1. 実は素朴で地味なイタリア菓子
フランス菓子と思われがちだが、実はイタリア発祥だ。パスタの一種「マカロニ(薄い生地という意味)」と同じ語源を持ち、実に素朴で地味なお菓子だった。
王妃と一緒に嫁いだレシピ
マカロンの製法は、16世紀にフランス国王アンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスによってフランスに持ち込まれた。元々はアーモンドを使った素朴な焼き菓子で、表面はひび割れ、薄っぺらいタイプやふっくらしたタイプ等地方によって特色が異なる。
郷土色の強いマカロン
フランスは郷土色が強く、地方ごとに違うマカロンが誕生した。ロレーヌ地方の「マカロン・ナンシー」は、実は日本に伝わって和製マカロンになっている。ワインで有名なボルドー近郊では「マカロン・ド・サンテミリオン」という甘口ワインを使ったマカロンが有名だし、北フランスのアミアンでは「マカロン・ド・ダミアン」と呼ばれるマカロンが有名で、蜂蜜を使ったねっとりした食感である。
2. フランスで生まれ変わったマカロン
今のような華やかな形になったのは、フランスでもパリでのことだ。そもそもクッキーとは全く違い、卵白とアーモンドプードルを使用した非常に繊細な作り方である。
割と最近うまれ
1930年代、今でもマカロンの超有名パティスリーである「ラデュレ」が、2枚のマカロンの間にガナッシュクリームを挟んだものを発売した。これは瞬く間にパリで話題となり、「マカロン・パリジャン」として定着。今ではマカロンと言えばこのパリ風のスタイルが当たり前となっている。
非常に手間のかかるお菓子
往来の素朴なマカロンは混ぜるだけの工程だったが、パリジャンは卵白を泡立ててメレンゲにし、1週間は冷蔵庫で寝かせてから製作開始するという徹底ぶりだ。表面は滑らかでひび割れは許されず、香りや色彩も大変重要な優雅なお菓子である。
3. マカロンは香りが命
元々フランス菓子は香水文化をベースにしているため香りが強い物が多いが、マカロンも香り、色、その組み合わせが無類に存在する。
定番から奇抜な物まで
レモン、チョコ、バニラ等のシンプルな物から、生地とガナッシュクリームの香り・味が違っていて組み合わせを楽しむタイプもある。ライチ、薔薇、フランボワーズ、ピスタチオ、キャラメル、マンゴー等女性が好きそうなフレーバーの勢ぞろいだ。何とも奇抜なところだと、フォアグラやトリュフ、ケチャップなんて物まであるようだ。
日本のフレーバーが大人気
世界に通用する「抹茶」はもはやマカロンでは大定番。日本茶の種類ごとに揃えている「ジャパニーズティーシリーズ」もある。日本のメーカーではなく、海外の有名パティスリーが日本のフレーバーをマカロンに重用し、桜・胡麻・柚子等が愛用されている。お菓子にしては珍しいワサビ・和辛子・ゴボウ・レンコンも利用されている。また隠し味に醤油を使って香ばしさを表現することもあるのだそうだ。
結論
男性にはお洒落すぎて近寄りがたいが、日本の素材と意外なコラボレーションをしているマカロン・パリジャン。高級な手土産として、女性には間違いなく喜ばれるだろう。たまにはお土産に有名なパティスリーのマカロン等を購入してみてはいかがだろうか。お値段が張るとは言え、甘みが強いので1人1~2個で十分である。ちなみに、バタークリームやガナッシュを挟んでいるので要冷蔵だ。壊れやすい菓子なので、持ち運びには注意しよう。