1. テフとは?

テフ(Teff)とはイネとよく似た姿形をしている、エチオピア原産のイネ科スズメガヤ属の穀物のことである。テフは長さ1mm、幅0.8mmと非常に小さいが、その小さい粒の中には栄養がぎっしりと詰まっていることが特徴。そのことから一般的にはスーパーフードとして知られている。2016年の「ニューフェイススーパーフード ランキングTOP10」では2位にランクインしている(※1)。
テフの名前の由来
テフ(Teff)とは、アラビア語で「失われた」「見失う」という意味を表す「テファ(Teffa)」に由来すると考えられている。この理由にはテフの粒が長さ1mm、幅0.8mmと非常に小さいことが関係しており、一度テフの粒を無くしてしまうと見つけることが難しいからだと考えられている。
テフの誕生と歴史
テフの起源は非常に古く、紀元前4000年よりも前から食べられていたといわれている。また、紀元前100年にはテフを粉状にして発酵させ、クレープのように焼いて食べる「インジェラ」が存在していたと記す史料もある。もともとはエチオピア北部の穀物であったが、19世紀末のエチオピア帝国時代にエチオピア南部にも広がる。さらに近年はアメリカ・ヨーロッパ・日本でも注目を集めている。
2. テフの栄養面の特徴は?

テフが注目を集めている理由は「栄養価が高い」「グルテンフリーである」「GI値が低い」など、健康志向が強い人にとって嬉しい要素が詰まっているからだ。そこでスーパーフードとして注目を集めている「テフ」の栄養面の特徴を詳しく解説する。
特徴1.栄養価が高い
テフは「ホールグレイン」と呼ばれる全粒穀物であり、栄養価が高いことが特徴である。穀物であるため炭水化物を多く含んでいるほか、たんぱく質・ビタミン類・ミネラル類・食物繊維などをバランスよく含んでいることが特徴だ。特にカルシウムや鉄分などのミネラル類を多く含んでおり、主食としてよく食べる米や小麦などよりも含有量は多くなっている(※2)。
特徴2.グルテンフリーである
テフはイネ科の穀物ではあるが、小麦タンパクの一種である「グルテン」は含んでいないこと(グルテンフリー)が特徴である(※1)。グルテンフリーは近年のトレンドワードの一つであり、食生活で心がける人も多くなっている。グルテンを避けている人でも、テフなら食べることができる。
特徴3.GI値が低め
テフは、GI値が低いことでも知られている。GI(グリセミック指数)とは食後血糖値の上がりやすさを数値化したもので、低いほど食後血糖値が上がりにくいといわれている。シドニー大学の「GI FOODS ADVANCED SEARCH 」によれば、テフのGI値は57となっている(※3)。これは同大学が定める基準によれば「中GI食品」に分類され、テフのGI値が高くはないことが伺える。
3. テフの主な栄養価とは?

文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」には、テフの栄養価は収録されていない。そこで米国農務省の「FoodData Central」を参考に、100gあたりのテフ(未調理:uncooked)の栄養価を確認しておこう(※4)。
- エネルギー:367kcal
- たんぱく質:13.3g
- 脂質:2.38g
- 炭水化物:73.13g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.449g
・一価不飽和脂肪酸:0.589g
・多価不飽和脂肪酸:1.071g - ビタミン
・ビタミンA:0μg
・ビタミンE:0.08mg
・ビタミンK:1.9μg
・ビタミンB1:0.39mg
・ビタミンB2:0.27mg
・ナイアシン:3.363mg
・ビタミンB6:0.482mg
・パントテン酸:0.942mg - ミネラル
・ナトリウム:12mg
・カリウム:427mg
・カルシウム:180mg
・マグネシウム:184mg
・リン:429mg
・鉄:7.63mg
・亜鉛:3.63mg
・銅:0.81mg
・マンガン:9.24mg - 食物繊維:8g
4. テフの基本的な食べ方「インジェラ」を紹介!

エチオピアでは、テフは「インジェラ」という料理にして食べられている。これはテフの粒を使ったクレープのような食べ物である。そのままくるくるとロール状に丸めて食べたり、ヤギ肉・鶏肉・豆の煮込み料理などを乗せてちぎりながら食べたりするのが一般的となっている。そんなエチオピアの国民的な料理でもある「インジェラ」の材料と作り方を紹介する。
インジェラの材料
- テフの粉: 1カップ
- 小麦粉:2カップ
- ドライイースト:3g
- 水:適量
インジェラの作り方
- 材料をすべてボウルに入れて混ぜる
- 容器に布巾をかぶせて1~3日常温で発酵させる
- 生地が発酵したら、水を加えて生地を延ばす
- フライパンに薄く生地を広げてクレープのように焼く
※片面だけ白い部分が無くなるまで焼く - 茶色く生地が焼きあがったらインジェラの完成である
5. テフはどこで買うことができる?

テフはスーパーなどではあまり置いていないため、基本的にはネットショップなどで購入するのがおすすめだ。現在、ネットショップなどで出回っているテフの多くは米国産・オーストラリア産・欧州産・南アフリカ産のものが多い。また、商品により異なるが、価格は200gで1500円~2000円ほどとなっている。いくつかネットショップで購入できるテフの種類をチェックしておこう。
その1.山年園「テフ」
こちらのテフは、東京都豊島区にある山年園の商品である。ラインナップには「ホワイトテフ」「ブランテフ」「テフフレーク」の三種類となっている。また、1袋あたりの内容量は200gとなっている。専用オンラインショップでは、テフのまとめ販売も行っている。
その2.トレンドアップリンク「ラブリーテフ」
ラブリーテフは、東京都新宿区にあるトレンドアップリンクが販売している商品である。ラブリーテフシリーズには「フレーク」「パウダー」「ブラウン」「ホワイト」の四種類があり、目的に合わせて購入することが可能だ。また、1袋あたり200g入っている。専用のオンラインショップもある。
その3.OUTBACK HARVEST「TEFF」
こちらのTEFFは、オーストラリアの農家であるOUTBACK HARVESTが生産・販売しているテフである。テフの専業農家であり、ブラウンとアイボリーのテフを販売している。また、それぞれ穀粒タイプと粉末タイプを用意している。1パック400gと容量が多いのも特徴となっている。
結論
スーパーフードとして注目を集めているテフは、クレープ状の「インジェラ」にして食べたり、沸騰したお湯で3分ほど茹でてサラダに和えたり、米1合に対してテフを大さじ1杯混ぜて炊いたりするのもいいようだ。テフを混ぜることで栄養価が高くなるので興味があるなら試してみよう。
【参考文献】
- ※1:日本スーパーフード協会「2016S/Sトレンド予測【第1弾】 ニューフェイススーパーフード ランキングTOP10」
https://www.superfoods.or.jp/ - ※2:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm - ※3:シドニー大学「GI FOODS ADVANCED SEARCH」
https://www.glycemicindex.com/foodSearch.php?num=2700&ak=detail - ※4:U.S. DEPARTMENT OF AGRICULTURE「FoodData Central」
https://ndb.nal.usda.gov/fdc-app.html#/food-details/169747/nutrients