1. 春に苦いものを食べる理由

「春の皿には苦味を盛れ」という諺(ことわざ)がある。これは、「春には苦いものを食べよ」という意味である。その理由は、ズバリ苦い食べ物を食べることによって「冬の体」から「春の体」にチェンジさせるためだ。苦い食べ物の持つすごい効果を見てみよう。
細胞を活性化する
春に旬を迎える山菜は、苦味のある食べ物の代表格と言えるだろう。これらの山菜にはポリフェノールやミネラルが豊富に含まれており、細胞を活性化する効果がある。健康にも若々しさを維持するためにも重要な新陳代謝を活発にしてくれるのだ。長い歴史の中で、我々人間は冬に脂肪を蓄えるようになった。寒さを乗り越えるために体に脂肪を溜め込むことは自然なことであり、時代が大きく変わった現在においても、その仕組みはかわらない。しかし、冬が終われば溜め込んだ脂肪や老廃物を排出しなければならない。そのために苦いものを食べるのだ。
行動的になる準備
苦味は消極的な「冬の体」に刺激を与え、活動的できる「春の体」に変えてくれる。職場や学校などにおいて春は始まりのシーズンであり、行動力はスムーズなスタートには必要不可欠である。冬の体を脱ぎ捨て、行動力を習得しておかなければならないのだ。現在のように寒さや暑さをしのぐ方法がなかった時代に、人間は自然と冬は溜め、そして春に排出することで、少しでも健康・快適に生きる方法を身につけたのだ。
2. 春には何を食べるべき?

旬のものを食べる大切さ
「食養生」という言葉をご存知だろうか?食を通して健康を得たり、元気な体を維持することを意味する。健康な体には、適度な運動やストレスを溜めすぎないこと、質の良い睡眠などが必要だが、食事からバランスのとれた栄養を摂り入れることも非常に重要。栽培技術の発展により、食品の「旬」はわかりづらくなっている。しかし、季節の食べ物にはその時期に人間が必要とするものが多く、季節の変化に対応するためには率先して摂り入れるべきなのだ。
春の苦い山菜
先に触れたが、本来の旬の時期以外にも食べることのできる野菜や果物は多い。年間を通していつでも食べたい野菜を手に入れられることは有難いことだが、季節を感じることが少なくなっている。ハウス栽培の山菜は春以外にも手に入るが、やはり体が必要とする食べ物は本来の旬の時期に食べるべきである。春の苦いものには具体的に下記のようなものがある。
うど、ふき、ふきのとう、こごみ、木の芽、タラの芽、つくし、ワラビ、たけのこ、あしたば、あけび、いわぶき、かたくり、うるい、クレソン、せり、ぜんまい、みつば、あざみ、コシアブラ、行者ニンニク
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3. 苦いものはカッコいい!?

「苦味」は大人の味
人間は、いろいろな味を感じることができる。甘味、塩味、うま味、酸味、苦味は5つの基本味と言われている。この中で「酸味」は腐敗、そして「苦味」は毒性を感じさせると言われている。しかし、すべての苦い食べ物が毒を持つわけではなく、少量であれば体に良いものもある。また、苦味を受け付けない動物とは異なり、人間は成長とともに苦味を受け入れられるようになり「美味しい」とさえ感じられるようになる。苦いものを食べられることは、大人になった証拠なのだ。
もっと「食」を楽しむことができる
苦いものを口にできるようになると、当然だが食の範囲が広がる。いろいろなものを食べられてこそ大人であり、苦味を楽しめることはカッコいいことなのだ。若い頃には好きではなかったものが好きになった経験はないだろうか?ビールやコーヒー、ワイン、お茶などは苦味を持つ飲み物だが、年齢を重ねるにつれて好きになることがある。これは単に"味に慣れた"ばかりでなく、ストレスを感じると苦味を美味しく感じる人間の性質にも関係する。ストレスは決して良いことではないが、大人の階段を登って食の範囲を広げ、苦いものを食べられるようになることは良いことだろう。
結論
「春は苦いものを食べよ」と言われる理由を解説した。冬の体から春の体へチェンジするため、人間には苦いものが必要なのだ。新年度をスムーズにスタートさせるため、山菜を食べて体をリセットしよう!ちなみに、冬眠から覚めた熊が最初に食べるものも苦味のある山菜だと言われている。人間も動物の一種であり、やはり必要なものは同じなのかもしれない。