このサイトは、画面を 
縦にしてご覧ください。
ゆで卵は冷やすときれいに剥ける!?そのメカニズムとは

ゆで卵は冷やすときれいに剥ける!?そのメカニズムとは

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2021年4月19日

ゆで卵はいろいろな食シーンに登場する。調理手順は単純であるが、美しく作ろうと思うと意外と難しい。ゆで卵の殻がなかなかむけなかったり、白身までくっついてしまった経験は誰にでもあるだろう。それでは、どうすればゆで卵はきれいにむけるのか。ゆで卵の構造について触れ、冷やすと殻が剥きやすくなることを解説する。冷やす方法について提案する。

  

1. 卵の殻の構造

卵の殻は数層に分かれ、大きくは、「卵殻(殻)」と「卵殻膜(薄皮)」から成る。
  • 卵殻部:卵殻部はさらに、「クチクラ」「卵殻石灰層」といった層が重なっており、ほぼ炭酸カルシウムでできているため硬く、卵の中身を守っている。卵殻には、「気孔」と呼ばれる無数の穴があいており、卵黄の成長に必要な酸素を取り込む作りとなっている。通常は極薄い「クチクラ」が「気孔」を覆い空気だけを通しているのだが、鮮度が落ちたり洗ったり、気温が高くなったりすることでこの「クチクラ」は簡単にはがれおち、空気や微生物が入りやすくなる。新鮮なたまごは表面がざらざらしているが、このざらざらの正体は「クチクラ」である。
  • 卵殻膜部:卵殻に密着した薄い膜で、「外卵膜」と「内卵膜」の2層から成る。卵を酸に漬け込むと卵殻は溶けるが、卵殻膜は溶けないほど丈夫。卵の鈍端部(尖ってない方)では卵殻から離れており、そこにできた空間は「気室」と呼ばれる。産卵直後のたまごにはほとんど見られず、産卵後1時間ほどくらいから、時間の経過とともに大きくなっていく。
つまり、鮮度が高いほど、「クチクラ」が残っているため卵の表面がざらざらしていて、「気室」の部分は小さいということがいえる。

2. ゆで卵を冷やすとどうなるか

ゆで卵のからがむきにくい状態として、卵殻膜と卵白がくっついてはなれず、むりにむこうとして卵白もはがれてしまう、ということが多いだろう。
ゆで卵のからをむきやすくするテクニックの1つに、卵をゆでたあと急速に冷やす、というものがある。
卵がゆでられていくと、気室部分の圧力が増し、気室にあった空気は殻にあいた気孔から外部へと押し出されていく。そして、加熱により膨張していた卵白のたんぱく質が、急冷により収縮し、収縮率の異なる卵殻膜との間に隙間ができ、殻がむきやすくなるといわれている。
さらに、流水に浸しながらむくことで、卵と卵殻膜とのすきまに水がはいりこんで、よりむきやすくなるようだ。
逆に、ゆで卵が熱い状態であれば、もちろん熱くて手でむきにくい、ということもあるが、自然に冷ましたものも、卵殻膜と卵白はくっついたままになりやすい。ゆでた時の熱で膨張したままの卵白と卵殻膜が接したまま自然に温度が下がっただけであるため、殻がむきにくいのだ。
このように、卵の構造や性質により、ゆで卵はゆでたてを急冷することで殻がむけやすくなる。また、急冷することで卵の加熱しすぎを防ぐことができ、食感やできあがりの状態をコントロールしやすくなる。

3. ゆで卵に向く卵を選び、ゆでたら冷やせ

生みたての卵はゆで卵に向かないといわれる。それには2つの説がある。
前述したように、産卵直後の卵は、気室の部分が小さくクチクラが気孔を覆っているため、新鮮な卵白部に含まれる炭酸ガスが卵内部にとどまったままになっている(卵白pHが低い状態)。卵白pHが低いと加熱により卵殻膜(うす皮)と卵白が結びつきやすくなるためうまくむけなくなってしまう、という説がひとつ。
もうひとつは、卵白中の炭酸ガスが気化することで卵白の内圧が高まり、卵白と卵殻膜が卵殻に強く押し付けられてしまうため、とする説だ。
いずれにしても、新鮮な卵の殻がむきにくいのは卵白の炭酸ガスに起因しているのだが、卵内部の炭酸ガスは、保存しているうちに気孔から抜けていくため、殻もむきやすくなる。
このように、ある程度日数の経った卵の方がゆで卵にむいているわけであるが、買ったばかりの卵でゆで卵を作らなければならないことも多いだろう。その場合は、ゆでる前に、気室のある部分にピンで小さな穴をあけたり、スプーンで軽くたたいてヒビを入れるなどのひと手間をかけておくとよい。もちろん、穴をあけすぎて中身が外に流れ出たり、中の卵黄を破ってしまうと失敗であるが。
そして、好みの時間卵をゆでたあと、少しの間乾かしておき、氷を入れた水に一気につけて急速に冷やす。このとき殻にヒビを入れ、流水で洗うようにするとするっとむきやすくなる。

結論

鮮度が高い卵は、卵白に含まれる炭酸ガスによって、卵白・卵殻膜・卵殻がくっついた状態になりやすく、ゆで卵にすると殻が剥きにくい。冷水につけ急冷することで、むきにくい殻もむきやすくなるので、気室部分に穴をあける方法とともに、ぜひ試してみてほしい。
ちなみに、鮮度の高すぎる卵は、卵白に炭酸ガスがたまっているため、ゆで卵にすると白身の部分がボソボソとした食感になっているため、食す面からもゆで卵にはむかないといわれている。
インフォメーションマークアイコンオリひとを楽しむための注意事項はこちら
  • 公開日:

    2017年9月15日

  • 更新日:

    2021年4月19日

この記事をシェアする      
  • Facebook
  • Twitter
  • Hatebu
  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

人気記事一覧

急上昇
週間

新着記事一覧新着記事一覧