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漬物って何!?乳酸発酵した漬物は栄養も生野菜より優れてる?

漬物って何!?乳酸発酵した漬物は栄養も生野菜より優れてる?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:東京農業大学 醸造科学科 教授 前橋健二(まえはしけんじ)

鉛筆アイコン 2020年8月 7日

漬物と聞くと貴方はどんなイメージを思い浮かべるだろうか。古臭いとか、塩分が多い脇役…等々、どちらかと言えば地味な印象だが、実は発酵食品として高い健康効果を誇る。自宅で簡単に漬けられて健康効果も高い漬物の手作り方法や、おすすめ食材をご紹介しよう。

  

1. 漬物の歴史と健康

日本人と漬物の付き合いは1000年以上と言われる。近年は健康効果も見直されている素晴らしい食べ物だ。

神社があるほどありがたい存在

日本での記録初登場は天平年間(729~749年)の木簡まで遡る。今と変わらない漬物の製造方法は江戸時代に出来上がり、近世でさらなる発展を遂げた。何と愛知県には境内に漬物を納める「香の物殿」がある萱津神社があり、漬物の神社として知られている。

驚きの健康効果

実は生野菜よりも漬物の方が優れた健康効果を持っている。特に浅漬けより乳酸発酵したものが良いとされ、乳酸菌が作り出したビタミンB群を摂取することが可能だ。カサが減っている為食物繊維も豊富に摂れるし、噛むことによる脳への刺激も見逃せない。乳酸菌はリラックス効果・ストレス軽減・免疫力増進効果のあるアミノ酸GABAも生産している。漬物は植物性乳酸菌が摂れるので、日本人の腸に合うと言われており、ヨーグルトやチーズ等の乳製品が苦手な人にはぜひ積極的に摂ってもらいたい発酵食品なのである。

2. 手作り漬物の利点

市販の漬物でも十分健康効果は摂取出来るが、やはり自分で手作りするメリットは大きい。

塩分調節と無添加

昔ながらの漬物は保存を効かせる為に塩を効かせていたが、健康志向の近年は「減塩」が主流だ。しかし、その代わり保存させるための添加物が増えたのも事実である。手作りなら可能な限り減塩で、冷蔵庫や冷凍保存を併用することで塩分調節出来るし、食べる直前の流水による塩抜きをすると更に減塩できる。おまけに無添加だ。

野菜を補える

水分が抜けカサが減ることで野菜を沢山補給出来るし、非加熱の為ビタミン類も損なわない。緑黄色野菜をサラダ感覚で食べられるのが魅力である。

3. おすすめの手作り漬物食材と方法

自宅で手作りしやすいおすすめの漬物と、漬け方に合った食材を挙げてみよう。食材と一緒に漬け込むもので無限のバリエーションが出来上がる。

浅漬け

乳酸発酵の恩恵は受けられないものの、一番手軽に野菜を摂取できるのが浅漬けだ。キュウリ、人参、カブ等何でも食べやすく切って塩と一緒に袋やタッパーに入れるだけで、水分が抜けカサが減り、サラダ感覚で頂ける。数日内に食べきるつもりで塩をうんと少なめにし、冷蔵庫保管するのも手だ。塩昆布、鷹の爪、柚子の皮等を一緒に浸けても美味で、子供も食べやすい。

味噌漬け

手軽な上に味噌そのものが発酵食品なので健康効果が期待出来る。漬床用にタッパーに食材が隠れる程度の味噌を入れて漬けよう。野菜の他に卵黄をそっと漬けた卵黄の味噌漬けも絶品である。味噌が硬ければ酒少量で調節し、味噌に卵黄を埋めて3~4日目で食べごろだ。破れるのが怖い人はガーゼを敷く等の工夫をしよう。

粕漬け

作りやすい量の目安は酒粕500gに対し味噌50g、砂糖大さじ5、酒50~100mlである。ボウルに酒以外の材料を入れてよく混ぜ、最後に味噌より少し柔らかくなる程度の硬さになるよう酒で調節する。タッパーに入れたら粕床の出来上がりだ。食材を入れていない粕床は冷凍保存可能なので、自然解凍して都度漬ければ一年くらいはもつ。魚・肉と野菜をつけるタッパーは別にすると良いだろう。珍しい食材としてはマシュマロも粕漬けで美味しい食材だ。半日ほどで十分漬かり、大人向けの楽しみになる。

糠漬け

自家製の糠漬けは最高に美味しいが、毎日朝晩の手入れが必須で匂いもかなりする。発酵食品としての健康効果は群を抜いて高いので、本気で漬物を始めたい人は挑戦してみよう。ぬか床は初夏に作るのが鉄板だ。まず、糠には「炒り糠」と「生糠」があり、初めは手軽に炒り糠をおすすめする。作りやすい分量で、炒り糠1kg、水1ℓ(糠と同量)、塩50gを用意する。これが入る分量のぬか床ケースを用意し、分量外の熱湯や焼酎でよく消毒し、水気はペーパー等で完全に拭き取る。手洗いもしっかり行い、匂いが気になる人はこの段階で手袋をしよう。水を沸騰させ塩を溶かして冷ましたら、ケースに入れた糠に少しずつその湯冷ましを混ぜて耳たぶより少し硬いくらいの硬さに調節する。そこへ捨ててもいい野菜くず数種類(キャベツや人参、大根の切れ端など)を混ぜて、表面を平らにし、ケースのふち等についた糠はキッチンペーパーで綺麗に拭き取る。この周囲についてしまった糠を拭き取る作業がとても大切なので、毎度必ず行うようにしよう。日中の気温が27度くらいまでは冷暗所、それ以上の高温期は冷蔵庫に入れ、一日最低一回、出来れば朝晩必ずぬか床をかき混ぜる。ぬか床が完成するのは1週間後で、一週間したらくず野菜を捨てて、山椒の実や鷹の爪をひとつまみぬか床に入れて準備が終了だ。ここからようやく好きな野菜を漬け込むことが出来る。一日2回かき混ぜることと、かき混ぜた時に表面をならして余分な糠は必ず綺麗に拭き取ることを忘れないようにしよう。漬け込んだ野菜からの水分でぬか床が緩くなってくるので、その都度炒り糠を追加して常に耳たぶより少し硬いくらいの状態をキープしよう。また、ぬか床特有のいい匂いは問題ないのだが、もしヨーグルトのような酸っぱい臭いがしたら乳酸菌のバランスが崩れている証拠だ。炒り糠や塩を足しても臭いが改善されない場合は、ぬか床をいちから作り直した方がいいだろう。

結論

野菜、ビタミン、乳酸菌とたくさんの健康効果が得られる手作り漬物。新たな組み合わせを探して色々な工夫をしてみよう。一つだけ注意したいのが保存だ。塩、酒、味噌、酢等で長期保存できるとは言うものの、市販品のように完全滅菌は出来ない。卵、肉、魚等は特に数日以内に食べるようにし、冷蔵庫を上手に利用して衛生的に食べ切るようにしよう。
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  • 公開日:

    2017年10月23日

  • 更新日:

    2020年8月 7日

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