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「ひとにぎり」と「ひとつかみ」はどう違うの?

「ひとにぎり」と「ひとつかみ」はどう違うの?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2021年3月12日

日本語は世界中の言語の中でも特に表現力に富むことで知られており、なんとなく意味はわかっても使いこなせない表現が少なくない。今回は、日本人であっても難しい表現にフィーチャーする。「ひとにぎり」と「ひとつかみ」の違いを正しく説明できるだろうか?

  

1. 日本語は簡単?

美しく、難しい日本語

我々日本人が話す言葉は、当然日本語である。方言はあるが、日本のどの地域に行っても日本語が通じる。生まれた瞬間から日本語に触れ、当たり前のように日本語環境で生活してきた日本人は、無意識に日本語を聞いて理解し、そして話すことができる。しかし、日本語には同じような意味合いを持つ言葉やわずかな違いを表現する言葉も多く、意味はわかっても活用できなかったり、違いがわからなかったりする。だから、日本語は難しいのだ。日本語は世界中に5000種類以上も存在すると言われる言語の中でもっとも表現力に富む言語であり、ひとつのことを伝えるにも何通りもの言い回しが可能である。この表現の豊かさは日本語を美しくするが、難しくしていることも紛れもない事実である。

「少々」と「ひとつまみ」は同じ?

日本語の難しさは、いろいろなシーンに現れる。例えば料理をする時だ。「塩を小匙~」と表現することもあれば、「塩少々」や「ひとつまみの塩」と表現することもある。小匙1杯を少々とは言わないが、「小匙1/4」と「少々」、そして「ひとつまみ」は同じくらいの量に感じる。定義で調べてみると、以下のようになった(塩の場合)。
  • 小匙1/4=1.5グラム
  • 少々=0.3~0.6グラム
  • ひとつまみ=0.6~1グラム
「少々」は親指と人差し指の2本でつまむ量、「ひとつまみ」は親指と人差し指と中指の3本でつまむ量と定義されている。このように、日本語には同じようで違う表現が多い。ここからは、「ひとにぎり」と「ひとつかみ」についてじっくりと解説する。

2. "ひとにぎり"と"ひとつかみ"の意味と例文

「ひとにぎり」と「ひとつかみ」の違いはわかりにくい。どちらも握った手に収まる量に感じる。しかし、「握る(にぎる)」と「掴む(つかむ)」の違いならどうだろう?何となくでも違いがわかるのではないだろうか。「ひとにぎり」と「ひとつかみ」の意味と例文から違いを判断しよう。

「ひとにぎり」と「ひとつかみ」の意味

① ひとにぎり
・数量が少ないさま(実用日本語表現辞典)
・片手で握ること。また、その程度のわずかの量(デジタル大辞泉)
・片手で一度握ること。また、その程度の量や太さ。転じて、わずかの量(大辞林)
・たやすく握りつぶすこと。簡単にやっつけること(デジタル大辞泉、大辞林)
② ひとつかみ
・片手でつかむこと。また、その程度の分量。わずかな量(デジタル大辞泉)
・簡単に取り押さえること(デジタル大辞泉)
・片手で一度つかむこと。また、その程度の量。転じて、わずかの量(大辞林)
・簡単に相手を負かすこと(大辞林)

「ひとにぎり」と「ひとつかみ」の例文

① ひとにぎり
・合格できる人はごくひとにぎりだけである
・パスタひとにぎりは一人前の目安である
② ひとつかみ
・ひとつかみの米しか残っていない
・かつお節ひとつかみは約15~20グラムである

3. 結局"ひとにぎり"と"ひとつかみ"は同じ?

「握る」と「掴む」

「握る」と「掴む」は違う。"手を握っている状態"と手を掴んでいる状態"を想像するとわかりやすい。「塩をひとにぎり」と「塩をひとつかみ」の違いは難しいが、"飴を握っている状態"と"飴を掴んでいる状態"ならどうだろう?なんとなくだが、"飴を握る"は片方の手のひらの中に2~3粒の飴があって手をギュっと握っている状態、一方"飴を掴む"は片方の手を広げて飴をいっぱい掴んでいる状態が想像できる。わかりづらければボックスティッシュを持ってみよう。手のひらよりはるかに大きいボックスティッシュを握ることはできないが、掴むことならできるだろう。これが"握る"と"掴む"の違い、握った拳に収めるのか手を広げて物をとらえるかだ。

「塩ひとにぎり」は大匙2

ということは、意味はどちらも「わずかの量」だが、"ひとにぎり"よりも"ひとつかみ"の方が多いのである。しかし、一般的にはほとんど差のない表現として使われる。と言うよりも、対象となるもの次第で使い分けられると言った方が良いかもしれない。前の項目で例文として挙げたが、握ると潰れてしまうかつお節なら"ひとつかみ"、握れる量でないとバラバラと落としてしまうパスタなどは"ひとにぎり"と表現するのが自然である。実際には「塩ひとつかみ」と表現することはないが「塩ひとにぎり」はあり、塩を軽く手で握る量、およそ大匙2杯程度である。

結論

「ひとにぎり」と「ひとつかみ」の違いについて解説した。日常的に日本語を使いながら生活していても、理解できない言葉はある。また、今回の「ひとにぎり」と「ひとつかみ」のように、言葉自体は難しくなくてもはっきりとした違いがわからない日本語の表現も多い。日本人であっても完璧に日本語を理解することは至難の業だ。とは言え、料理をする上で大切なことは、言葉の意味を理解するよりもコツと経験。「ひとにぎり」も「適量」も経験でわかるようになるのである。
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  • 公開日:

    2017年11月 5日

  • 更新日:

    2021年3月12日

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