1. まずはコーヒーの基本から
コーヒーがコーヒー豆を煎って挽いて淹れたもの、ということは有名な常識だ。しかし、その豆がどのような農作物か知っている人はかなりのコーヒー通である。
コーヒーの原料はまるでサクランボ?
コーヒーの日本学名はコーヒーノキ。コーヒーはコーヒーの木に実る果実の、それも種子の部分だ。コーヒーの花はまるでジャスミンのような香りのする白い花で、花の後6~8ヶ月の間に徐々に果実が育って行く。最初は青緑色だった果実は熟すと真っ赤になるためコーヒーチェリーと呼ばれている。この状態ではよく見るコーヒー豆とは誰も分からない程鮮やかな赤い果実だ。果実から取り出された種子は淡い緑色をしており、この「生豆」を焙煎することでようやく我々が見たことのあるコーヒー豆となる。
コーヒーの品種や生産地
コーヒーの木の原産はエチオピアで、品種は300種類以上にもなるが、飲用されているのはたった3種類だけだ。それが、コーヒー三大栽培種と呼ばれる「アラビカ種」「ロブスタ種」「リベリカ種」である。リベリカ種は現在商業用にはほとんど使われていないため、我々の飲むコーヒーはアラビカ種かロブスタ種ということになるだろう。
アラビカ種の特徴
コーヒーとして優秀な品質を誇り、エチオピア原産の種。生産量も一番多いが、コーヒーの大敵「サビ病」に弱く、価格が高い。
ロブスタ種の特徴
アフリカのコンゴ原産で「丈夫な」「頑健な」という意味の名を持つロブスタ種。サビ病に強いが、味と香りがアラビカ種に全く及ばず、味わいが劣る。低価格なのが利点だ。
2. コーヒーの焙煎
生豆そのままでは飲むことが出来ないコーヒーを、焙煎=ローストして飲料加工していく。
焙煎とは何なのか
コーヒー豆に対して加熱と水分除去を行い飲用できる状態に加工していくことである。今のように焙煎が始まったのは15~16世紀とされるが、19世紀半ばまではほとんど家庭での焙煎だったようだ。自宅で焙煎するとは現代の日本人からしたら贅沢な感覚だ。
焙煎による味わいの違い
コーヒーの「深煎り」「浅煎り」等はよく使うが、味は8割方この焙煎で決まってしまう。現在日本国内では、浅い方からライトロースト、シナモンロースト、ミディアムロースト、ハイロースト、シティロースト、フルシティロースト、フレンチロースト、イタリアンローストと呼ばれている。カフェインの量は浅煎りの方が多いのだが、深煎りの方が多いと勘違いしている人も居るようだ。確かに苦みが強いのだが、深煎りはカフェイン少な目だ。浅煎りは生豆に近いフルーティーで酸味の強い味がする。
3. 美味しく飲む為に
それぞれの焙煎に最適な飲み方がある他、抽出方法にも色々な種類がある。
抽出方法と相性
一般家庭での代表的な抽出は布で漉すネルドリップ、紙で漉すペーパードリップだろう。コーヒーメーカーがあれば機械で自動抽出してもらえる。また、浅煎りであるほどブラックに、深煎りならアイスコーヒーやカフェオレ等ミルクアレンジにむく。最も深煎りのフレンチローストならエスプレッソが最適だ。
家庭向きの焙煎、挽き方
アメリカン向きのミディアムローストか、レギュラー向きのシティローストが無難だ。家庭のコーヒーメーカーはペーパードリップが多いため、豆の挽き方は中挽きかやや細挽きがいいだろう。豆の挽き具合が細かいと濃いコーヒーになるので、好みの濃さに合わせて挽き方を調節するといい。自宅で豆を挽く時は焙煎レベルと挽きの粗さを意識すると、味わいの違いが楽しめるだろう。
結論
自宅でいよいよ子供がコーヒーデビュー、という時は、深煎りの豆を粗挽きにしたものを選択し、牛乳でカフェオレにして濃度を調整してみよう。また、同じ豆を浅煎り・深煎りで味わい比べるのもおすすめだ。深煎りのどっしりした香ばしさも魅力だが、浅煎りでは砂糖やミルクは入れず、酸味やフルーティーな香りを楽しんでほしい。コーヒー豆が元々は「果実」だったと納得できるだろう。