1. 大根は部位によって味が異なる
大根の辛さや甘さ、歯ごたえなどは部位によりやや異なる。まずは、大根に関する基礎知識から身につけていこう。
部位で味が異なる理由は?
これには3つの要素が関係している。1つ目は辛みをもたらす「イソチオシアネート(※1)」で、部位によって含有量に差があるのだ。また揮発性があるため、時間を置くと辛さが抜けてしまう。2つ目は「水分」の含有量で、同じく部位によって差がある。水分が多いとイソチオシアネートの刺激がやわらぐため、甘みを感じやすくなる。
そして3つ目が、歯ごたえの違いをもたらす「繊維」である。やはり部位によって量が異なり、多い部位や育ちすぎて筋張った肉質は苦みを感じやすいといった特徴がある。なお大根の繊維は縦に通っていて、繊維に沿っておろしたり切ったりすれば筋が残り、水が分離しやすい。繊維を断ち切るように調理すると食感が良くなり、水分も逃げにくい。
大根の葉がついている方を上部、根の方を下部として、部位別の味の特徴を見ていこう。
そして3つ目が、歯ごたえの違いをもたらす「繊維」である。やはり部位によって量が異なり、多い部位や育ちすぎて筋張った肉質は苦みを感じやすいといった特徴がある。なお大根の繊維は縦に通っていて、繊維に沿っておろしたり切ったりすれば筋が残り、水が分離しやすい。繊維を断ち切るように調理すると食感が良くなり、水分も逃げにくい。
大根の葉がついている方を上部、根の方を下部として、部位別の味の特徴を見ていこう。
2. 大根おろしに適した部位
大根おろしは、甘めが好きな方もいれば辛みが強いほうがよいという方もいる。好みによって適した部位が変わるため覚えておこう。
甘めが好きな方は上部
大根の上部で葉に近い部位は、辛みが弱く肉質はみずみずしい。大根おろしにした際に、自然な甘さを感じることができる部位だ。
辛みが強いほうが好きな方は下部
一方、大根の下部にはイソチオシアネートが多く含まれているため辛みが強く、繊維も多い。ピリッと辛さの利いた大根おろしが好きな方は、下部をおろすとよいだろう。
3. 大根の煮物に適した部位
続いて、大根の煮物を作りたいときに適した部位を見ていこう。
バランスのよい中央部分がおすすめ
中央部分は辛みが弱く肉質もやわらかい。甘みと辛みのバランスがよく太さもそろっているため、大根の食感や味わいをそのまま楽しみたい料理に向いている。具体的には、大根をメインにした煮物、おでんや鍋、大根ステーキを作りたいときなどに適した部位だ。
照り煮であれば下部もおすすめ
大根の下部は辛みが強い部位だが、同時に水分量が少ない部位でもある。そのため味が染み込みやすいといった特徴があり、照り煮を作りたいときなどにおすすめだ。そのほか、切干大根や味噌汁の具などにも大根の下部が適している。
4. 大根サラダに適した部位
生で食すなら、みずみずしさやほどよい甘さがポイントになってくる。どういった部位が適しているか見ていこう。
サラダや野菜スティックには上部がおすすめ
お伝えしたように、大根の上部は辛みが弱い部位である。水分が多く含まれており、肉質がみずみずしいといった特徴もある。そのためサラダや野菜スティック、酢の物など生食にする際に適した部位であると覚えておこう。
大根の葉っぱも余さず使おう
鉄分やカルシウムといったミネラル(※2)、食物繊維(※3)、ビタミンC(※4)など栄養素が多く含まれているのが大根の葉っぱだ。味噌汁、炒めもの、お浸しなどいろいろ使える部位なので、ぜひ余さず使い切ろう。
5. 大根の選び方と処理方法は?部位以外にもポイントがある
大根の部位による味の違いを知ることも大切だが、選び方や処理方法も覚えておこう。
美味しい大根の選び方
育ちすぎていないか、水分を保持できているかを意識しよう。皮にハリやツヤがあって、持った感触がずっしりと重いものを選ぶとよい。カットされているものは断面を見て「ス」が入っていないかをきちんと確認しよう。スとは内部が割れてできた亀裂(空間)で、主に成長しすぎた大根に見られる症状である。
また葉つきのものは鮮度の見極めには助かるが、葉をつけたままだと養分を吸われてしまうため、ほかの部位根の水分が不足してしまう。切り落としてから保存するようにしよう。
また葉つきのものは鮮度の見極めには助かるが、葉をつけたままだと養分を吸われてしまうため、ほかの部位根の水分が不足してしまう。切り落としてから保存するようにしよう。
大根の切り方と皮むきのコツ
繊維に沿って切るか、断ち切るかの2通りある。繊維に沿って切ると切れ目はキレイになる。歯ごたえを残したいときには繊維に沿って切るとよいのだが、繊維が多い大根では苦く感じることがある。繊維を断ち切ると見栄えはあまり良くないが、やわらかく煮たい場合には早く仕上がる。
また皮のむき方もポイントとなる。筋は皮の下に多いため、煮物などのようにやわらかく調理したときは、厚めに皮をむかないと繊維が残って苦みを感じることがある。
また皮のむき方もポイントとなる。筋は皮の下に多いため、煮物などのようにやわらかく調理したときは、厚めに皮をむかないと繊維が残って苦みを感じることがある。
大根の煮物を作る場合の処理方法
切る段階での処理ポイントが3つある。1つ目は、筋を取り除くために皮を厚くむくことだ。2つ目は、煮崩れを防ぐために面取りをすることである。面取りとは、切り口の角を浅く削るように切り落とすことをいう。煮ている最中に大根同士がぶつかって崩れないようにする工夫である。
3つ目は、味の染み込みをよくするために「かくし包丁」を入れることだ。裏側に十文字に切れ目を入れておくと、中心部まで熱が通りやすくなる。煮る前には下茹でをするが、昔から米のとぎ汁が使われてきた。米のとぎ汁によって苦みや臭みを抑えられるとされているためだ。
3つ目は、味の染み込みをよくするために「かくし包丁」を入れることだ。裏側に十文字に切れ目を入れておくと、中心部まで熱が通りやすくなる。煮る前には下茹でをするが、昔から米のとぎ汁が使われてきた。米のとぎ汁によって苦みや臭みを抑えられるとされているためだ。
刺身のつまやなますを作る場合の処理方法
大根をかつらむきにしてから繊維に沿って細く切っていくと、切断面がきれいに仕上がる。少し厚めの千切り、いわゆる「千六本」にしよう。味噌汁の具など火を通して味わう場合には、薄く輪切りにしたものを千切りにしていくことで、繊維を断ち切れる。やわらかく煮上がるため、とろっとした食感を味わうことができるだろう。
厚くむいた皮も、捨てずにきんぴらにすると歯ごたえを活かした一品となる。大根の部位による味の違いとあわせて、こうしたポイントもぜひ知識として身につけておこう。
厚くむいた皮も、捨てずにきんぴらにすると歯ごたえを活かした一品となる。大根の部位による味の違いとあわせて、こうしたポイントもぜひ知識として身につけておこう。
結論
大根は部位によって味わいも肉質も異なるが、葉から先端まで余すことなく使える野菜である。作りたい料理によって辛さの強さは長所にも短所にもなるが、大根の性質を理解していればより適切な部位を使って料理を作ることができるようになるだろう。
(参考文献)
※1:今月の園芸特産作物: 10月 だいこん:北陸農政局(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201610.html
※2:ミネラル _ e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html
※3:食物繊維の必要性と健康 _ e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※4:ビタミン _ e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
※1:今月の園芸特産作物: 10月 だいこん:北陸農政局(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201610.html
※2:ミネラル _ e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html
※3:食物繊維の必要性と健康 _ e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※4:ビタミン _ e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html