1. 蜂蜜と人間

歴史
蜂蜜と人間の関係は、遡ること1万年以上前から始まったと言われている。太古の昔、人々は、この貴重な蜜を神からの恵みだと信じていたようで、神話にも数多く残されている。また多くの壁画や版画など、歴史的価値の高い資料にその情景が描かれているほどだ。日本では『日本書紀』に養蜂の記録が残されている。
使用用途
古く、蜂蜜は食用という側面以外に、神前用、薬用として広く使われていたようだ。その活躍ぶりは、旧約聖書に「心地良い言葉は、蜂蜜のように魂に甘く、身体を健やかにする」という蜂蜜を使ったことわざが掲載されるほど。古代エジプトの医学書には、内服薬及び外用薬としての蜂蜜の活用が描かれているそうだ。薬効については、知る由もなかったはずだが、近年研究の結果、その薬効が証明されつつある。
採集方法
古く、人々は野生のミツバチの巣を壊し、蜂蜜を採集していた。この方法は、常に危険が伴った。そこで人々はミツバチを飼育して、蜂蜜を得る方法=養蜂を身につけることとなる。その後、取り出し可能な長方形の巣枠や巣作りを促す巣礎、蜜を巣から取り出すための遠心分離機などが発明され、近代養蜂へと発展を遂げた。
2. 蜂蜜とミツバチ

基本の蜜集め
蜂蜜と切っても切り離せない関係にあるミツバチ。ミツバチはどのように蜜を集めるのか。基本的に花蜜は、ミツバチのメスによって採集される。メスたちは花蜜を胃の全部にある蜜嚢と呼ばれる器官に蓄えて飛び回り、いっぱいになると巣に戻る。しかし、この状態では物理的にも科学的にもまだ蜂蜜ではない。
酵素
巣に戻ったメスは、仲間にその蜜を受け渡す。その際、蜜が空気に触れることで余分な水分が抜ける。また、ミツバチの酵素が起因となり、花蜜はブドウ糖と果糖に分解される。さらに、ミツバチたちはこの花蜜を丁寧に巣に貯蔵し、羽を羽ばたかせることで、さらに水分を飛ばす。こうやって、ミツバチが働くことで、花蜜が蜂蜜へと変化するのだ。
ミツバチの家族
ミツバチは単独では生きることのできない昆虫。コロニーと呼ばれる群れを作り、集団で生活をする。ちなみにコロニーの中で卵を産むのは、女王蜂ただ一匹だけ。春に生まれ、特別な部屋でローヤルゼリーを食べて育ち、多数のオスと交尾して、大量に卵を産み付けるのが仕事。女王蜂以外のメスは働き蜂と呼ばれ、採蜜をしたり、貯蔵をしたり、仕事を分担して行う。雄蜂は、交尾が終わると直後に死んでしまうそうだ。
3. 蜂蜜の種類

世界の蜂蜜
蜂蜜は、採れる花や樹木の蜜、そして採集するミツバチによって、味わいが異なるもの。同じ花であってもその土地の気候や場所によって味わいに変化があると言われている。全世界に存在する蜂蜜の種類は、1000種を超えると言われている。
花蜜から採れる蜂蜜
文字通り、花の蜜から取れる蜂蜜のこと。蜜の源となる花は、野に咲く草花や樹木の花、ナッツの花、フルーツの花、ハーブの花などあらゆる種類の花々。一般的に草花はマイルド、樹木はあっさり、ハーブは香り高く、ナッツは香ばしさが特徴の蜂蜜が作られるとされている。フルーツは、爽やかさを楽しめるものが多い。よく聞くアカシア蜂蜜は、樹木の花から取れる蜂蜜だ。
樹液から取れる蜂蜜
こちらは、樹液から取れる少し変わった蜂蜜。樹液を吸った昆虫から出される分泌物をミツバチが巣に持ち帰り、生成するもので、甘露蜜と呼ばれる。濃度の濃い樹液から作られているので、色も味わいも濃度も濃いのが特徴。褐色のものが多いのも特徴だ。
結論
そのほか、ミツバチが様々な花の蜜を集め、自然にブレンドした蜂蜜もある。蜂蜜の糖分は、前述のとおり、ブドウ糖と果糖。これは体内に入れた時に、分解の必要がなく、胃腸に負担をかけることなくすぐにエネルギーになると言われている。これが、砂糖よりも体に優しいと言われる所以だ。ミネラルや酵素も含まれているので、ぜひおきに入りの味を見つけて、日頃の生活に取り入れてみてほしい。