1. キレイに盛り付ける必要性は?

美味しく見えない
天ぷらの種類は多く、それぞれが異なる形をしている。そのため、キレイに盛り付けることが難しいのだ。ハンバーグを例にあげてみると、皿の手前側にメインとなるハンバーグを置き、奥に付け合わせとなるブロッコリーやニンジンなどを添える。バランスに悩むことなく、キレイに盛り付けることができる。しかし、天ぷらはどうだろう?並べてもおかしいし、積み上げるのも変だ。具材が1種類のみだとしても、並べて盛ると天ぷららしさに欠ける。キレイに盛り付けをしないと、せっかくの料理が美味しく見えない。身近な料理だが美しく盛り付けることが難しい天ぷら、コツを覚えて上手に盛り付けよう!
上手に盛り付けると美味しくなる!
キレイに盛り付けされた料理は美味しく見える。しかし、天ぷらの場合には「美味しく見える」のではなく「美味しくなる」のだ。天ぷらは油で揚げる料理である。積み上げて盛り付けると、下にある天ぷらに上の天ぷらの油が浸みてしまうのだ。天ぷらはサクサクした食感が命、油がじっとりと染み込んでしまっては、美味しさが失われてしまう。天ぷらをキレイに盛り付ける理由は、見た目の美しさだけでなく美味しさのためでもあるのだ。
2. 天ぷらの盛り付けのコツ

立体感を意識
天ぷらに限らず、和食の盛り付けにおいて"立体感"は非常に大切である。その立体感を出すコツが、料理を高く盛ること。盛り付けに高さを出すことで立体感が生まれ、料理の美しさが際立つのだ。料亭や和食レストランで天ぷらを注文すると、天ぷらは高く盛り付けされている。これは天ぷら同士を重ねないことで油が移ることを避けると同時に、美味しそうに見える盛り付け方だからだ。手前側に小さいもの、そして奥に大きいものを盛ると良い。ちなみに、「高く盛る」とは積み重ねることではなく、天ぷら同士を立てかけるように盛り付けることである。
彩りを意識
料理の美しさの決め手となる彩りは、和食にとってとても重要だ。どんなに美味しい料理でも、全体的に同系色では美味しそうに見えない。"色々な食材を使う"という天ぷらの特徴を活かし、キレイに盛り付けよう。まず、大きい食材を土台になるよう奥に盛り、順に色彩や高さを配慮しながらバランスよく盛っていくと見栄えが良い。大きさがバラバラな時は、色が濃く小さい食材が一番手前になるように盛り付けよう。衣によって全体的に同じ色合いになりがちなので、ピーマンの緑やナスの紫、海老のしっぽの赤などが映えるように盛り付けることがポイント。
3. スタンダードと変わり種、色々な天ぷらの具材

天ぷらの具材は様々だ。しかし、「いつも同じ具材になってしまう...」という悩みも。最後に、スタンダードな天ぷらと変わり種を紹介する。「身近にある食材を天ぷらにしたら意外と美味しい!」なんて驚きもあるかもしれない。
普通はこれ!スタンダードな具材
- 魚介類
えび、アナゴ、イカ、キス - 野菜
なす、レンコン、ししとう、かぼちゃ、サツマイモ、しいたけ、玉ねぎ、なす、シソの葉、オクラ、ピーマン、舞茸、タラの芽 - その他
玉ねぎとニンジンのかき揚げ
意外と美味しい!?変わり種
- 魚介類
イワシ、ホタテ、ツナ缶(かき揚げ)、桜エビ(かき揚げ) - 野菜
うど、ニラ、長ネギ、ミョウガ、ニンニクの芽、たけのこ、インゲン豆、アスパラガス - その他
バナナ、あさり(かき揚げ)、コーン(かき揚げ)、もずく、うずらの卵、ちくわ、鶏ささみ、アイスクリーム、梅干し、ウニ、饅頭、ビスケット、めんたいこ
- ここで紹介した具材の中には、地域特有のものもある。例えば、静岡県民にとっての桜エビのかき揚げや沖縄県民にとってのもずくの天ぷらは、実は変わり種ではなくて定番の具材である。
結論
天ぷらの盛り付け方について解説した。江戸時代、天ぷらは屋台で食べる超庶民の食べ物であり、サツマイモやレンコン、芝海老などが当時の代表的な具材だった。現在でも家庭料理の定番だが、なぜか専門店は高級なイメージがある。家庭で美味しい天ぷらを作ったら、懐紙の上にキレイに盛り付けて食べよう!