1. アクの正体とアク取りをする理由

食材にはえぐみ、渋み、雑味の元となるアクが含まれている。不快で不要とされる成分を総称してアクと呼んでいるのだが、その成分は大きく二つに分けられる。無機質のカリウム、マグネシウム、カルシウム等と、有機質のシュウ酸、ポリフェノール、サポニン等である。
料理の風味上不快な物や、臭い・濁りの元になる物が多く含まれるため、調理の仕上がりをワンランク上げるにはアク取りが非常に重要となってくる。風味の問題だけでなく、アクには結石の原因となるシュウ酸や、ビタミンB1分解作用があるチアミナーゼ等健康上の理由で取り除いた方がいい物が含まれていることも、アク取りが必要な理由のひとつだ。
料理の風味上不快な物や、臭い・濁りの元になる物が多く含まれるため、調理の仕上がりをワンランク上げるにはアク取りが非常に重要となってくる。風味の問題だけでなく、アクには結石の原因となるシュウ酸や、ビタミンB1分解作用があるチアミナーゼ等健康上の理由で取り除いた方がいい物が含まれていることも、アク取りが必要な理由のひとつだ。
特に鍋や煮物はアクが目立つ
野菜は基本的に加熱する前に水にさらし、下茹ですることでアクを抜くことができる。しかし、動物性の肉や魚介は加熱中にアクを取ることが必要になる。このため、肉や魚を入れる鍋や煮物は特にアクが目立ってしまうのだ。動物性食材から溶け出たタンパク質が加熱されて、アクと一緒に凝固したものをすくい取ろう。これで臭みだけでなく余分な脂肪も取れてカロリーカットになる。
2. アク取りのコツや便利な道具、裏技

いちいちアク取りをするのが面倒な人は、ほんのひと手間でアクの量を減らすことが出来るので、ぜひ試して頂きたい。
野菜は鍋に入れる前にアク抜きをする
切ってすぐ変色するような野菜はアクが強いので要注意だ。鍋に入れると香りが最高なゴボウやレンコンは、変色が嫌なら酢水にさらそう。芋類やナスは切ったそばから真水にさらしておくといい。葉物ならサッと湯通ししておくのもおすすめだ。
最初にある程度強火にする
鍋では食材を入れ足すので都度取る必要が出てくるが、煮物はある程度火を入れると煮汁が煮立った段階でアクが出てくる。強火で出たアクを取り切ると後が楽だ。味をつけて煮含める前にアクをきちんと取ってから蓋をしよう。アクを取る前に蓋をしてしまうと、アクの雑味が食材に戻ってしまう。
アク取り用に小さい玉杓子を
煮汁には旨味が溶けだしている。凝固したアクだけ取り去るには穴の開いた玉杓子が最適だ。煮物には普通サイズでいいが、もし卓上で鍋をするのなら小さなミニサイズの玉杓子が便利である。水を張ったボウルで玉杓子を都度洗えば、鍋の途中のアク取りも楽になる。
ちょっとした裏技
煮物を煮込むときの落し蓋に厚手のキッチンペーパーを使うと、持ち上げて捨てるだけでアクが一気にとれるので試してみよう。キッチンペーパーだけでなく、アルミホイルもアクがくっつくため、落し蓋代わりに使ってそっと持ち上げればアクを一緒に取り除くことが出来る。
3. アクの強い食材には注意

野生の山菜にはアクが強い物が多い。山菜鍋や七草料理には注意して欲しい。ワラビやフキ、タケノコなど、春の味覚はアクが強いため、重曹や米ぬかを使って下茹でする必要がある。代表的なワラビなら「ワラビの量の倍の水、水の量の1%以下の重曹で茹でる」のが標準だ。タケノコなら「2~3本に対し米ぬかカップ1」を入れるのが基本である。
普段使う野菜にもアクが強い物がある
意外にアクが強いのがナスだ。また、大根も米のとぎ汁や生米と共に下茹でする、アクの強い野菜だ。ゴボウ、レンコンは特にアクが強く、前述したとおり変色が嫌なら酢水につけるといい。酢水の濃度は水5カップにつき酢大さじ1程度で、10分ほどさらしてから水洗いして使用する。ただし、ゴボウは香りも味わいのひとつ。アクを気にして水にさらし過ぎると風味が弱くなるため、あまり神経質にならず程々にしておこう。
結論
お気づきの方もいるかもしれないが、品種改良された栽培種ではなく、野生の山菜はアクが強い。これは、自力で動けない植物が昆虫などから身を守るための唯一の対策だからだ。ゴボウなども土中で虫に食われないためにアクで武装している。アクは食材の防御力。美味しく頂く前のひと手間に、食材への感謝を込めよう。