1. まずは下準備

いきなり揚げるのではなく、食材や油、衣の下準備をしておくのが美味しく揚げるコツだ。
鍋の選択
しっかり揚げるのか、素揚げにするのか、揚げ焼きにするのかで最適な鍋は違う。本来は中華鍋や天ぷら鍋等、深さのある鍋が基本だ。具が鍋肌にくっつくこともなく、具を入れても温度が下がりにくい。しかし、今はある程度深さのあるフライパンが普及している。間口が広く油の深さも調節できるため、下ごしらえや素揚げする場合は、深型フライパンで十分だろう。また、揚げ焼きする場合は、転がして揚げるためフライパンで大丈夫だ。
食材の下準備
揚げ物に水分は大敵である。キッチンペーパーでしっかり拭き取り、油はねや衣落ちを防ごう。また、衣や粉はつけすぎると揚げている最中の焦げ付きや温度低下を起こす。なるべく薄くした方が挙げムラもしにくいので、薄く付けるように意識しよう。
2. 食材別の最適温度

では、いよいよ具体的な最適温度のご紹介だ。衣を油に落とした時、菜箸を油に入れた時の様子でおおよその油の温度を判別できるため併せて紹介したい。
油通し
油通しとは、野菜や肉を油にくぐらせ、表面だけに熱を通して油を切り、炒めやすくする調理法だ。中華料理等の下ごしらえで用いられる。140度という揚げ物にしてはごく低温で行う。衣落とすと底に沈んでからゆっくり浮く、菜箸を入れると細かい泡が静かに上がるのが目安である。
低温
150~160度。色を鮮やかに保ちにくいピーマンや大葉等の野菜、火の通り難い根菜やでんぷん質の多い芋はこの温度で揚げる。衣を落とすと底に沈んだ後6秒程で浮き上がり、箸全体から細かい泡が出るのが目安だ。
中温
170~180度。コロッケ・天ぷら・とんかつ・肉類等の一般的な揚げ物の温度だ。衣を落とすと中ほどまで沈みすぐ浮き上がる。箸を入れると全体から泡が絶え間なく上がるのが目安だ。
高温
190~200度。海老等の魚介、豆腐、ナス等の水気を多く含むものや、もう火が通っている物の水分を飛ばす二度揚げの温度がこれである。衣を落とすとすぐ浮き上がって色づき、箸は全体から大きめの泡が勢いよく上がる。
3. 上手に揚げるコツ

食材によって最適な温度が違うということは、いかに油の温度を変化させないかが上手に揚げるコツとなる。
温度をなるべく一定に
油が適温でも、一度に沢山の具を投入すれば当然油の温度が下がってしまう。油は少しの火力でも温度が上がるが、食材が入った状態では中々上がらず、衣が油を吸ってベシャっとしてしまう。具材を入れる量は油の面積の1/3、多くても半分くらいまでにした方が良い。かき揚げ、薄切り野菜は表面積が広いため温度が下がりやすい。海老や牡蠣等も水分が多いので、少しずつ揚げて揚がる都度引き上げて行こう。
泡の状態に注目
揚げ具合や油の温度は具材から出る泡の状態で判断しよう。油に入れてすぐの時は大きな泡が出てジュージューと音がするが、だんだんと泡が小さく均一になる。静かな泡で音も小さくなれば、中までよく火が通った証拠だ。揚がったらさっと取り出そう
取り出した後のポイント
たまに網にペーパーを乗せて、その上に揚がった具材を乗せる人が居る。揚げたての具材はペーパーに触れると油が戻ってベタつくので、ペーパーは落ちた油を吸う目的で下に敷こう。揚がった具材は重ねず、網の隙間を利用して立てて置くようにするとカラっとした状態がキープ出来る。具材は冷めて来ると内部の水分が抜け出るため、揚げたてを食べない時は冷めるまで立てて置くのがベストだ。ただ、揚げ物を直接網の上に乗せると、網が油でベタつき、洗い物が大変になる。今は、直接揚げ物を乗せても油切りできると謳っている商品もあるので、気になる人は試してみてもいいかもしれない。
結論
折角揚げ物をするなら美味しく揚げたい。具材別の適温やちょっとしたコツで絶品の揚げ物を楽しもう。冷めるまでしっかり油切りをしておけば、後からトースターで温め直しても美味しく仕上がる。食材に合った適温でチャレンジして欲しい。