1. 立食パーティーとは
企業のレセプションパーティーや異業種交流会、結婚式の二次会、同窓会......。ビジネスシーンでもプライベートなシーンでも、何かと招待される機会のある立食パーティー。座ってコース料理を楽しむレストラン形式の食事会に比べるとカジュアルなイメージが強いが、実は様々なマナーが存在していることを忘れてはいけない。料理は自分でサーブするビュッフェ(buffet)形式だ。英語圏では「buffet」や「buffet party」と言えば立食パーティーだというニュアンスが伝わる。他にも「cocktail party」 や「reception」などと呼ばれることもある。ちなみに日本ではビュッフェ形式と同じように使う「バイキング」形式があるが、この「バイキング」は外国では通じないので覚えておこう。
なぜわざわざ立食にするのか
日本の立食パーティーは海外に比べたらさほど盛んではない。そのせいもあってか日本人の中には「立食パーティーが落ち着かない」「苦手だ」という人も多い。しかし、そもそも立食パーティーは落ち着いて飲食を楽しむものではなく、会場内を自由に歩き回り、いかにたくさんの人と交流するかということに重点を置いている。また、座っての食事会よりも料理や飲み物をサーブするスタッフが少なくて済むため、コストを減らすことができるのも利点だ。
2. 立食パーティーのマナー 服装~パーティー開始まで
服装について
招待状にドレスコードの記載がない場合、ビジネスシーンであればセミフォーマルからインフォーマル・ビジネスカジュアル、プライベートなシーンであればビジネスカジュアルからスマートカジュアルが適していることがほとんどだ。迷った場合は主催者に確認したり、会場に問い合わせしてみても良いだろう。有名ホテルやレストランであれば、ホームぺージのインフォメーションに記載されていることもある。ネクタイをするかしないか迷った時は持って行き、使わなければクロークに預けておこう。アパレル系のパーティーなら、そのブランドのものを1~2点身に着けていると喜ばれる。
会場に着くまでに
立食パーティーの目的は飲食を楽しむことではないため、空腹だからといって食べたり飲んだりばかりしているのはスマートではない。パーティーの間に空腹感に襲われそうな場合は、会場に着く前に何か食べておいた方が賢明だ。
会場に着いたら
カバンや上着など、邪魔になりそうなアイテムをクロークに預ける。会場内に荷物を置くような場所はなく、持って歩くのは貴重品やハンカチ、名刺程度だと思っておこう。名刺はプライべートなシーンでも持っておいた方が何かと便利なため、忘れずに。会場に着くのはパーティー開始の20~10分前程度が理想だ。パーティーが始まると主催者は忙しくなることが予想されるため、それまでに長話にならないよう挨拶を済ませ、手土産がある場合は渡して置くと良い。
レディファーストを心がける
「エレベーターでは扉を押さえ先にのせる」「エスカレーターの上りでは原則後に、下りでは先に乗る」「ドアを開けて道を作る」など、嫌味なく自然に出来ると素晴らしい。
3. パーティー開始!料理の取り方・食べ方
- 列を乱さない...右から左へと時計回りに進むのがルール。逆方向へ回ったり、横入りはしてはいけない。
- 料理の順番...多くの料理が並んでいるが、前菜→スープ→メイン→デザート→コーヒ・紅茶......というように、コース料理と同じ順番で取るべき。
- 皿への取り方...盛り付けを崩さないようにサーバーで取る。山盛りにするのは見た目も悪く、移動中に落としやすい。1度に取るのは1~3品までに抑えよう。温度や水分量に差のある料理を同じ皿に乗せるのも望ましくない。人の分まで持っていくのもマナー違反である。
- 皿・グラス・カトラリーの持ち方...握手を求められることもあるため、皿もグラスも左手で持つのが理想。親指と人差し指で支えつつグラスの底を皿の縁に置き、皿は残った中指・薬指・小指で底を押さえるようにする。カトラリーは中指と薬指の間へ。ただしこの持ち方は慣れていないと辛いものがある。不慣れなら無理をせず普通に持ち、会話をするときは近くの食事用テーブルに置いた方が無難だ。冷たい飲み物を入れるとグラスの表面に水滴がついてしまうので、手で持つ下部分を紙ナプキンで巻いておくと、水滴の落下防止や滑り対策にも。
- 皿は何枚使っても良い...再び料理を取りに行く時は、同じ取り皿を使わない。使い終わったものは食事用のテーブルに置いておくか、スタッフに渡す。
4. パーティー開始から帰るまでの立ち居振る舞い
スピーチが始まったら
料理もグラスもテーブルに置き、飲食はやめる。
乾杯の仕方
立食パーティーに限らず、目上の人と乾杯する時は自分のグラスをやや低い位置にするのが望ましい。よりフォーマルな場ではグラス同士を合わせて音を立てるのは不作法とされることもあり、グラスを掲げた後、周りの人を目礼をする程度で良い。シャンパングラスのような薄く繊細なガラス細工の物も、破損の原因となるためぶつけないように。ただし相手が音を立てる乾杯を求めてきてしまった場合は、この限りではない。
人と会話するときは
皿はいったんテーブルの上に置いた方が良く、名刺交換をする時は必ず両手で。騒いだり不快な話題はもってのほか。
居場所
ひとつの場にずっと居たり、同じ仲間とばかりいるのは好ましくない。料理のテーブルの周りで話し込んだり、入口や通路を塞ぐのも厳禁。料理を取り分けたら速やかに食事用のテーブルや離れた所へ行くように。壁際や端の方に椅子やソファが用意されている事もあるが、それらは年配の方や体調が悪くなったり体力が少ない人用に準備されているものなので、基本的には座らないくらいの覚悟で居た方が良い。
帰る時
主催者に御礼を言ってから帰るのがベスト。主催者が忙しそうで伝えられなかった時は、後日でも手紙や電話等で伝えると丁寧。
結論
気軽なイメージの強い立食パーティーだが、意外とたくさんのマナーがあるのがおわかりいただけたのではないだろうか。人とのコミュニケーションに重点を置く形式だからこそ、スマートなマナーを身に着けて、より楽しい場にしたいものである。