1. 煮干しの歴史と製法
煮干しは海で囲まれた日本ではどこの海岸でもとれたので、18世紀初め頃に瀬渡名喜地方で現在の煮干しに近い物が生産されていた。今でこそ出汁をとった後の煮干しは取り除かれるが、昔は具としてそのまま入っていることも多かった。カルシウムが豊富に含まれている。
煮干しの作り方
健康食品として注目される煮干しだが、それもそのはず。煮干しの作り方は至ってシンプルである。添加物等も普通は一切必要としない。原料の小魚を80~100度でゆっくりと煮て行く。煮上がった小魚は屋外に一枚一枚丁寧に並べられ、太陽光で干しあがるのだ。煮干しの中に混入したゴミ等は手作業で取り除かれ、その名の通り「煮干し」の出来上がりである。
煮干しの種類
原料となる小魚は様々だ。よく目にする一般的な「カタクチイワシ」の煮干し以外にも、マイワシ、ウルメイワシの煮干しもある。また、「アゴ出汁」として知られるトビウオの煮干し、マアジ、なんと鯛の煮干しまであるのだ。ちなみに、同じく出汁に使わる乾物のホタテ貝柱、干しアワビ、ヒジキ等も「煮て干す」ため煮干しの仲間になるだろう。
2. 煮干しの栄養価

固い物をよく噛む効果があり無添加のため、子供のオヤツに最適だ。成長期に、妊婦・授乳期の女性にもそのまま食べて嬉しいオヤツになる。
健康効果が高い
小骨ごと食べられるので、歯や骨を頑丈にする・骨粗しょう症の予防・ストレスを抑える等の効果がある、カルシウムを効率よく摂取できる。カルシウムの吸収率を上げるビタミンDも多く含まれている。貧血を防ぐ鉄分、血液をサラサラにするDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)も多い。また、煮干しは特有の「イワシペプチド」と呼ばれる酵素も含んでおり、これは血圧を安定させ高血圧予防効果が大きいことが判明している。
食べ過ぎには要注意
煮干しは傷みやすいため、出来れば頭とはらわたを取り除いた後冷蔵庫保管で密閉容器に入れ、乾燥剤と一緒にして三ヶ月以内に食べきろう。また煮干しは塩分とプリン体を多く含んでいる。そのまま数匹食べる分には問題ないが、高血圧や通風の人は過剰摂取厳禁である。
3. 煮干し出汁の取り方と保存法

煮干しを用意したら出汁の取り方は非常にシンプルだ。時間はかかるが水につけておくだけである。ただし、夏場はその時間も含めて必ず冷蔵庫に入れよう。
まずは水につける
頭とはらわたを取った煮干し約20gを1ℓほどの水に入れ、半日ほど保管する。夜寝る前につけておくと朝には煮干し出汁が取れているだろう。もしさらにえぐみを取り去りたければ、中火で沸騰直前まで煮た後でコトコトと10分ほど煮てみよう。アクはこまめにすくい取る。最後に煮干しを引き上げて完成だ。出汁を取った後の煮干しは醤油をかけてそのまま食べられる。
冷蔵保存する
風味が飛びやすいためできるだけ毎日作ることがベストなのだが、密閉容器に入れれば冷蔵保存できる。もしうどん出汁として多めに取って余ったら、1~2日以内を目安に使い切ろう。
冷凍保存する
よく冷ました出汁の冷凍保存も可能だ。タッパーで使う分保存するのがおすすめだが、製氷皿に入れてキューブ状の少量を冷凍することも出来る。この場合、凍った後は風味が落ちるのを防ぐため、保存袋等への移し替えを行おう。冷凍保存の目安は約3週間。解凍はそのまま加熱してもいいし、冷蔵庫に移して自然解凍することも出来る。
結論
煮干し出汁の魅力は何といっても力強い魚の風味だ。面倒でも苦みの出やすい頭とはらわたはまとめて取り除いておくといい。より雑味を味わいたい場合はあえてそのまま使うのも一つの方法である。家族で煮干しの頭とはらわたを取り除く作業をし、翌朝の味噌汁を楽しみに待つのも休日前夜の楽しい過ごし方になるだろう。