1. 自家製果実酒の注意点

日本国内で消費者が果実酒を作る場合、酒税法を遵守する必要がある。あくまで個人の楽しみで作るなら、ルールさえ守れば全く問題ない。
アルコール度数20%以上の酒を使う
酒税法(※)ではアルコール度数1%以上を酒とし、税金をかけることを規定している。では、自家製の果実酒を作ると違法なのかというとそういうわけではない。果実を漬け込む酒のアルコール度数が20度以上の場合、酒税法の対象から外れるという例外規定がある。なぜアルコール度数が20度以上なら許されるのかというと、この度数なら酵母菌の活動が止まるため更なる「新たな発酵」が進まないからだ。ルール違反を犯さないためにも、主原料のお酒は必ずアルコール度数20%以上を使おう。
禁止の原料を使わない
果実酒を作る場合、米や、麦、あわ等の穀類と、ぶどう、山ぶどう類は使用禁止だ。(※)その理由は、容易にビール・焼酎・日本酒・ワインに類似してしまうからである。
2. 作り方のポイント

ルールさえ守れば原料は何でもOKだ。作る際のポイントはどんな原料でもほぼ共通だ。美味しく作るポイントをしっかり押さえよう。
容器
使用するホワイトリカー等の量の2倍量以上が入る容器を用意しよう。例えば、リカーが1.8ℓなら容器は4ℓ程度必要だ。広口のガラス瓶が最適である。中性洗剤でよく洗った後、リカーをしみ込ませたキッチンペーパーで拭いて消毒しておく。
果実選び
新鮮で傷が無く、なるべく大きさが揃った物を選ぶ。過発酵やカビが発生しないよう、水洗いした後は水分は良く拭き取っておこう。
酒類選び
前述通りアルコール度数20%以上のホワイトリカーを用意しよう。雑菌の繁殖を防ぎ長期保存するなら35%以上がよい。焼酎甲類のホワイトリカーは無味無臭、無色なので果実酒に最適だ。もちろんブランデーや日本酒も使える。
糖類
通常使うのは純度の高い氷砂糖だ。ゆっくり溶け、浸透圧で果実のエキスが上手に出て行く。薬酒や漢方酒は糖分を入れずに浸け、飲む時甘みを付けた方がいいだろう。
保存
漬け込んだ果実酒は風通しの良い冷暗所に安置し、十分な漬け込み期間が過ぎたら材料は引き上げて、改めて清潔な容器に漉して入れ替えるのがおすすめだ。下準備で消毒が不十分だとカビが発生することがあるため注意が必要だ。
3. おすすめ果実の種類と作り方

一番定番と言えば梅酒だが、そのほかにも色々な果実を漬けられる。具体的に紹介しよう。
まずは梅酒で基本をマスター
定番中の定番、梅酒の作り方を紹介する。この方法は、全ての果実酒で共通である。梅1kgに対し35%ホワイトリカー1.8ℓ、氷砂糖400~600gを用意しよう。梅はよく洗い、1粒ずつ丁寧に水を拭く。果実の水分を拭くのは基本だ。ヘタを竹串で取り、4ℓ容量の広口瓶に梅、氷砂糖1/3量ずつを交互に層にする。ホワイトリカーを注いで完成だ。琥珀色になる3ヶ月以降が飲み頃で、梅の実自体は一年後に取り出そう。
おすすめ果実
梅以外の果実についても分量はほぼ同様だ。ホワイトリカー1.8ℓに対しサクランボ・杏・すもも・りんご・苺・パイナップル等1kgが基本である。好みでレモンを一緒に漬けるのもおすすめだ。レモンは厚めに皮を剥き、白い部分を綺麗に取り去ろう。また、アルコール度数20%以上ならどんな酒類を使ってもいいため、泡盛やブランデーを使ってもよい。ちなみに、氷砂糖ではなく黒糖を使うとコクのある味わいになる。甘みのある果実は氷砂糖を200g~と調節するといい。
トマトやゴーヤでも変わり果実酒が作れる。薬酒として、ミントや青じそ、アロエ、ニンニク、コーヒーもおすすめである。
トマトやゴーヤでも変わり果実酒が作れる。薬酒として、ミントや青じそ、アロエ、ニンニク、コーヒーもおすすめである。
結論
個人で楽しむ分にはそれほど神経質になる必要はないが、使うアルコール度数は必ず最低でも20%以上を使い、禁止されている原料を漬けるのは絶対にやめよう。原酒と原料、糖分の種類によって味わいは千差万別。ガラス瓶の中身の変化を数か月楽しみながら、お好みの味を探してみよう。