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日本酒の旬はいつ?ひやおろしや生酒ってなに?

日本酒の旬はいつ?ひやおろしや生酒ってなに?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 南城智子(なんじょうさとこ)

鉛筆アイコン 2019年12月18日

日本酒の新酒シーズンは、11月~3月あたりの寒い時期だ。日本酒の飲みごろについて触れながら、日本酒の旬についておさらいしてみよう。また、酒蔵の軒先にぶらさがる杉玉についてのうんちくについても見ていこう。

  

1. 日本酒の旬はいつ?~四季醸造と寒造り~

日本酒は、基本的には、秋に収穫した新米を原料に仕込み、おもに冬から春にかけて造られるが、手作りにこだわる酒を仕込む時期は11月~3月に集中している。今では、徹底した温度管理の元、年中日本酒が作られるようになっているが、「寒造りの酒はおいしい」と言われるほど違いがあるという。冬場は気温が低いために味わいに差が出るのだそうだが、雑菌が繁殖しにくく麹菌の発酵が正常に進みやすくなることや、もろみは低温でゆっくり時間をかけて醗酵させた方が味に深みが出るということから、寒い冬に仕込む酒は繊細な味わいが出しやすいのだそうだ。江戸時代初期までは「四季醸造」とよばれる酒造りがあり、新酒、間酒、寒前酒、寒酒、春酒といったように、四季を通じて年中酒造りが行われていたの。しかし、寛文7年(1667年)に、当時もっとも酒造技術が進んでいたといわれる伊丹の酒造において、寒酒の仕込み方を改良した寒造りが確立されたことで、江戸幕府は寒造り以外の醸造を禁止して酒造統制を行うことにした。米の供給が増える年は四季醸造を解禁するなど、引き締めと解禁を繰り返すうち、生産許可の不安定な新酒、間酒、寒前酒、春酒を蔵元が造らなくなっていき、四季醸造は衰退していったのだが、昭和時代の工業技術の革新によって、いったん途絶してしまった四季醸造の技術が復活することとなった。気温の低い地域では、昔ながらの四季醸造の製法でこだわりの酒造りをしている酒蔵もある。

2. 日本酒ののみごろは?~あらばしり・中汲み・責め・生酒・ひやおろし~

新米が収穫されると、精米・蒸米後、蒸し米に黄麹菌を植えて麹を造る。そして、蒸米と麹のほかに水や酵母を加えて造った酒母(酛)をもとにして酒を仕込んでいくのだが、1月頃になると、まさに仕込んだばかりの新酒が出回るようになる。
日本酒造りの工程では、発酵を終えたもろみを原酒と酒粕に分けるため、上槽・滓引き(搾り、こす)とよばれる作業を経る。ここで搾られて出てくるのが搾りたての新酒である。
酒を伝統的な手法で搾る場合、搾る順序によって酒には特徴があり、それぞれ名前がつけられ区別される。
「あらばしり」は、その中でも一番はじめに出てくる酒で、薄い濁りがあり、アルコール度数はやや低め、ワイルドでフレッシュな味わいが特徴である。
「あらばしり」が終わると、次に出てくるのが透明な「中汲み(中取り)」と呼ばれる酒だ。味と香りのバランスに優れ、鑑評会に出品される酒はこの部分であり、一般的に酒の最もおいしいとされる。
中汲みが出終わり、最後に圧力をかけて搾った酒が「責め」だ。アルコール度数は一番高く、雑味の中にも力強く濃い味わいが特徴的だ。
搾られた酒を低温熟成させ、一切火入れをせずに出荷されるのが「生酒」とよばれる酒で、一般的に品質の変化も大きく、蔵元でしか味わえないような、「生」ならではのフレッシュさが人気だ。
また、寒い冬の時期に仕込まれ、春先に一度だけ加熱殺菌し、秋までじっくりと熟成させ、外気温と蔵の中の酒の温度がほぼ同じになる秋になってから、再度の火入れをしないで出荷される酒は「ひやおろし」とよばれる。これは、秋に楽しめる酒としても重宝される。

3. 杉玉って何?

日本酒の造り酒屋などの軒先につるされた巨大なボール。身近なところで馴染みがなくても、旅先などで昔ながらの造り酒屋の前を通りかかったときに目にされたこともあるだろう。杉玉はその名の通り、杉の葉を束ねて球形にしたもので、直径が約60cmにもなる。
実は、この杉玉が吊されると日本酒を搾り始めたことを意味している。つまり、杉玉は、新酒ができあがることを知らせるサインとしての役割を果たすというわけだ。吊るされた当初青々としている杉玉はやがて枯れて茶色になってくるのだが、色の変化はさらに新酒の熟成度合いを示すという。
その昔、酒の神である奈良県桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)に各地の蔵人がお参りに訪れた際、神社の御神体である三輪山の杉の葉を酒造りのお守りとして持ち帰ってあやかったというのが、造り酒屋が軒先に杉玉をつるすようになった起源であるという。
毎年11月14日に新酒の醸造の安全を祈る祭典として執り行われる醸造安全祈願祭(酒まつり)の前日には、拝殿と祈祷殿に取り付けられている直径約1.5m、重さ約200kgもある「大杉玉」が青々とした新しいものに掛け替えられる。この祭りには全国の酒造家・杜氏・酒造関係者が参列するという。
ちなみに杉玉は通称で、酒林(さかばやし)とも呼ばれるようだ。

結論

寒造りの日本酒は基本的に寒い時期に仕込まれて1月ごろから新種が出回るようになる。人それぞれ好みはあるだろうが、工程や製造の違いによる色々な酒を試して、その違いも楽しんでほしい。ちなみに、「新酒」は秋の季語だ。秋の実りを神に感謝する意味合いも強く込められているからだとも、かつては収穫後の米をすぐ醸造したためだともいわれる。
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  • 公開日:

    2018年3月23日

  • 更新日:

    2019年12月18日

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