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乳酸菌入りの菓子は、菌が生きていなくても本当に効果があるのか?

乳酸菌入りの菓子は、菌が生きていなくても本当に効果があるのか?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:東京農業大学 醸造科学科 教授 前橋健二(まえはしけんじ)

2018年10月 8日

ここ最近、生きた乳酸菌ではない乳酸菌を使った菓子をよく目にするようになってきた。かつて乳酸菌といえば、生きた菌でなければ意味がないと噂されていたはずだ。これはもしや、乳酸菌は死菌でも有効なのか。その疑問にお答えする。

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1. 乳酸菌とは

人の体内に棲みついている乳酸菌が健康に良い効果をもたらしてくれるということは、ほぼ誰もが知っている事実だろう。彼らは糖類を利用して大量の乳酸を作り出すことから、乳酸菌と呼ばれている。細菌学上では別の菌に分類にされているビフィズス菌も、同じ働きをすることから乳酸菌として扱われることがある。

食品作りにおいても欠かせない存在であり、浅漬け・キムチ・ピクルスといった漬物や、ヨーグルトや塩辛、味噌・醤油といった発酵食品を作るための大切な役割を担っている。
生み出された乳酸は食品を酸性にし、悪い菌の繁殖を抑制するだけでなく、ほどよい酸味を醸してくれるのだ。種によっては乳酸以外に、発酵食品特有の良い匂いの元となる、香り成分を生み出すものもある。

歯磨きを怠っていると虫歯を促進するということや極々稀に乳酸菌血症などの感染症を引き起こすことがある点、アルコールに耐性のある一部の菌が混入すると酒造りに悪影響(火落ち・腐造)を及ぼす点など悪者になってしまうこともあるが、おおむね乳酸菌は我々人類と良好な関係を築いているといって良い。

生きた乳酸菌はプロバイオティクスと呼ばれ、プロバイオティクスは「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義されている。語源は"共生"を意味する学術用語「probiosis(プロバイオシス)」だ。

2. 生菌・死菌。はたらきの違いはあるのか。

乳酸菌は-18℃以下の厳しい環境でも生き抜く力を持っており、一度活動停止状態になるが、適温になるとまた動き出す。逆に高温には弱く、63℃を超えると死滅する。しかも乳酸菌の種類は600以上あるといわれているが、その中のほとんどは消化の課程で、胃液や胆汁によって死んでしまう。それではなぜ、製造過程で死滅するはずの焼き菓子に使われたり、そもそも商品パッケージに乳酸菌の名前を記載する必要があるのか。実は死菌にも、健康への働きがあることがわかっている。

それではどのような働きをするのか。生菌と同じように腸内環境を調えると言われているが、その過程が異なる。

生菌の働き

体内で乳酸を作り出し、大腸の中を悪玉菌が苦手な酸性の状態にする。善玉菌は弱酸性を好むため、働きを助けることになる。酸は腸の蠕動運動を促進する刺激にもなる。

死菌の働き

死んでも残っている菌体成分(糖・たんぱく・細胞質・核酸等)が、生菌や腸内に定住している善玉菌の栄養分となる。小腸で消化しきれなかった余分なたんぱく質や変質した脂質は悪玉菌の好物であるが、それらが大腸に届く前に食物繊維と同じような働きで吸着し、結果として悪玉菌の勢力を弱めるとも言われている。免疫機能への影響も注目すべき点だ。小腸の一部である回腸にはパイエル板という部分があり、そこを死んだ乳酸菌が通過すると病原菌などの小さな微生物だと認識し、免疫細胞が体を守るよう指示を出すと考えられている。

3. 死菌のメリットとは?どんな菌がどんな菓子に使われている?

死菌のメリット

生菌の効果を充分に発揮させるには、相当量の生菌が入った食品をほぼ毎日食べる必要があり、その分量は1~2L分にもなると言う。食べる者の年齢や体質等により効果が落ちてしまうこともある。一方死菌は生菌のように消化の課程で失われる心配がなく、安定した量を一気に沢山腸へ届けることが出来る。年齢や体質等に左右されることも無い。加熱殺菌されることで、より免疫力アップ効果を発揮する菌種も存在する。

菓子に使われている主な死菌

  • フェカリス菌FK-23株...ヒト由来の乳酸菌で、ゼリーに使われている。整腸作用・免疫力強化・アレルギー症状の改善・花粉症の予防および症状改善・感染症予防効果・肥満抑制効果・ガン予防など、多くの効果に期待できることが報告されている。
  • フェカリス菌EC-12株...ヒト由来の乳酸菌。飴・タブレット・ソイバー・スナック菓子など、幅広く使われている。整腸作用・免疫力強化・インフルエンザの治癒促進・アレルギー症状の改善・花粉症の予防および症状改善・アトピー性皮膚炎の改善・体脂肪や内脂肪の低減など、多くの効果が期待される。
  • シールド乳酸菌M-1(モラック乳酸菌)...ヒト由来の乳酸菌。1日あたり100億個という摂取目安量が公表されている。チョコレート・飴・タブレット・キャラメル...など多岐に使用されている。免疫力強化・感染症予防効果・インフルエンザ対策の他、ストレスを和らげ気分を向上させる効果も期待される。
  • K-2株...酒粕から発見された植物由来の乳酸菌。 乳幼児でも食べられる煎餅や、ミルクをサンドした菓子に使われている。免疫細胞の活性化・インフルエンザ対策・花粉症の予防および症状改善・アトピー性皮膚炎の改善効果が期待される。

結論

死菌にも優れた力があることがおわかりいただけただろう。このように生きていなくてもその物質自体が効果を発揮する乳酸菌には、プロバイオティクスのように、バイオジェニックスという名が付けられている。紹介しきれなかった死菌や菓子も数種類あるが、健康のための基本は日頃のバランスのとれた食生活だと言うことを忘れずに、上手に取り入れていただきたい。
  

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