1. なぜ、ひなまつりにお酒?

白酒・甘酒はひなまつりの行事食の一種
ひなまつりは女の子のための行事である。ちらし寿司やはまぐりのお吸い物といった定番料理を食べ、ひなあられやひし餅など伝統的な雛菓子でお祝いする。子どもをより喜ばせるため、近年ではデコレーションケーキなどを用意する家庭も多い。このように、女の子の健やかな成長と幸福を祈る日であるひなまつりには、綺麗な雛人形を飾り、みんなで食べられる料理やデザートを並べて華やかに祝う。しかし、伝統的にひなまつりを祝う時に欠かせない行事食の中には、子どもが絶対に口にすることのできないものがある。"白酒"や"甘酒"といったアルコール類だ。なぜ、子どもが飲むことのできない白酒・甘酒がひなまつりの行事食に含まれるのだろう?
中国の儀式に由来
現在のひなまつりは、厄払いの儀式と女の子の人形遊びが結びついた行事だと言われている。この厄払いの儀式は3月の最初の巳の日に行われており、汚れ(けがれ)を洗い流すために白酒を飲んだという説がある。また、この儀式はもともと中国で行われており、中国では白酒ではなく厄払いと不老長寿を願って桃香酒という桃の香りのする酒が飲まれていた。当時の日本では桃香酒を白酒と呼んでいたが、いつしか現在の白酒となったという説もある。
2. 白酒と甘酒、どう違う?

白酒が中国で行われていた儀式に由来することはわかった。しかし、白酒ではなく甘酒を用意する家庭や地域もある。これはなぜだろう?また、白酒と甘酒はどう違うのだろうか?
甘酒は子どものために用意された
白酒はアルコール度数10度前後の、れっきとした"酒"である。一方の甘酒は、原料によってはアルコールをほとんど含まない。更に、長い熟成期間を経て作られる白酒に対して甘酒は一晩で作ることができるため、一般庶民にとってもなじみのある飲み物であった。ひなまつりには厄払いと長寿祈願のために白酒を飲んでいたが、子供でも飲むことのできるノンアルコールの飲み物として甘酒が用意されるようになったと言われている。
白酒と甘酒の違い
白酒は名前の通り白い酒である。そして、甘酒もまた白。見た目のよく似た白酒と甘酒は、どう違うのだろうか?
- 白酒
白酒は、焼酎やみりんにもち米や米麹を仕込んで熟成させたもろみをすりつぶして作る酒である。先に触れたが、アルコール度数は10度前後、熟成には1ヶ月ほどかかる。甘みが強く、飲み口の良い酒だ。家庭での白酒の製造は認められておらず、知らずに作ってしまうと酒税法違反となるため作ってはいけない。 - 甘酒
甘酒は、米麹か酒粕を使って作る。酒粕を原料とする甘酒はアルコールを含む"酒"となり、米麹を原料とする甘酒は、アルコールはわずかに生じるものの1%未満のため"ソフトドリンク"となる。子どもも飲むことのできるように甘酒を用意する場合には、当然米麹を原料とするソフトドリンクの甘酒となる。
3. 子どもも飲みたい!甘酒の作り方

ひなまつりが近づくとスーパーには特設コーナーが用意され、ひなまつりを祝うために欠かせない菓子や食材が並べられる。ひし餅やひなあられなどはもちろん、子どもが飲むことのできるノンアルコールの甘酒も簡単に手に入るが、時間があれば甘酒を手作りしてみよう。家庭で手作りすれば、アレンジも自在だ。米麹を使ったシンプルな甘酒の作り方を紹介する。
作り方
作り方
- 米(1合)を研ぎ、炊飯器の釜に入れる
- 4合の線まで水を注ぎ、おかゆを炊く
- 炊き上がったおかゆに水(500mL)を加え、55~65℃に下がるまで待つ
- 温度が下がったら米麹(100g~)を加えて混ぜる
- 炊飯器を保温モードにしたまま釜に布巾をかぶせ、蓋を閉めずに保温する
- 2時間おきにかき混ぜると、8時間ほどで完成
- 完成までの時間は米麹の量や温度などによって前後する。米麹100gの場合には、10時間ほどを目安とする。ここでは炊飯器を使った作り方を紹介したが、ヨーグルトメーカーやホームベーカリーなどでも作ることができる(メーカー、ブランドによるため取扱説明書を要確認)。手作りの甘酒で愛情いっぱいにひなまつりを祝おう!
結論
ひなまつりに飲む"白酒"と"甘酒"について解説した。甘酒は、実は様々な楽しみ方のできる飲み物である。野菜ジュースやフルーツジュースを混ぜてさっぱりと飲むこともできるし、卵を加える飲み方もある。甘酒が苦手な子どもには、牛乳で割る飲み方もおすすめだ。