1. ひし餅の由来は?

中国で食べられていた餅に由来
ひし餅はひなまつりを象徴するものである。5段飾りや7段飾りといった立派な雛人形には、小物の中に必ずひし餅がある。また、近年ではひし餅に見立てたちらし寿司やケーキを見かけることもある。このように「ひなまつりと言えば...」のひし餅だが、一体どんな歴史を持つのだろう?その昔、中国では3月の最初の巳の日に厄払いをする行事が行われており、この時にゴギョウ(別名"母子草")という草を使った餅を食べていた。この行事はひなまつりのルーツであり、日本に伝わると、ゴギョウではなくよもぎから作った餅が食べられるようになった。この餅がのちにひし餅となるのだ。
ひし餅の形には諸説あり
よもぎ餅がひし餅のルーツであることはわかった。では、どのようにして現在のような形になったのだろう?実は、はっきりとしたことはわかっていない。ひし餅の形には諸説あり、「大地を意味する」とか「菱の実を食べて長生きした仙人にちなんで」など様々だ。明確な歴史は不明だが、江戸時代初期には現在と同じように菱形をしていたことはわかっている。しかし、ひし餅の色の意味ははっきりとしている。次の項目で詳しく解説する。
2. ひし餅の色には意味がある?

ひし餅はもともと2色だった!
ひし餅は、基本的に赤・白・緑の3色が重なっている。しかし、ひし餅の形が菱形になった江戸時代初期には、ひし餅のルーツであるよもぎ餅に白い餅を組み合わせた白と緑の2色のみだった。この2色のひし餅に赤が加わり現在の3色に定着したのは明治時代にことである。この3色は"ひなまつりカラー"として定着し、ひなあられなど様々なものに使われている。では、それぞれの色の意味を見てみよう。
- 緑
新緑や若葉をイメージ。健康を願う意味が込められているほか、厄除けの意味もある。 - 白
雪をイメージ。洗浄を意味するほか、長寿への願いも込められている。 - 赤
桃の花をイメージ。先祖を尊びと厄払いを意味するほか、健康への願いも込められている。
5色・7色のひし餅もあり!
一般的に、緑・白・赤の3色の菱形の餅が重なったひし餅。しかし、黄色や濃い赤などを加えた5色のひし餅や、緑・赤・黄色・濃い赤の4色の間に白を挟んで7段のひし餅を見かけることもある。また、基本は同じサイズの菱形だが、下段から上段に向かって菱形が小さくなるピラミッドのようなひし餅もある。三角形のひし餅を飾る地域もある。このように、地域性ばかりではなく雛壇に似せた見た目の豪華さなどから、3色以外のものも存在する。
3. ひし餅はどう食べる?どう作る?

ひし餅の食べ方
雛人形の小物として飾るひし餅は、当然ながら作り物である。地域や家庭にもよるが、雛人形を飾る期間は3~6週間ほど。期間が長いだけに、生のものはなかなか飾りにくい。しかし、やはり伝統のひなまつりを本格的に祝うには、当日だけでも"食べられる"ひし餅を飾り、それを食べよう。ひし餅は、そのまま食べられるものもあるが、焼かなければいけないものは、色ごと1枚ずつに分けてオーブントースターで焼く。ひし餅の角には魔除けの意味があると言われており、ちぎりながら食べることで良いことが起こるという言い伝えもある。
ひし餅の作り方
ひし餅は、ひなまつりが近づくとスーパーなどで売られる。簡単に手に入るが、時間に余裕があれば手作りしてみよう!餅に色をつけるシンプルな方法のほか、ゼリーや寒天で作るアレンジひし餅も人気が高い。ここでは、上新粉と白玉粉で作るひし餅を紹介する。
- 上新粉(100g)・白玉粉(20g)・砂糖(100g)・水(150mL)をボウルに入れて混ぜる
- 生地を3等分し、食紅などを使って着色する
- 型に緑色の生地を流し込み、5分ほど待って表面のベタつきがなくなったら白、同じように赤の生地を流す
- 型のまま蒸し、出来上がったら型から取り出す
結論
ひなまつりの行事食であるひし餅について解説した。女の子の成長と幸福を祈るため、年に一度の伝統行事を大切にしよう。ちなみに、餅だけでなくひし餅に見立てた3色ゼリーなども商品化されている。子供が餅嫌いの場合には、ゼリーもおすすめだ。