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牛肉をやわらかくするポイントは、お酒。そのメカニズムとは?

牛肉をやわらかくするポイントは、お酒。そのメカニズムとは?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

2019年12月13日

牛肉を焼いたり煮たりした時に固くなってしまった経験はないだろうか。牛肉が固くなる理由や酒で柔らかくなるメカニズム、浸ける時間などに触れながら、牛肉の調理のテクニックのひとつとして、牛肉を酒に漬け込むとやわらかく仕上がることについて解説する。

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1. 牛肉はなぜ固くなるのか

まず、牛肉の加熱調理による変化について説明しよう。
牛肉の部位にもよるが、基本的には50%前後が水分を占めており、15%前後がたんぱく質、残りのほとんどが脂質とそれ以外の栄養素といった構成になっている。
牛肉のタンパク質は、大きくは「筋繊維タンパク質」と「コラーゲン」から成る。細いひも状の「筋繊維タンパク質」の束を、非常に強い「コラーゲン」が束ねて筋肉を作り上げていく、といった具合だ。
筋繊維タンパク質は50度くらいから縮んで固くなり、加熱温度・時間によってさらに固さが増す。コラーゲンは75度~80度を超えると一気にゼラチン化しやすくなり、筋繊維タンパク質の繊維状にほろほろに崩れた状態になりやすくなる。そして、塊の肉や分厚い肉は筋切りをしないと固くなりやすい。そのため、もともとやわらかい部位の牛肉は高温短時間でさっと仕上げる調理法が向き、すね肉などコラーゲンの多い部位はしっかりと煮込むことでやわらかくなるのだ。
また、牛肉は50%以上が水分であることは前述したが、この水分(肉汁)は、加熱によって、蒸発したり、筋繊維タンパク質のちぢみにより水分が絞り出される、という現象が起こる。この保水性は、加熱のしすぎ(温度・時間)だけではなく、下塩の仕方(量・時間)によっても損なわれ、牛肉をはじめとする肉は、パサついた固い仕上がりになるのである。そのため、水分の損失と筋繊維タンパク質のちぢみを最小限に抑えることで、やわらかくジューシーな食感となるのだ。

2. 牛肉を酒に漬けこむとどうなるか(保水効果の影響)

牛肉を調理する時、和風・洋風に限らず、酒は昔から利用されてきた。それは、酒の持つ風味が牛肉のもつ旨みを引き出したり、コクを加えたり、牛肉の臭みを消すといった「味」の面がよくなるからだけではない。
酒に含まれるアルコール成分には、筋繊維タンパク質の網目状の組織の中に入り込み、水分を保ったゆるい状態をキープする性質がある。保水効果があるため、加熱によって失われる水分を保持し、牛肉がパサつき固くなりやすい状態にしにくくする、というのが1つだ。さらに、酒だけに限らずいえることであるが、酸性の液体に含まれる酸が筋肉組織を弱め、繊維のすきまをより大きくしてより多くの水分を蓄えさせる性質があるともいわれている。
もう1つは、酒に含まれるアルコールが肉の加熱時間を少なくしてくれるということ。アルコールは沸点が78度程度と低いため、低い温度でも材料に火が通りやすくなる。加熱時間を長くすると筋繊維タンパク質はどんどんちぢんで固くなることは前述したとおりだが、材料に火がとおりやすくなることで、水分を保持して牛肉のやわらかさを保ったまま加熱時間を短くすることができるということになる。
さらに、アルコールには味を染み込みやすくする効果もあるため、塩のふりすぎによる水分の流出もおさえることができる。
以上のように、酒のもつさまざまな効果で、牛肉はやわらかさを保つことができるようになるのである。

3. 牛肉を酒に漬けこむ調理のコツ

実際に牛肉を調理する際の酒の使い方についても解説しよう。
基本的には和食には日本酒、洋食にはワインといったように、その料理の国籍に合った酒を選ぶとよい。料理のために作られた料理酒は基本的には万能ではあるが、料理酒には、2%~2.5%ほどの塩分が添加されているため、塩味に気を付けよう。飲料用の酒を使う場合よりも量を控えめにするか、味付けの塩を少なめにする。酒自体の風味にこだわりたい場合には、料理酒ではなく、日本酒やワインといった、飲料用としてもおいしくいただけるような酒をおすすめする。
ちなみに、一般的な料理酒のアルコール度数は13~14%程度、日本酒は14~16%前後、ワインは12~16%前後となり、料理酒のアルコール度数は飲料用の酒と比べると低い。
料理に酒を使う場合、通常、煮切り(フランべ)という調理工程を入れるなど、アルコールを飛ばして、食べる時には残さないようにする。しかし、酒を入れた量や加熱温度、使う鍋やフライパンの直径によっても違ってくるといわれるが、アルコール成分を完全に飛ばそうとすると思いのほか時間がかかるようだ。アルコールを全く摂りたくない人や子供に食べさせる場合は、調理時間を長くするか、酒の量を減らすようにして、アルコール残量を極めて少なくするような工夫が必要である。
また、下処理での牛肉の漬けこみ時間は、肉の量や厚みにもよるが、1時間から半日程度がいいといわれている。漬けこみ過ぎると逆に肉が固くなったりするので注意が必要だ。

結論

牛肉は加熱すると、タンパク質の熱変性がおこり、ある温度からどんどん固くなる。加熱時間を短縮して水分を保持することで牛肉のやわらかさは損なわれないようにするため、調理テクニックのひとつとして酒を使う方法があることはおわかりいただけたであろうか。酒の種類や料理との組み合わせによっても醸し出される風味は変わってくるので、酒の種類を色々試してみるのも面白いだろう。
  

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