1. 茶托の基礎知識

■茶托って何?
お茶を出された際に、お茶の下に敷いてある受け皿を見たことがあるという人は多いかと思う。いわゆるあれが、茶托(ちゃたく)と呼ばれているものだ。来客として他所の家庭にお邪魔した時や、お店などで見かけることは多いかと思うが、日常生活の中では茶托を使う機会はなかなかない。その理由は、茶托は訪れてくれたお客様におもてなしをするという意味で使われているからだ。
■茶托を使ったお茶出しのマナー
茶托を使ってお客様にお茶出しをしているが、そのマナーが間違っているという人は意外と多い。もちろん、おもてなしにおいて一番大事なものはその心だが、きちんとしたマナーでお茶出しをしようという心構えも、おもてなしの心のひとつだと言える。お茶出しの場合、コーヒーなどとは違い、茶托と湯飲みをそれぞれ別にしてお盆に乗せる。それをお客様のいる入り口付近におろしてから、茶托の上に湯飲みを乗せてお客様の前に差し出す。「どうぞ」と一言声をかけ、手に取りやすいように、少し右側に出すこともポイントだと言えるだろう。
■茶托とコースターの違いとは
飲み物の入った器の下に敷くというと、コースターを思い出す人も多いだろう。喫茶店やカフェで冷たい飲み物を注文すると、コースターの上にグラスを乗せて出てくることが多い。基本的に、飲み物の下に敷くものという意味では茶托もコースターも変わらない。冷たい飲み物を出す場合、結露した水が流れてしまう場合があるため、コースターを敷かなければテーブルの上が濡れてしまう。そのためのものがコースターだ。冷たい飲み物を出す際に使用するのがコースター、温かい飲み物を出す場合に使用するのが茶托といった違い以外にも、当然和洋の違いもある。
2. 茶托の種類

■茶托のサイズと色
基本的な茶托の大きさは四寸(12cm)サイズのものが目安となる。また、蓋付きの湯飲みに使用する場合は四寸五分(13.5cm)のものが良いだろう。必ずこのサイズでなければいけないということは決してないが、やはり湯飲みとのバランスの良い大きさの茶托を揃えるのが正解だ。茶托の色は黒系統のものが多く、黒系統の色であれば仏事、祭事共に使用できるためおすすめだ。祭事に使用できる赤や朱色のものも人気だが、仏事には使用し難い。
■便利な小判盆
茶托とは少し違うが、小判盆やもてなし盆と呼ばれる、お客様の前にそのまま出せるお盆もある。例えばその上にお茶と茶菓子を乗せて一緒に出すのにも使えるし、おしぼりなども一緒に乗せて出せば、お客様も喜んでくれるだろう。また、小判盆は料理を乗せることで、家庭でも和の雰囲気のある食事を気軽に楽しむことができる。
3. 茶托の選び方

■基本的には湯飲みに合わせて選ぶ
先ほども少し触れたが、茶托を選ぶ際は湯飲みに合わせて選ぶのが正解だ。小さく軽いタイプの湯飲みには錫(すず)製の茶托、薄手の湯飲みには漆(うるし)塗り、陶器製の湯飲みには木製の茶托などを合わせると良いだろう。
■季節によって茶托を選ぶ
茶托の中には夏にぴったりな涼しげなデザインのものもある。特に夏は暑い中訪ねてきたお客様に、冷たいお茶などを出す機会も多いだろう。そんな時にはガラス製の湯飲みに冷たいお茶を入れ、網目のデザインの茶托に乗せると涼しげでおすすめだ。
結論
このように茶托というものは、和のおもてなしのひとつだと言える。お客様が訪ねてきたから機械的にお茶を出すのではなく、この茶托を使えばお客様が喜んでくれるかもしれない、この湯飲みにはこの茶托がぴったりだなどと、お客様にお茶を出すという行為を楽しみながらおこなうことで、相手にもおもてなしの心が伝わる。そのための茶托と言えるのかもしれない。