1. おかひじきとは?

おかひじきとはアカザ科オカヒジキ属の植物で、見た目が海藻の「ヒジキ」に似ていることからその名前が付けられた。元々は海岸の砂地などに自生している野草で、日本だけでなくヨーロッパ・中国・ロシア・朝鮮半島など世界中に生息している。日本で食べられているおかひじきは、主に若いときの柔らかい茎と葉っぱ。淡泊な味と歯ごたえのよい食感が特徴で、さまざまな料理との相性がいい。
おかひじきの産地と旬は?
おかひじきは日本全国に自生している野草だが、江戸時代初期から山形県南陽市(置賜地方)などで栽培も行われていたそうだ。現在はハウス栽培が盛んになっているため通年出回っているが、露地物の旬は6月以降の夏前。また、ハウス栽培やトンネル栽培された置賜地方産のおかひじきは、3月下旬から11月上旬まで出荷されている。地元スーパーだけでなく、首都圏への出荷も行われている。
おかひじきのほとんどが無農薬の理由は?
おかひじきはハウス栽培が盛んな植物だが、一方で育てるのが非常に大変だといわれている。その理由は「おかひじきが湿気に弱いこと」「おかひじきに使える農薬が少ないこと」などが関係しているそうだ。消費者から見れば、無農薬野菜のため安心して食べることができる。しかし、おいしくて安全なおかひじきが食べられる背景には、おかひじき農家の多大な苦労があることが伺える。
2. おかひじきの栄養価と主な栄養素の働き

おかひじきは栄養価が高いスーパーフードとして知られており、産地である南陽市の小学校では給食にも使われているという。そこでおかひじきにどのような栄養素が含まれているのかを確認しよう。
おかひじきの主な栄養価
文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」には「生」と「ゆで」の二種類が掲載されている。このうちおかひじき(葉茎、生)の100gあたりの栄養価は以下のようになっている(※1)。
- エネルギー:17kcal
- たんぱく質:1.4g
- 脂質:0.2g
- 炭水化物:3.4g
- ビタミン
・βカロテン:3300μg
・ビタミンK:310μg
・ビタミンB1:0.06mg
・ビタミンB2:0.13mg
・葉酸:93μg
・ビタミンC:21mg - ミネラル
・ナトリウム:56mg
・カリウム:680mg
・カルシウム:150mg
・マグネシウム:51mg
・リン:40mg
・鉄:1.3mg
・亜鉛:0.6mg
・銅:0.10mg
・マンガン:0.66mg - 食物繊維:2.5g
(・水溶性食物繊維:0.5g)
(・不溶性食物繊維:2.0g)
緑黄色野菜に多い「βカロテン」が豊富
緑黄色野菜の一種であるおかひじきには「βカロテン」も多く含まれている。その含有量は100gあたり3300μgであり、同じ緑黄色野菜である小松菜(3100μg)などよりも多い。体内に入ったβカロテンは皮膚や粘膜の健康を維持したり、光を感知したりするために必要なビタミンAに変換される。また、βカロテンには体内の活性酸素を取り除くための抗酸化作用もある(※2)。
カリウムやカルシウムなどのミネラル類も多い
「陸のひじき」と呼ばれることもあるおかひじきには、カリウムやカルシウムなどのミネラル類も多い。その含有量は野菜の中でもトップクラスであり、カリウムはホウレンソウ(690mg)と同じくらい、カルシウムは小松菜(170mg)と同じくらいとなっている。また、おかひじきにはマグネシウムや鉄なども多く含まれている。それぞれの栄養素の主な働きは以下を参考にしてほしい(※2)。
- カリウム:身体の余分な水分や塩分を排出する働きがある
- カルシウム:骨や歯の材料になる。神経を落ち着かせる働きもある
- マグネシウム:体内のカルシウム量を調整する働きがある
- 鉄:ヘモグロビンの材料になる。エネルギーの代謝にも関わる
3. 美味しいおかひじきの選び方

おかひじきは、若くて柔らかいものが美味しいといわれている。そんな新鮮で美味しいおかひじきを食べたいなら「色味」「長さ」「太さ」などを参考に選ぶようにしよう。
- 色味:濃い緑色をしており、ツヤがあるのがよい
- 長さ:短くてあまり育っていないほうがよい
- 太さ:茎が細くて柔らかいもののほうがよい
一方、茶色かったり黄色かったりするものは鮮度が落ちている可能性が高く、太く・長く育っているものは歯ごたえが強すぎる可能性が高い。鮮度が落ちたものや育ち過ぎたものは、あまり美味しくないのでできるだけ避けるようにしよう。
4. おかひじきの下茹でのやり方

おかひじきはシャキシャキとした食感を活かした料理が向いているが、そのままだとアクが強くて食べにくい。サラダなどにして食べる場合は、以下の手順で下茹でするのがおすすめだ。なお、加熱調理する場合は下茹でを行う必要はない。
- 根元から1〜2cmの部分をカットする
- 水洗いをする
- 鍋にたっぷりと湯を沸かして、約2%の塩を加える
- おかひじきを加えて、30秒〜1分ほど茹でる
- ザルにあげて冷水にさらして締める
- 粗熱が取れたら、水気をよく切る
- プラスチック製の保存容器に入れて冷蔵保存する
5. おかひじきを使った美味しい食べ方

下茹でしたおかひじきはサラダなどにしてそのまま食べることもできるが、炒め物やスープ、和え物などさまざまな料理に使うことができる。一例だが以下のような料理に使ってみるとよいだろう。
食べ方1.おかひじきのサラダ
下茹でしたおかひじきに、ハムやツナなどを加えてマヨネーズやお好みのドレッシングなどで和える。軽く茹でたにんじんやレタスなどを組み合わせるのもおすすめだ。
食べ方2.おかひじきのナムル
おかひじきをお好みのサイズ(3cm程度が目安)にカットしたら、同じく半分程度の大きさにカットしたカニカマを割いてボウルで混ぜる。あとはごま油や塩、にんにくや胡麻などを混ぜれば簡単にナムルが作れる。
食べ方3.おかひじきの炒めもの
ベーコンと一緒にガーリック炒めにしたり、玉子とベーコンで炒めたりすると色合いがよい。シャキッとした食感を残すには、炒めすぎないのがコツなので覚えておこう。逆に、水を少量入れて蒸しながら焼けば、ふっくら仕上がる。
食べ方4.おかひじきのスープ
玉子スープや油揚げスープなどにおかひじきを使うのもおすすめだ。クタッとしてしまうのを防ぐには、おかひじきを最後の方に入れてサッと熱を加える程度にするのがポイントになる。
結論
「陸のひじき」と呼ばれることもあるおかひじきは、その名前のとおり栄養満点のヘルシーな野菜である。味にも香りにもクセが少なく食べやすいうえ下ごしらえも簡単なので、ぜひサラダや炒めもの、スープなどいろいろな料理に使ってみよう。
【参考文献】
- 1:山形県庁「おかひじき」
https://www.pref.yamagata.jp/ou/somu/020026/mailmag/special/vegetable/okitama2.html - 2:農林水産省「おかひじきのからし和え 山形県」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/okahijikinokarashiae_yamagata.html - 3:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06030_7 - 4:厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/