1. ごぼうの糖質とカロリーは?

さっそくごぼうの糖質とカロリーについて見てみよう。数値はいずれも文部科学省「食品成分データベース」(※1)によるもので、糖質は炭水化物量から食物繊維量を差し引いたものを掲載している。
ごぼう100gあたりの糖質とカロリー
- 糖質:9.7g
- エネルギー:65kcal
生の状態での糖質とカロリーはこのような結果だった。では、ほかの野菜と比べるとどうだろうか?同じく文部科学省「食品成分データベース」の数値を紹介しよう。
ほかの野菜100gとの比較
- れんこん:66kcal/13.5g
- にんじん:39kcal/6.5g
- だいこん:18kcal/2.7g
- じゃがいも:76kcal/8.4g
- ごぼう:65kcal/9.7g
同じ根菜で、ごぼうと使い方が似ているイメージのれんこんと比べると、カロリーは同じくらいだが糖質は低い。また生で食べて甘味を感じるにんじんよりも、実はカロリーや糖質が高いという結果になった。だいこんのカロリーや糖質が極端に低いのは、同じ100g中でも水分量が多いためと考えられる。データを見て分かる通り、ごぼうは野菜の中でもカロリーや糖質が高めの部類に入るといえるだろう。
2. ごぼうの栄養と効能は?

続いて、ごぼうに含まれるそのほかの栄養と効能を見ていこう。
ごぼう100gあたりの主な栄養一覧
- エネルギー:65kcal
- 水分:81.7g
- たんぱく質:1.8g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:15.4g
- 灰分:0.9g
- ミネラル
└ナトリウム:18mg
└カリウム:320mg
└カルシウム:46mg
└マグネシウム:54mg
└リン:62mg
└鉄:0.7mg
└亜鉛:0.8mg
└銅:0.21mg
└マンガン:0.18mg - ビタミンA(βカロテン):1μg
- ビタミンE(トコフェロールα):0.6mg
- ビタミンB群
└B1:0.05mg
└B2:0.04mg
└ナイアシン:0.4mg
└B6:0.10mg
└葉酸:68μg
└パントテン酸:0.23mg
└ビオチン:1.3μg - ビタミンC:3mg
- 食物繊維
└水溶性:2.3g
└不溶性:3.4g
食物繊維のバランスがよい
ごぼうは、ほかの野菜と比較すると水溶性と不溶性、両方の食物繊維をバランスよく含んでいるのが特徴だ。水溶性食物繊維「イヌリン」は、腸で水分を吸収してゲル状になり、血糖値の急上昇やコレステロールの吸収を抑え、糖尿病など生活習慣病の予防をサポートする働きがある。一方、不溶性食物繊維「セルロース」「リグニン」は、腸を蠕動(ぜんどう)させて便通を促進する作用のほか、腸内の有害物質を体外に排出する働きを持っている(※2・※3)。
ポリフェノールも豊富
さらにごぼうは、近年注目を集める植物由来の化学物質「ファイトケミカル」の一種であるポリフェノールも豊富だ。クロロゲン酸、タンニン、サポニンといった強い抗酸化力をもつさまざまなポリフェノールが、加齢やストレスなどで生じる活性酸素を除去し、内臓や肌の老化を防止する効果が期待できるといわれている(※4)。
ビタミンやミネラルにも注目
このほか、塩分の摂り過ぎを調節するうえで重要な役割を果たすカリウム、体内で起こるさまざまな代謝をサポートするマグネシウムといったミネラル類が豊富な点もごぼうの特徴だ(※5・※6)。また赤血球やたんぱく質の合成、新しい細胞を作る際などに必要な葉酸、酵素の働きを助けるビオチンといったビタミンB群、ビタミンCも多く含まれているなど、バランスがよい(※7・※8)。
ごぼうはダイエット向き?
厳密なカロリー制限・糖質制限をしている場合は注意が必要だが、根菜の中でも群を抜く食物繊維の豊富さが健康食材といわれるゆえんだ。食物繊維はお伝えしたように血糖値の急上昇を抑える働きがある。少量でも満腹感を得やすく、しかも持続しやすい。食べ過ぎを防ぐにはピッタリの栄養素だ。そのうえ便通の改善なども期待できることから、適量を摂取すればダイエットにも効果的な野菜といえるだろう。
3. ごぼうの栄養を効率よく摂るための調理のコツ

ごぼうの栄養素を効率よくいただくためには、調理の際にちょっとしたコツが要る。
皮は厚く剥きすぎない
紹介した食物繊維中の有効成分や旨味、香りは多くがごぼうの皮付近に含まれている。そのため皮は薄めに剥くか、ピーラーは使わずタワシやクシャクシャにしたアルミホイルなどで擦り洗いし、包丁の背で表面を軽く削ぎ落とす程度にするとよいだろう。
アク抜きは手短に
ごぼうの「アク」の正体は、強い抗酸化作用をもつポリフェノールだ。切ったごぼうが黒く変色するのはポリフェノールと酸素が結合するせいである。これを防ぐため長時間水に漬けてアク抜きすると、大切なポリフェノールが流れ出てしまう。実のところアク抜きはしなくても問題ないのだが、どうしても変色が気になる場合は薄い酢水にごく短時間、漬ける程度にするとよい。
4. ごぼうを使った栄養たっぷりのおすすめレシピ

最後に、ごぼうを使ったおすすめレシピを紹介しよう。きんぴらごぼうやこんにゃくとの煮物などは定番だが、ここでは鶏のささみと根菜のレンジ蒸しサラダを紹介する。
材料
- ごぼう
- れんこん
- にんじん
- ブロッコリー
- ぶなしめじ
- 鶏ささみ
作りやすい分量としては、ごぼうは40cmくらいにカットされたもの1本、れんこん・にんじん・ブロッコリー・しめじは各1/2ずつ、鶏ささみは2〜3本あたりだろう。
作り方
- ごぼう・れんこん・にんじんは5〜7mmくらいの厚さに切り揃える
- ブロッコリー・ぶなしめじは食べやすい小房に分ける
- 耐熱容器に野菜を入れ、斜め薄切りにした鶏ささみをのせる
- 水で湿らせたクッキングペーパーを表面にかぶせ、ラップをかける
- 電子レンジ(600W)で5〜6分加熱する
- すべての食材に火が通れば完成
このメニューであれば、ごぼうに含まれないビタミンやβカロテンをれんこん・にんじん・ブロッコリー・しめじで補える。歯応えのよい野菜をよく噛んで食べることで、少量でも満腹感を得られるはずだ。なお味付けだが、シンプルに塩で食べても美味しいし、ゴマだれやマヨネーズも合う。ただし調味料によってカロリーは大分変わるので、できるだけ低カロリータイプをセレクトしよう。
結論
ごぼうに含まれる水溶性食物繊維イヌリンは、腸内で分解されてフラクトオリゴ糖となり、善玉菌のエサにもなる。善玉菌には有害物質の排出を助けたり、免疫細胞を活性化したりする大切な役割がある。豊富な食物繊維で腸内環境を整えてくれるごぼうは、メタボ世代の健康維持をサポートしてくれる嬉しい野菜だ。
(参考文献)
- 1:文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl - 2:厚生労働省「食物繊維 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html - 3:厚生労働省「食物繊維の必要性と健康 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html - 4:厚生労働省「抗酸化物質 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html - 5:厚生労働省「カリウム _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html - 6:厚生労働省「マグネシウム _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html - 7:厚生労働省「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html - 8:厚生労働省「ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html