1. 原料や製法

どちらもスーパーに売っているが、分かりやすい違いといえば、値段や塗り心地くらいしかない。具体的な違いは原料と製法だ。
バターの成り立ち
バターには乳脂肪牛乳、つまり動物性の脂肪分が80%以上含まれている。手作りする時は、原料に生乳のみ使っている乳脂質の高い生クリームを、10分程根気よく振り混ぜるとバターが出来上がる。体力のいる作業であるため、家族で交代しながら試してみよう。乳化剤が入っていると固まらないため、原材料の表示はちゃんと確認しよう。混ざり物の少ない乳脂質でなければバターが出来ないのだ。
マーガリンの成り立ち
マーガリンには油脂や80%以上含まれている。油脂の種類に決まりはない。大豆油やパーム油等、植物性の脂肪を使うことが多い。ちなみに、油脂が80%未満の物はファットスプレッドと呼ばれ、ココア等のフレーバーを添加して販売することが出来る。子供には味がついているファットスプレッドが好まれるかもしれない。マーガリンには、バターと違い乳化剤が必須である。溶けてしまうと一般のサラダ油と変わらい使用感だ。
2. 栄養価や安全性

無添加ゆえに高脂質のバター
バターは生乳と塩のみで作られており、混ざり物が少なく、添加物も無い。気になる点といえば、主成分がコレステロールはマーガリンの数十倍という点だ。しかし、バターを塊のままかじる人などそうは居ないだろうし、添加物が入っていないという点で安心感がある。気になる人は、コレステロールが高いという事実だけは頭の片隅に残して頂きたい。
マーガリンはトランス脂肪酸に注意
マーガリンがパンに塗りやすい柔らかさなのは、マーガリンの原料の製造過程でトランス脂肪酸という物質が発生するからだ。トランス脂肪酸は、心疾患のリスクを高める、アレルギー反応を起こす等体に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。他にも液体の植物性油脂を固める為の添加物も入っているが、パンに適量塗る分には健康被害は無いとされている。ただしバターもマーガリンも摂り過ぎると体に良くないのは同じなので、適量の使用では許容範囲内だ。
3. 特徴を知って使い分けよう

適量なら健康に対する問題が少ないのだとすれば、単純に好みや利点で使い分ければ良い。バターとマーガリンの特徴をしっかり理解しよう。
バターの特徴
何といっても牛乳由来の芳醇な香りと深いコクがバターの最大の魅力だ。マーガリンは風味付けされているだけなので加熱に向かないが、バターは熱しても冷めても風味が残る為、バターソテー等の料理に向いている。お菓子に使うと濃厚でどっしりした味わいに仕上がるだろう。ただしバターは冷えると固まるため、お弁当等冷めた状態で食べるおかずに使うと口当たりが悪くなる時がある。パンに塗る時も硬いと扱いにくく感じるだろう。値段はマーガリンより高めである。
マーガリンの特徴
冷蔵庫から取り出してすぐでもパンに塗れるため扱いやすい。また、ファットスプレッドを含めると、様々なフレーバーがあるところがマーガリンの利点だ。また、マーガリンは独特の軽さやあっさり感、生地の柔らかさが出せる。ただ、加熱すると風味が飛んでしまう。調理や製菓には基本的にバターが向いているだろう。
番外編・ファットスプレッド
植物性油脂が80%以下のマーガリンで、外箱には油脂含有率が何%なのか記載してある。ココア、チーズ、オリーブ、ガーリック等、味の種類も豊富だ。ただし脂肪分が少ないということは水、添加物の含有量が多いと言うことだ。品質表示をよく見て検討しよう。
結論
毎朝ご飯党でパンをあまり食べない人は、たまにバターやマーガリンを買う時悩んでしまうかもしれない。重厚な動物性脂肪のバターなら料理に使えるし、コクのある味わいだ。逆にあっさりした味わいが良ければマーガリンの方が扱いやすい。使用頻度や値段を比べて決めるといいだろう。ただし、どの油脂でも、使い過ぎにはくれぐれもご注意を。