1. ナスの基本の下処理

ナスの故郷と種類
夏は、植物分類上は、ナス科のナス属に属す。あまり知られていないが、トマトやじゃがいもも同属。日本で一般的に流通しているのは、卵型のものか、ややそれより面長のもの。そのほかにも、漬物などによく用いられる水ナス、丸型の賀茂茄子、とても長い長茄子などがあり、その種類は180種以上。世界的に見ると1000種類以上の品種があると言われている。
正しいアク抜き
ナスは、切ってしばらく経つと黒ずんでくる場合がある。これはアクの酸化による現象。とはいえ、近頃は品種改良の甲斐もあり、アクの少ないものも多い。切った後、さっと水にくぐらせる程度で良さそう。あまり長い時間つけるのは厳禁!栄養が流出してしまう可能性があるからだ。色を美しく仕上げたい、漬物などは、塩を振って、出てくる水分を拭き取ると良い。
ガクとトゲ
ヘタと額の周りには、トゲがいっぱい!これは、新鮮の証なので、トゲのないものを選ぶのではなく、上手に処理をしたい。まずは、ヘタを切り落とす。ガクは切り落とさず、周りにぐるりと切り目を入れ、ヒラヒラした部分を取り去る。
2. シマに剥いて煮物に

ピーラーが便利
縞目に剥くというのは、3〜4本縦に皮を剥くこと。シマシマになるので、そのように呼ばれる。包丁でもできないことはないが、ピーラーで剥くのが簡単でオススメ。紫の皮と白い果肉のコントラストが美しく、見た目にも美味しそうに仕上がる。
煮物に向くワケ
ナスは、皮がしっかりとしているので、火の通りと味の染みがやや悪い。縞目に剥くと果肉が現れるので、その難点が解消される。和食の椀ものなどに出てくる、ナスの煮物は縞目に剥かれていたり、隠し包丁を入れられている場合が多いが、これはそのためだ。
3. 乱切りで麻婆豆腐に

断面が多くなるのがミソ
ナスが主役のおかずは、大胆に切るのが正解。中でもオススメは、乱切り。乱切りは、断面が多くなるので、果肉部分の露出が多く、調味料が染みやすい。さらに、味が絡みやすいところも麻婆茄子に剥くポイント。マーボナス以外にも揚げ浸しなどにも向いている。
乱切りの上手な方法
乱切りの基本は、回しながら切ること。ナスを端から、回しながら切っていく。大きめのものであれば、半分に切ってから、行うといいだろう。
4. そのほかの切り方

料理に合わせて
そのほかには、はさみ揚げやムサカ、グラタンなどには、断面が多く出るよう縦にスライスするのがオススメ。揚げ浸しや炒め物などには、縦半分に切ってか2〜3等分して、細長く切るのもいいだろう。料理に合わせて、フレキシブルにアレンジしたい。
焼きナスは丸のまま
ちなみに焼きナスを作る場合は、基本の下処理を行なったあと、丸のまま網や魚焼きグリルで焼くのが正解。縦に1本、浅い切り込みを入れておくと皮の破裂を防ぐことができ、火の通りもより早くなるから、オススメ。丸焦げになるまで焼き、冷水に取り、粗熱が取れたら、下手から縦に皮を剥くと良い。
結論
ナスは、スポンジ状の果肉が油や味を吸収することで、美味しさが増す。皮と果肉のバランスが良くなるよう、カットするのが正解だ。これから、最盛期を迎えるなす。美味しく食べるために、今一度、基本の下処理、切り方をおさらいするといいだろう。