1. 熟成肉とは

熟成肉とはどのような肉なのか、腐敗肉との違いや熟成の方法について紹介する。
- 熟成肉と腐敗肉の違い
熟成肉は、一定の条件のもと牛肉の赤身部分を寝かせて、旨味を引き出した肉である。後述するが、ただ単に肉を寝かせるだけでは、有害な微生物も肉についてしまい、腐敗肉になってしまう。熟成肉は、徹底した環境管理をした上で、適切な微生物を付着させた肉のことをいう。 - 熟成肉ブームの歴史
では、熟成肉とはどのような肉のことなのだろうか。熟成肉は、もともとは欧米で発展した肉である。ニューヨークでは30年前に一部のスーパーやデリカテッセン、ステーキレストランで販売されていた。その後、人気の上昇とともに高級スーパーやレストランで取扱われるようになり、店内のショーケースに熟成肉の塊を展示する店も現れるようになった。日本では、健康志向の高まりとともにブームが起こり、きめ細かいサシが入った霜降り肉人気とは別に、熟成させた赤身肉が注目され始めたのである。また、和牛より安価な交雑牛や乳牛を熟成させ高付加価値をつけられるという意味でも熟成肉の新たな意義が見出された。ちなみに、吉野家の牛丼に使われる肉は、かつては米国産の冷凍肉であったが、今では米国から輸入した肉を吉野家独自の基準で熟成させた肉を使っている。
2. 熟成肉の作り方

熟成肉の作り方は、いくつか方法があり、時代の変遷とともに人気の作り方も変化を遂げつつある。
- ドライエイジングビーフ
ドライエイジングビーフは、保管庫内の温度を1度前後、湿度を70~80%、ファンで風を送って乾燥熟成させる方法です。さらに熟成させる時間も管理することで、香り高く旨みが熟成肉を作ることができます。これはニューヨークなど欧米で発祥した方法で、水分が多い赤身肉をいかに柔らかく美味しい肉に仕上げるかがポイントになる。 - ウェットエイジングビーフ
ドライエイジングビーフは、肉に風をあてて乾燥、熟成させるが、ウェットエイジングビーフは、真空パックにした肉をそのまま熟成させる方法である。鮮度を保ちながら熟成を進め、保存が効くという利点がある。フランスやイタリアの精肉店では、この方法が主流である。 - 枝枯らし
枝枯らしは、日本で旧くから行われてきた方法で、枝肉のまま風を当てずに熟成させる。ドライエイジングビーフでは付着しない微生物もつき、味噌のような香りを出すこともできる。水分が少ない和牛肉に適した方法で、いずれの方法でも使われる肉は、温度や湿度、風など環境の変化によって蒸発する自由水を多く含む牛肉が使われる。微生物が付着し、カビが生えた表面は削り取って提供される。
3. ニューヨークスタイルのドライエイジングビーフが人気

ドライエイジングビーフにすると、旨み成分のアミノ酸の量が5倍~6倍に増え、繊維がほぐれるため、通常赤身肉を噛む力より2割少ない力で噛み切れるという。ドライエイジングビーフの中でも人気なのがニューヨークスタイルの熟成肉だ。枝肉から骨付き肉を切り離し、骨付きロース肉に微生物を付着させる方法だ。
このニューヨークスタイルの熟成肉には4つの特徴がある。1つめは「テンダネス(柔らかさ)」だ。牛肉のタンパク質分解酵素が肉をスピーディー、かつ強力に柔らかくするため、筋繊維がほぐれて肉質がソフトになる。2つめは「フレーバー(特有の風味)」である。腐敗肉とは違い温度や湿度、風力、熟成時間をきちんと管理された肉は、「ナッティフレーバー」というナッツに似た奥深い芳香がする。3つめは「テイスティ(旨み)」にも特徴がある。ドライエイジングビーフは、他の熟成方法に比べ、旨みのもとになるアミノ酸の量が非常に多い。4つめは、「ジューシー(本来の水分)」で、乾燥させるとはいうものの、細胞内の水分は保湿したまま熟成を進める。そのため、脂肪の旨みではなく、赤身肉が本来持っている美味しさが、噛むたびにじんわり広がっていく。
近年では、ドライエイジングビーフからさらに進化した日本酒を利用した熟成肉やソルトエイジングビーフが開発されている。二段熟成のローストビーフなど、赤身肉にあまり関心がなかった方でも垂涎ものの熟成肉がある。ぜひ一度お試しいただきたい。
このニューヨークスタイルの熟成肉には4つの特徴がある。1つめは「テンダネス(柔らかさ)」だ。牛肉のタンパク質分解酵素が肉をスピーディー、かつ強力に柔らかくするため、筋繊維がほぐれて肉質がソフトになる。2つめは「フレーバー(特有の風味)」である。腐敗肉とは違い温度や湿度、風力、熟成時間をきちんと管理された肉は、「ナッティフレーバー」というナッツに似た奥深い芳香がする。3つめは「テイスティ(旨み)」にも特徴がある。ドライエイジングビーフは、他の熟成方法に比べ、旨みのもとになるアミノ酸の量が非常に多い。4つめは、「ジューシー(本来の水分)」で、乾燥させるとはいうものの、細胞内の水分は保湿したまま熟成を進める。そのため、脂肪の旨みではなく、赤身肉が本来持っている美味しさが、噛むたびにじんわり広がっていく。
近年では、ドライエイジングビーフからさらに進化した日本酒を利用した熟成肉やソルトエイジングビーフが開発されている。二段熟成のローストビーフなど、赤身肉にあまり関心がなかった方でも垂涎ものの熟成肉がある。ぜひ一度お試しいただきたい。