1. 麹とは
●麹と糀
まず、「こうじ」といっても「麹」と書く時と「糀」と書く時がある。実はどちらも「こうじ」と読むのであるが、「麹」は中国の漢字で、もともとは麦を原料に作られたものだった。一方「糀」は日本で作られた漢字で、米にコウジカビが生える様子は花が咲いたようなので、「糀」になった。漢字は異なるが、いずれも「こうじ」であることに変わりはない。
では、麹とは何なのかというと、原料の麦や米、豆などの穀物を蒸して、そこに麹菌をつけて繁殖させたものである。米につけられた麹菌は米麹、麦の場合麦麹、豆の場合は豆麹になる。
では、麹とは何なのかというと、原料の麦や米、豆などの穀物を蒸して、そこに麹菌をつけて繁殖させたものである。米につけられた麹菌は米麹、麦の場合麦麹、豆の場合は豆麹になる。
●麹(糀)は国菌
日本醸造学会は、「日本人が古来から大切に育み、使用してきた貴重な財産」であるとして、2006年に麹を国菌に認定した。カビの中でも麹菌は、味噌やしょうゆ、酒などの原料になる菌であり、日本人の食生活を支える大きな柱なのである。また、麹を用いた発酵食品があるのは、東アジア・東南アジアの中でも日本だけであり、麹は我が国固有のものでもある。
●麹菌の種類
麹菌にはいくつか種類があり、それぞれ用途が異なっている。代表的なものを紹介する。黄麹菌は黄色や黄緑、黄褐色をしていて、味噌やしょうゆ、清酒の製造に使われる。また、白麹菌は焼酎の製造に、黒麹菌は泡盛を作るのに利用される。
2. 麹の酵素とは
麹にはアミラーゼやプロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼなどたくさんの酵素が含まれていて、その数30種類以上。それぞれの酵素には人の身体に有用なさまざまな働きがある。
●栄養素を取り込みやすくし、消化を助ける
麹の酵素は栄養を成分を消化・吸収しやすくする。アミラーゼがデンプンを甘みのもととなるブドウ糖に分解し、プロテアーゼは、タンパク質を旨みのもととなるアミノ酸に分解する。また、鶏肉や豚肉、牛肉などの食物を柔らかくする働きもある。また、このように栄養素を分解するので、消化・吸収がスムーズになり、胃腸の働きを助けると考えられている。
●腸内を整えて健康をサポート
麹にはもともと食物繊維が含まれている。また麹の酵素からはオリゴ糖が産生され、これらは腸内の善玉菌が増殖するもととなる。従って、腸内のコンディションが整えられ、免疫が活性化するのである。
●多彩なビタミン類を生成
麹菌は代謝される時にビタミンB1やB2、B6、ナイアシン、パントテン酸、イノシトール、ビオチンなど肌の代謝を促進するビタミン類が作られる。そのため、麹を利用した化粧品も開発されている。また、ビタミンB群が豊富なので、疲労回復も促せる。
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3. 麹の利用方法
麹を原料にして作られる調味料に塩麹としょうゆ麹がある。いずれも家庭でも簡単に作れて、料理の味を整えるだけでなく酵素の力でより食材を美味しく料理することができる。塩麹としょうゆ麹の作り方、それぞれの利用法を紹介する。
●塩麹の作り方
材料 米麹300g、食塩100g、水370ml
道具 ボウルと800cc程度の保存容器、スプーン
ボウルに米麹と食塩を入れ、手で揉み込むように3分以上混ぜる。水を加えスプーンで混ぜ、保存容器に入れたら蓋をずらして、完全に密閉しない状態で保存する。直射日光の当たらないところに室温で置いておき、1日1回スプーンでよくかき混ぜる。1~2週間で発酵が進み完成する。
道具 ボウルと800cc程度の保存容器、スプーン
ボウルに米麹と食塩を入れ、手で揉み込むように3分以上混ぜる。水を加えスプーンで混ぜ、保存容器に入れたら蓋をずらして、完全に密閉しない状態で保存する。直射日光の当たらないところに室温で置いておき、1日1回スプーンでよくかき混ぜる。1~2週間で発酵が進み完成する。
●しょうゆ麹の作り方
材料 米麹300g、食塩23g、しょうゆ440ml
道具 ボウルと800cc程度の保存容器、スプーン
ボウルに米麹と食塩、しょうゆを入れてとろみが出るまでスプーンでよく混ぜる。保存容器に入れ、蓋をずらして、完全に密閉しない状態で保存する。直射日光の当たらないところに室温で置いておき、1日1回スプーンでよくかき混ぜる。1~3週間で発酵が進み完成する。
道具 ボウルと800cc程度の保存容器、スプーン
ボウルに米麹と食塩、しょうゆを入れてとろみが出るまでスプーンでよく混ぜる。保存容器に入れ、蓋をずらして、完全に密閉しない状態で保存する。直射日光の当たらないところに室温で置いておき、1日1回スプーンでよくかき混ぜる。1~3週間で発酵が進み完成する。
4. 万能調味料、塩麴と醤油麹の利用法
万能調味料といわれている塩麴と醤油麹を再度見直してみよう。市販でもさまざまなメーカーが販売しているが、手作り派の人も多いだろう。作り方はいたって簡単で、乾燥麹に塩、ミネラルウォーターを混ぜ、1日1回かき混ぜながら常温で1~2週間寝かせると塩麴ができる。醤油麹は麹に醤油のみ。旨味成分は塩麴の10倍といわれている。
●塩麴の利用法
漬ける
・塩麴で肉や魚を漬け込むと柔らかくジューシーに仕上がる。鶏のから揚げに最適。
・野菜の塩麴漬けは、キュウリやニンジン、アボカドなどまで美味しく仕上がる。
・野菜の塩麴漬けは、キュウリやニンジン、アボカドなどまで美味しく仕上がる。
混ぜる
・酢、オリーブオイル、フルーツの搾り汁、はちみつなど好みの材料と混ぜ、ドレッシングに。
・パンの生地に入れて焼くと旨味やコクが増し、風味もよくなる。
・パンの生地に入れて焼くと旨味やコクが増し、風味もよくなる。
加える
・煮物や炒め物、パスタなどに隠し味として少量加えると、コクと旨味の強い仕上がりに。
●醤油麹の利用法
漬ける
・マグロの漬けに最適。漬けずに和えるだけでOK。
・茹で卵や卵黄、水切りした豆腐を漬けると濃厚な味になる。
・茹で卵や卵黄、水切りした豆腐を漬けると濃厚な味になる。
混ぜる
・バルサミコ酢と混ぜてソースに。洋食にも合う。
加える
・卵焼きに砂糖と醤油麹を加え、コクのある味に。
・チャーハンの仕上げに醤油麹をひと回し。風味が増す。
・チャーハンの仕上げに醤油麹をひと回し。風味が増す。
5. 乾燥麹の戻し方
乾燥麹は生に比べると麹菌のパワーはやや劣るが、何ヶ月も常温保存できるので、気軽に使える点で人気を集めている。乾燥麹の戻し方は至って簡単。ビニールに入った乾燥麹(500g)を上からもみほぐしてボウルに入れ、さらに麹がバラバラになるように両手でほぐす。
次に50度~60度のぬるま湯(200cc)を麹の入ったボウルに入れ、お湯と麹をしゃもじでしっかり混ぜる。その後ラップをかけて10分おきにかきまぜ、ラップをかけてから1時間経過したらできあがりだ。
完成の目安としては、お湯で戻した後に麹を指で潰して簡単に潰れればOK。生麹と同じように使用できるので、料理の材料として使ってみよう。
次に50度~60度のぬるま湯(200cc)を麹の入ったボウルに入れ、お湯と麹をしゃもじでしっかり混ぜる。その後ラップをかけて10分おきにかきまぜ、ラップをかけてから1時間経過したらできあがりだ。
完成の目安としては、お湯で戻した後に麹を指で潰して簡単に潰れればOK。生麹と同じように使用できるので、料理の材料として使ってみよう。
6. 生麹の保存方法
甘酒や味噌など、麹の風味が要となる本格的な料理を作るときは生麹をおすすめしたいが、保存期間が短いので取り扱いには要注意だ。しかし、保存方法によっては意外に長持ちするので、保存方法とそれぞれの賞味期限の目安を紹介しておこう。
●冷蔵保存
冷蔵庫でなら3週間ほど保存できると言われている。正式には商品毎の消費期限を確認してほしいのだが、開封から数日で使えなくなるということはない。冷蔵保存のメリットは、麹菌のパワーを高いレベルで保てるところにある。未開封でも常温保存すると麹菌の酵素が弱まってしまうので、取り扱いには十分に注意しよう。
●冷凍保存
冷凍保存の場合は3ヶ月ほど保存できる。冷凍すると麹菌の力が落ちてしまうというデメリットもあるが、3ヶ月も保存できるのは冷凍庫ならではの魅力。生麹が大量に余ったときには冷凍保存がおすすめ。何度も冷解凍すると麹が傷むので、冷凍の際に使用目的に応じて小分けにしておき、解凍後は使い切るようにしよう。
●塩切り麹にする
生麹に塩を混ぜると、腐敗することなく常温で4ヶ月ほど保存できると言われている。混ぜる塩の分量は、麹の約3割の重量。一度塩を混ぜると甘酒などには使えなくなるので、料理に使う分だけ作っておこう。
結論
食べ物を美味しくしたり、胃腸の働きを助けたりする麹。家庭でも簡単に塩麹やしょうゆ麹を作って楽しめる。毎日さまざまな形で美味しく摂取して、健康の維持にも役立てたい。