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これはビックリ!さつまいもとじゃがいもの違い

これはビックリ!さつまいもとじゃがいもの違い

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:東京農業大学 醸造科学科 教授 前橋健二(まえはしけんじ)

鉛筆アイコン 2019年12月20日

じゃがいもとさつまいもは、どちらが好きかでよく話題にされる似た芋同士。両方に「芋」と付くし、ホクホクした食感がよく似ている。甘味くらいしか差が無いような気がするが、実はこの2つはかなり遠い親戚みたいな間柄なのである。一体違いはどこにあるのだろう。

  

1. 近い兄弟か遠い親戚か

生物学的な分類には、「目」「科」「属」「種」が存在する。 じゃがいもとさつまいもは「ナス目」で、ふたつとも実はナスの親戚だ。

じゃがいもはトマトの兄弟

じゃがいもの学術名は、「ナス目ナス科ナス属じゃがいも種」。ナスのオンパレードだ。実が出来る場所が全然違うような気がするが、じゃがいもは「根茎」という茎の一部を食べている。芽は出るが根が出ないのはこのためだ。同じナス目ナス科ナス属のトマトの方が、実はさつまいもよりじゃがいもに近いのである。

さつまいもはアサガオの兄弟

対するさつまいもは「ナス目ヒルガオ科さつまいも属さつまいも種」。さつまいもの花は薄紫で、まるでアサガオのような丸くて美しい花である。さつまいもとアサガオは同じヒルガオ科で近種にあたるのだ。じゃがいもが「根茎」を食べるのに対し、さつまいもは「塊根」という根の部分を食べている。このため、細かいヒゲ根が生えているというわけだ。

2. 生育環境や栄養も違う

同じように「芋掘り」をするのに、両者は適した気候が全く違う。そういえばじゃがいもは北海道、さつまいもは九州が一大原産地だ。

どちらも南米うまれ

南米原産でもそれぞれ収穫地の気候が違うため、極端な差がある。じゃがいもは乾燥に強く、気温が低くてカラッと涼しい土地がむいている。逆にさつまいもは湿度が高く、熱帯地域の気候がむいているのだ。

毒と栄養

じゃがいもには毒があるのをご存知だろうか。芽と皮の緑色の部分にソラニンやチャコニン等の「ポテトグリコアルカロイド」が含まれており、頭痛や腹痛の原因になる。綺麗に取り除いて調理しよう。また、でんぷんの質はさつまいもの方が消化しにくい糖質のため、腸内まで到達して細菌に分解されるので「おなら」が出やすいのだそうだ。

3. 衝撃の接ぎ木

ナス科のジャガイモは同じナス科のトマトと、ヒルガオ科のさつまいもは同じヒルガオ科のアサガオと接ぎ木が可能である。近年では驚くような品種が開発されているようだ。

夢のような「トムテト」

今までもじゃがいもとトマトの接ぎ木研究はあった。ジャガトマやポマトと言われ、実の付き方や発育が不良で味もよくなかったため実用性がなかったのだ。しかし、イギリスの園芸用品会社トンプソン&モーガン社が、フルーツトマトとじゃがいもが同時に収穫できる苗木を開発。1本から400個ものトマト、2kgの大振りじゃがいもが収穫できる可能性がある。イギリスでは2014年から発売されているとのことだが、日本で目にする日も近いのだろうか。

まるで盆栽!アサガオが咲いたさつまいも

さつまいもの下半分を土に埋め、さつまいも本体につけた切り込みにアサガオの苗を移植していく。上手く根付くときちんと成長し、花が咲くのだ。もちろんさつまいもをじゃがいもに変えて行うと、アサガオの根は根付かずに枯れてしまう。育ったアサガオはさつまいもの養分だけで咲いていく。同じ科だからこそ出来る荒業である。

結論

接ぎ木は非常に高度な園芸技術で、特にさつまいもにアサガオを咲かせるのは難しいのだそうだ。夏休みの自由研究で成功したら子供はびっくりするに違いない。さらに、土の中にじゃがいも・地上にトマトが生った苗が出て来るとは本当に驚きである。同じ芋でも学術的にはまるきり違うさつまいもとじゃがいも。まずは両者をじっくり見比べるところから始めてみよう。芽やヒゲ根の違いが面白い。
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  • 公開日:

    2018年3月22日

  • 更新日:

    2019年12月20日

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