1. ひなまつりについて

ひなまつりはお祓いの儀式だった
ひなまつりと言えば、女の子の健やかな成長を祈る華やかなまつり。その歴史はいつ始まったのだろう?ひなまつりの始まりについては明確ではないが、紙で作った手製の人形や御殿を使って遊ぶ"雛あそび"に関する記述が平安時代の書物に残されている。これは"ひいな遊び"と呼ばれる現在のおままごとに近い遊びで、上流階級の家の女の子たちによって行われていた。また、同じ時代の3月の初めには、災いを流すという意味をこめて紙製の人形を川に流すお祓いの儀式が行われていた。江戸時代に入ると、この雛あそびとお祓いの儀式が繋がり、現在のひなまつりのように雛人形が飾られる祭りになった。ちなみに、ひなまつりが3月3日に定められたのは室町時代だと言われている。
ひなまつりの祝い方!
ひなまつりには雛人形を飾る。これは誰もが知っているひなまつりの祝い方だが、ただ飾るだけがひなまつりではない。「雛人形を飾ってちらし寿司を食べるだけ」という家庭も多いが、本来の祝い方を知っておこう。
- 立春の日かそれ以降の大安や友引の日に飾る。
- ひなまつりの2週間以内に片付ける(※地域によっていろいろ)。
- 祖父母や親戚などを招待し、赤ちゃんの健やかな成長を祈る(初節句の場合)。
- ちらし寿司、はまぐりのお吸い物などの行事食でお祝いする。
2. なぜ、ひなまつりにはまぐりのお吸い物?

ちらし寿司とはまぐりのお吸い物はマスト!
ひなまつりの祝い方は地域や家庭によって異なる。「初節句にはご馳走を用意して雛人形を贈ってくれた祖父母を招いて一緒に食事をしたが、それ以降はちらし寿司を食べるだけ」という家庭が多いだろう。ひなまつりの祝い方にルールはないが、伝統はある。ちらし寿司とはまぐりのお吸い物のほか、ひなあられ、白酒、ひし餅、桜餅などもひなまつりによく食べられている。そのほか、さざえやあさり、わらびなどを料理に使う地域もある。
はまぐりは縁起の良い貝
はまぐりのお吸い物は、ひなまつりの行事食に不可欠である。なぜだろう?これは、はまぐりのある特徴に由来する。はまぐりは、1対2枚の貝殼を持つ"二枚貝"である。対の貝はぴったりと合うが、それ以外の2枚の貝が合うことは絶対にないため、平安時代には"貝合わせ"と呼ばれる対の貝殼を見つけるゲームにも使われていた。このようなはまぐりの特徴は、仲の良い夫婦を表すものとされていた。また、二枚貝は姫様を表すという考えもあった。このことから、はまぐりは一人の相手と永遠に仲良く過ごすという女性の幸せを象徴するものとされ、縁起物として扱われてきた。女性の幸せを象徴する食材であるはまぐりを使った料理ということで、はまぐりのお吸い物が行事食として定着したのだ。
3. 砂抜きから~はまぐりのお吸い物の作り方

はまぐりの砂抜き
まずは、はまぐりの塩抜きをしよう。バットなどに、はまぐりを重ならないように並べ、そこに3%の塩水を入れ、一晩暗い場所に置く。3%の塩水は、水500mLに塩大さじ1杯入れることで作ることができる。はまぐり全体がしっかりと浸る高さの容器を使う。塩水の量は、はまぐりの個数などによって調節すること。一晩置くと確実だが、スーパーなどで購入したものなら3時間ほどでも問題ない。また、50℃のお湯で砂抜きをすると時間短縮できるが、確実に砂を抜くにはやはり3時間ほど待ちたい。砂抜きが終わったら、貝同士をこするようによく洗っておく。
水から煮る
- はまぐり・水(500mL)・昆布(5g)を鍋に入れ、弱火〜中火ほどで加熱する。
- アクを丁寧に取る
- 沸騰したら昆布を取り出し、火を弱める
- はまぐりの口が開いたら、酒(大さじ1)・塩(ひとつまみ)を加えて味付けする
- 火を止めてお椀にはまぐりを盛り、汁を注ぐ
- はまぐりの口が開いたあとに煮立たせると身が固くなってしまうため、弱火でサっと味付けをして火を止めよう。
結論
ひなまつりに欠かせないはまぐりのお吸い物について解説した。女児が生まれた時からその子の将来の幸せを願う美しい日本の伝統。年に数週間だけしか飾ることのできない雛人形を飾り、美味しい料理でお祝いしよう。ちなみに、はまぐりなど二枚貝にはノロウィルスが多いため、しっかりと火を通すことを忘れずに!