1. 昆布出汁を取る

昆布には大きく分けて利尻、真昆布、羅臼、日高と4種類がある。家庭なら扱いやすく出汁がよくとれる真昆布がおすすめだ。旨味の素は「グルタミン酸」である。
昆布は一晩水に置く
作りやすい分量で、昆布30gに対し水1.8ℓだ。濡れたキッチンペーパー等でサッと汚れを拭き取り、鍋に昆布と水を入れて一晩置く。次の日そのまま中火にかけ、アクは丁寧に取り除こう。昆布の周りに泡が付いてきたら引き上げ時だ。10分程度で沸騰直前まで持って行くとベストの火加減だろう。ちなみに、出汁はタッパー等で冷凍保存出来る。
昆布出汁の合う料理
昆布出汁は精進料理に使われることが多く、その淡泊な品の良い味は野菜料理にぴったりだ。昆布なら野菜の繊細な旨味を邪魔せず、互いの風味を引き立てることが可能である。具体例として、湯豆腐、ふろふき大根、かぼちゃや豆類、芋類等のでんぷん質がよく合う。炊き込みご飯の出汁としても、豆ご飯等の素朴な具なら昆布出汁で炊き上げると最高だろう。
2. かつお出汁を取る

昆布に対しかつお出汁のうまみ成分は「イノシン酸」だ。俗に言う合わせ出汁とは、昆布とかつおを合わせた出汁のことである。かつお出汁の取り方は諸説あるが、家庭では手軽な一番出汁がおすすめだ。
コツは温度
出汁用の水を沸騰させよう。昆布が水から煮るのに対し、かつお出汁は熱湯がポイントだ。温度が上がり切らないうちにかつお節を入れると出汁が濁るので注意しよう。水1.8ℓを沸騰させ、一度火を止めてからかつお節30gを投入する。底に沈むまで静かに置き、1~2分後ペーパータオルを敷いたザル等で一気に漉したら一番出汁の出来上がりだ。通常はえぐみが出るのでかつお節は絞らない。
かつお出汁と相性のいい食材
かつお出汁や合わせ出汁は何にでも合うが、やはり吸い物や味噌汁、そばつゆ、天つゆにはかつお出汁が欠かせない。味付けは醤油とベストマッチする。おひたしや煮びたしにもむいている。かきたま汁、出汁巻き卵にもかつお出汁が最適だ。茶碗蒸し、とろろ汁、親子丼、酢の物にもおすすめできる。油揚げとの相性がいいため、煮びたしなら油揚げを入れてみよう。
3. 煮干し出汁を取る

今ではあまり馴染みのない煮干し出汁だが、昔は日本中どこの海岸でも小魚を使った煮干しの出汁が普通だった。日常よく飲む味噌汁に相性が抜群の出汁とも言える。きちんと使い方をマスターしよう。
煮干しの下ごしらえと出汁の取り方
下ごしらえは都度行ってもいいし、あらかじめしておくことも出来る。頭を背の方へ折って取り除き、身を開くようにしてはらわたの部分も取り除く。中骨の所で半身に裂くと旨味が出やすくなる。下ごしらえの後にできればフライパンで3~4分乾煎りすると臭みが飛ぶ。水1ℓに一晩、時間がなければ30分でもいいので20g程をつけておこう。夏場は必ず冷蔵庫で保管するようにしたい。鍋に水出しした出汁を煮干しごと入れ、中火にかける。アクが出たら綺麗にとるのもポイントだ。コトコト弱火の火加減で5~6分煮てから煮干しを取り除けば、煮干し出汁の完成である。昆布を一緒に入れると合わせ出汁になるが、昆布は煮込む前に取り除こう。
煮干し出汁の合う料理
煮干し出汁の一番の魅力はしっかりした魚の味わいと力強い旨味。もし味噌汁が具沢山でも、煮干し出汁なら負けることがない。また、豚肉、切り干し大根等のクセのある食材に合う。雑味が醍醐味のうどん出汁にも煮干し出汁がぴったりだ。
結論
それぞれの基本出汁は合わせ出汁にすることで旨味も増すため、水に一晩つける時に昆布を一緒にするのもいいだろう。たまには朝の味噌汁の為に、前の晩からゆっくり出汁を水出ししてみよう。