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味付けの東西差?「だし」と「つゆ」の違い

味付けの東西差?「だし」と「つゆ」の違い

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2020年2月11日

有名カップラーメンは関東、関西で出汁の味が違うことを知っている人も多いだろうか。料理の基本「だし」だが、関東と関西では大きく異なっている。歴史や郷土色も混ざった出汁文化。この味の違いは、一体どこから生まれた物なのだろうか?

  

1. 「つゆ」と「だし」の違い

関東ではだし汁のことを「つゆ」「おつゆ」と言うことがある。
一方の関西は「だし」だ。名称が違うし、その意味するニュアンスも異なっている。

意味合いの差

両者ともに素材からとった「出汁」そのものではなく、そこからさらに味をつけたもののことだ。まずは関東の「つゆ」だが、見た目の色が濃く、しょう油でしっかり味付けしたもののことを言う。一方関西の「だし」は見た目の色が薄くて、素材からとった出汁そのもののような色だ。塩かしょう油を風味付け程度に入れただけのことが多い。

味付けのしょう油が違う

関東の「つゆ」の色が濃いのは味付けに濃い口しょう油を使っているからだ。濃い口しょう油は万能しょう油で、しっかりした味わいから様々な料理にそのまま使うことが出来る。かけ、つけ、煮物から焼き物まで使え、そのしょう油でつゆそのものにしっかり味をつける。一方、関西の「だし」には薄口しょうゆが使われている。濃い口の味と香りを抑えてあっさりさせ、素材本来の味を活かす味わいだ。

2. 関東の「つゆ」文化

両者に味わいの差があるのは、だしがうまれた時代背景や地域による特色が大きかった。

素材は「かつおぶし」

しっかりと魚の香りが効いた鰹節の出汁がベースの関東つゆは、魚の味に負けないようにしょう油を上手に使ってパンチのある味わいに仕上がっている。鰹節のうま味はもちろんあるのだが、しょう油そのものの味や香りもぶつけて味付けするのが特徴だ。実は関東は昆布に頼らない出汁の取り方を工夫する必要性があったのだ。

江戸時代の運搬事情

だし文化の発達した江戸時代、昆布は名産地の北海道から太平洋経由で関東へ運搬するのが困難だった。さらに、関東の水はどちらかといえば「硬水」のため、昆布だしが上手く取れないという地域条件が重なってしまった。昆布は軟水で出汁を取らないと生臭みが出やすくなる。このため出汁のベースに昆布以外を選ぶ必要があり、鰹節に濃い口しょう油のうま味を足した現在のスタイルになったのだ。

3. 関西の「だし」文化

京料理が特に顕著だが、関西では「だし」が命。だしそのもので
料理の全てが決まると言われる。素材を活かした味付けを好むため、だしは料理の引き立て役として重宝されている。

しょう油の味は脇役

関西だしは主に昆布を使い、煮干しや鰹節も併せて使われる。勝負は「出汁」で決まり、塩や薄口しょう油はあくまで風味付けに留まる。日本海経由で関西へ入る良質の昆布が味の決め手だった。関東の「つゆ」が付けダレ的なイメージで麺と絡めて食べる物だとすれば、関西の「だし」はスープのように全て飲み干せるイメージだろう。

まろやかな軟水

全体的に軟水と言われる日本の水の中でも、関西は特に軟水だ。ミネラルが少ないため、昆布だしがとりやすく、これも昆布が重宝された理由のようだ。昆布の旨味が十分出れば、しょう油は最低限で済む。あえてすっきりした味わいにするため、しょう油は薄口が選択されたのだろう。

結論

日本人の舌は「旨味」に敏感だ。このため、旨味の素である「イノシン酸」、「グルタミン酸」が合わさった味を一番美味しく感じるのだそうだ。関東のつゆは「鰹節(イノシン酸)」+「濃い口しょう油(グルタミン酸)」の合わせ技、そして関西のだしは「鰹節(イノシン酸)」+「昆布(グルタミン酸)」である。化学的な証明が特にされていなかった時代から、人々はその土地で利用できる食材を上手に使って一番美味しい味を作り上げてきたのだ。
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  • 公開日:

    2018年5月 6日

  • 更新日:

    2020年2月11日

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