1. 素材と加工

フライパンは素材と加工によって使い勝手が全く違う。日常使いと特別な料理用とで考えて購入するのも良いかもしれない。
素材別の特徴
軽くて扱いやすいアルミは、熱伝導が良くちょっとしたソース等には便利だが、あっという間に熱が伝わるので焦げやすく食材がくっつきやすい。ステンレスならさびや汚れに強いが、アルミより熱伝導が悪いので熱ムラができやすく、熱くなるまで時間がかかる。単体の素材使いではなく、異素材を何層か挟んだ層構造のフライパンがおすすめだ。最後に昔ながらの鉄だが、重たい、サビやすい、くっつきやすいため油を馴染ませる必要がある。しかし、熱源を選ばず高温調理が出来、肉をじっくり焼け、炒め物も水分が飛び香ばしく仕上がる。扱いがやや面倒でも、プロの料理人に鉄フライパン愛用者が多いのはこのためである。
便利な加工
有名なものはフッ素加工とセラミック加工だろう。フッ素加工はアルミやステンレスの表面をフッ素樹脂膜で覆ったもので、とにかく焦げ付かない。よく聞く「テフロン加工」とフッ素加工は同じもので、テフロンという名称がアメリカのデュポン社登録商標なのである(テフロン加工フライパン=全てデュポン社製)。セラミック加工はセラミックの粒子を表面にコートしたもので、これまた焦げ付きにくい。
2. 加工フライパンの一長一短

一般家庭で毎日手軽に使えるのが加工フライパンの強みだろう。
メリット
何よりその焦げ付きにくさが加工フライパンの魅力だ。特にホットケーキ等でその威力が発揮される。目玉焼きも崩れない。このため油が少なくて済み、カロリーカットにも役に立つ。また、軽くて扱いやすい点や、洗剤で普通に洗えるのもメリットだ。
デメリット
実は加工フライパンは高温調理に向かない。セラミックの方がフッ素よりは耐熱温度が高いが、表面加工が剥がれないよう中火以下の火加減が鉄則となる。フッ素加工の耐熱温度は約260度と言われ、強火で水気を飛ばしたい炒め物や肉を焼くことは少々苦手なのだ。金属製のフライ返しや洗い方によっては傷がつき、そこからも加工が剥がれるため、定期的な買い替えが必要となる。
3. 鉄のフライパンとの付き合い方

比較的短命な加工フライパンと違い、鉄のフライパンは手入れ次第で一生物となる。特徴と手入れ方法をよく確認しておこう。
特徴
何といっても高温調理が出来ることだ。鉄フライパンは直火にかけて1000度まで大丈夫なので、熱々に熱して豪快に食材を焼くことが出来る。弱点である焦げ付きを防ぐコツは使い始めだ。業務用でサビ止めのニスが塗ってある場合はまず空焼きしてニスを飛ばす。中性洗剤で洗い、強火でしっかり煙が立つまで空焼きしてから、多めの油をたっぷり注いでくず野菜を10分程炒めてみよう。菜箸等でフライパンの端や縁まで油を回し、くず野菜は捨ててしまう。これで鉄のアクが抜け、油が馴染んで焦げ付きにくくなる。
手入れや調理のコツ
温度が低いと焦げ付きやすい。鉄フライパンは薄煙が上がるまでよく熱してから調理を開始するのがお約束だ。取手を乾いた布巾等で握ると火傷も安心である。手入れ法として、加工フライパンのように洗剤で洗ってはいけない。熱いうちにぬるま湯で洗うのだが、万が一頑固に焦げ付いたら金たわしで落とす。こうなると再度くず野菜を炒める作業が必要となる。
保管する時
水気厳禁のため、洗い終わったらすぐ火にかけて空焼きし、キッチンペーパーで拭いておこう。長期間使わない時は油を塗って新聞紙で包むと良いのだが、頻繁に使えばサビの心配は要らない。
結論
毎週末、ここぞという時に鉄フライパンで香ばしい料理を食卓に出せるのは中々魅力的だ。ソース用や目玉焼き用に小さめの加工フライパン、炒めたり焼いたりする用に鉄フライパンと使い分けてもいいだろう。ちなみに、鉄フライパンの調理は鍋肌から直接鉄分を摂取出来る。これを機に鉄フライパンを育ててみてはいかがだろうか。