、芽を意味する英語から"スプラウト(sprout)"とも呼ばれる。カイワレ大根の他、ブロッコリーから作られるブロッコリースプラウトや赤キャベツから作られるレッドキャベツスプラウト、近年目にすることが多くなったクレソンなどももやしの仲間である。
大豆もやしもカイワレ大根も総じて"もやし"だが、一般的にもやしと言う場合にはもっとも普及している緑豆もやしを指す。英語でもすべて"sprout"だが、豆もやしを"bean sprout"と区別することが多い。

3. もやしの原産地

もやしの伝来時期には諸説あるが、日本でもやしを栽培する業者が増えたのは1900年代の初頭である。港を持つ都市(東京・横浜・神戸・大阪)から始まったもやしの栽培は第二次世界大戦後に各地に広がり、地元での生産と販売を主とする小さな業者は日本中に1000以上もあったと言われている。現在でも日本各地でもやしは栽培されているのだろうか?
1980年ころになると、交通網の発達により地元での生産と販売の必要性が薄れたことやバブル期に突入して都市部での栽培が困難となったことなどが原因となり、日本全国に存在した小さなもやし業者の数は著しく減少した。その後も生産コストと販売価格とのバランスの乱れなどにより減少を続け、現在、もやしを栽培する業者は全国各地に存在するものの、130以下となっている。生産量の多い都道府県は栃木県・福島県・神奈川県、消費量の多い都道府県は青森県・岩手県・新潟県である。
ちなみに、スーパーなどで販売されているもやしには、「原産地:○○県○○市」などと原産地が必ず記載されている。この○○県○○市はもやしを栽培した工場の所在地であって、種子の原産地ではない。日本で販売されているもやしの種子のほとんどが中国産であり、残りはミャンマーやオーストラリア産である。

結論

安い・万能・栄養満点と3拍子揃った優秀なもやしの歴史を説明した。薬草として栽培されていて、薬のような役割を持っていたとは驚きだ。ちなみに、もやしと言えばシャキシャキの歯ごたえが魅力だが、強火で一気に炒めるのではなく、弱火で10分ほどかけてじっくりと炒めることで驚くほど歯ごたえの良い美味しいもやし炒めが完成する。ぜひ試してもらいたい。
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  • 公開日:

    2017年8月30日

  • 更新日:

    2020年2月14日

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