1. きゅうりってどんな野菜?

90%は水分!?
夏野菜の代表格、きゅうり。切るだけで手軽に食べられることもあり、食卓でも人気野菜だ。ちなみにきゅうりは、その約90%が水分。体内の余分な塩分を排出してくれるカリウムや食物繊維が含まれている。火照った体を冷ましたり、むくみを改善する効果が期待できる野菜だ。とはいえ、その栄養素はかなり少なめ。「世界一栄養がない果実」としてギネスに登録されているほどだ。
旬は?産地は?
きゅうりは、インドの北部ヒマラヤ山麓が原産。日本では、平安時代には栽培されていたと記録が残っている。当初は、半白きゅうりと呼ばれる品種が主流であったが、のちに栽培しやすく、流通性に優れている現在の品種に切り替わったようだ。現在ではハウス栽培も盛んで、年中手に入るが本来の旬は夏。宮崎県、群馬県、福島県、埼玉県などが、主要産地だ。
2. ビタミンCとアスコルビナーゼ

アスコルビナーゼとは何か
昨今話題になっているのが、きゅうりに含まれるアスコルビナーゼという物質。これは、ビタミンC酸化酵素である。ビタミンCを破壊する、と話題になっているが、実は破壊ではなく、酸化させるのである。
酸化すると?
酸化とは、ある物質が酸素と結合と結合することを指す。ビタミンCを含む食品とアスコルビナーゼを含む食品を一緒に食べるとビタミンCは酸化して、デヒドロアスコルビン酸という物質に変化する。例えば、トマトときゅうりを一緒に食べるとトマトのビタミンCはここで一旦、ビタミンCではなくなってしまうということだ。
3. アスコルビナーゼの性質

含まれる食材
実はきゅうり以外にもアスコルビナーゼが含まれる食材は、多くある。例えば、ニンジン カボチャ、キャベツ、カリフラワー、シュンギク、バナナ、リンゴなどである。
活性化するケース
アスコルビナーゼがビタミンCを酸化させる酵素であることはわかった。さらにこの酵素の作用が活性化するのは、組織が破壊され、空気に多く触れるとき。きゅうりを他の食品と刻んだり、すりおろしたり、ジューサーにかけたりするとその食品のビタミンを壊してしまう。
アスコルビナーゼの弱点
アスコルビナーゼは、過熱や酸に弱いとされている。さらに漬物などにして発酵させると酵素の作用はなくなるようだ。きゅうりを他の食品と食べる場合には、きちんと調理をして食べると良さそうだ。
4. 上手に栄養を取り入れる方法

+酸が有効的
先述の通り、アスコルビナーゼは酸に弱い。そのため、きゅうりをサラダや漬物などで食べるには、お酢を使ったドレッシングを使用したり、マヨネーズなどで和えることで、アスコルビナーゼの働きが抑制され、ビタミンCを酸化させることなく摂取することができるのだ。酢の物で食べられることの多いきゅうり、これはとても理にかなった食べ方だったのである。
加熱で美味しく
きゅうりを加熱するなんてまずそう...そう思うなかれ。加熱したきゅうりは、独特の歯ごたえで、とても美味しい。中華料理では、よく炒めて食べられる。塩もみしたきゅうりを生姜とニンニクで炒め、塩でさっと調味するとちょっとしたおかずやつまみになる。騙されたと思って、トライしてみてほしい。
結論
ちなみに、ビタミンCを含む食品とアスコルビナーゼを含む食品を共に食べたとしても、体内で吸収される際には、たんぱく質と結合し、還元して、結局ビタミンCとして吸収されるといった研究結果もある。栄養素に関わる研究は、日々続いている。すべてを鵜呑みにせず、自分で調べてみると発見や学びがあり、なかなか面白いものだ。何はともあれ、みずみずしいきゅうりは、夏に欠かせない素材。お酢と合わせれば、味わい的にも、栄養的にも◎。どんどん取り入れよう。