1. 洋梨の変色

洋梨は、皮をむいてしばらく置いておくと、空気に触れた面が茶色く変色する。これは、りんごなどでも知られる「酵素的褐変」とよばれる変化である。これにはポリフェノールという抗酸化成分が関係している。
洋梨は和梨と比べてもフラボノール、フラバノール、アントシアニン、ケルセチンやクロロゲン酸、タンニンといったポリフェノール類が豊富に含まれている。
洋梨やりんごなどにも含まれるポリフェノール類が空気に触れて酸化することで褐変が生じる。また、果物や野菜の細胞内には、ポリフェノール類とポリフェノールオキシダーゼ(PPO)のようなフェノール類を酸化する酵素とが十分に存在するため、包丁を入れ細胞を破壊することで両者が接触し、酵素的褐変をひき起こすのである。
果物や野菜の褐変は即時型と遅延型に分けられるが、洋梨の褐変は即時型に分類される。
この褐変は酵素と空気中の酸素が関係しているため、次のような方法をとることで、褐変を防止できると考えられる。
・酵素を不活化する
・切り口が空気に触れないようにする
・ポリフェノールが酸化しないようにする
具体的にどのような方法があるかは、次の章でみていこう。
洋梨は和梨と比べてもフラボノール、フラバノール、アントシアニン、ケルセチンやクロロゲン酸、タンニンといったポリフェノール類が豊富に含まれている。
洋梨やりんごなどにも含まれるポリフェノール類が空気に触れて酸化することで褐変が生じる。また、果物や野菜の細胞内には、ポリフェノール類とポリフェノールオキシダーゼ(PPO)のようなフェノール類を酸化する酵素とが十分に存在するため、包丁を入れ細胞を破壊することで両者が接触し、酵素的褐変をひき起こすのである。
果物や野菜の褐変は即時型と遅延型に分けられるが、洋梨の褐変は即時型に分類される。
この褐変は酵素と空気中の酸素が関係しているため、次のような方法をとることで、褐変を防止できると考えられる。
・酵素を不活化する
・切り口が空気に触れないようにする
・ポリフェノールが酸化しないようにする
具体的にどのような方法があるかは、次の章でみていこう。
2. 変色を防ぐ方法

ポリフェノールを酸化・変色させてしまう原因物質であるポリフェノールオキシダーゼの不活化や酸化防止のために、具体的にはどのような対策ができるのだろうか。
- 切り口を空気に触れさせない:ラップで包む、水につけてしばらくおいて置く。
- レモン汁につける:アスコルビン酸(ビタミンC)で酸化を防ぐとともに、pHを低くしてポリフェノールオキシダーゼを不活性化する。酸素がポリフェノールより先にビタミンCに反応するので、変色を遅らせることができる。しかし、ビタミンCがすべて使われてしまうと、酸素はポリフェノールと反応し始め、変色が始まってしまうという一時的な効果である。
- 塩水につける:塩化物イオンがポリフェノールオキシダーゼに結合して酵素反応を阻害するため、塩水に洋梨をつけると褐変防止になると考えられる。
- 加熱する:ソテーやコンポートにする。加熱することでポリフェノールオキシダーゼは失活する。
- ハチミツにつける:ハチミツには変色反応の活性化を妨げるペプチド化合物が含まれているとされる。
- 砂糖水につける:濃度の高い砂糖水でコーティングして酸素に触れないようにする。
3. 濃度や浸け込み時間は?

それでは、塩水や砂糖水、ハチミツ水は、どのくらいの濃度でどのくらい浸ければ効果があるのかについて紹介しよう。皮をむいてカットした洋梨が水から出てしまわないように、浸るくらいの量に調節してほしい。また、この数値はあくまで目安のため、好みの味や効果に合わせて微調整が必要になるかもしれない。
◆ 塩水の濃度と浸け込み時間
せっかくの洋梨に、褐変防止とはいえ塩味がつくことに抵抗がある人もいるだろう。
あまりに薄すぎると効果が期待できないのだが、塩味がしみてしまわない程度の濃度で塩水を作るとすると、塩ひとつまみ程度(約1g)で十分であろう。表面にさっとくぐらす程度でも効果があると考えられる。塩味が気になる場合は、塩水にくぐらせたあと、塩水をさっと流水で洗い流してもある程度の効果は見込めるだろう。
あまりに薄すぎると効果が期待できないのだが、塩味がしみてしまわない程度の濃度で塩水を作るとすると、塩ひとつまみ程度(約1g)で十分であろう。表面にさっとくぐらす程度でも効果があると考えられる。塩味が気になる場合は、塩水にくぐらせたあと、塩水をさっと流水で洗い流してもある程度の効果は見込めるだろう。
◆ ハチミツの濃度と浸け込み時間
水1カップに対してハチミツを大さじ3杯程度のハチミツ水に数分浸け込む。ハチミツの甘味と合わさり、塩水ほど違和感なく洋梨を食せるはずだ。
◆ 砂糖水の濃度と浸け込み時間
水500mlに対し大さじ2杯程度の砂糖を溶かして5分~10分ほど浸け込む。シロップ漬けのように表面がコーティングされていれば効果が期待できる。
結論
洋梨が変色してしまうのにはポリフェノールオキシダーゼの存在が関係していたのだが、変色防止になるような方法はいくつかある。味や効果など、自身の満足いくものを試してみると良いだろう。ちなみに、この変色した部分の見た目は悪いが、もちろん食べてもなんの害もない。