1. ウスターソースの歴史
日本で揚げ物や粉物、焼きそばに使われているのはいわゆる
「ウスターソース」である。中濃・とんかつ・お好み各ソースもウスターソースの範疇に入るのだ。
「ウスターソース」である。中濃・とんかつ・お好み各ソースもウスターソースの範疇に入るのだ。
発祥はイギリス
ウスターソースの誕生は、19世紀半ば、イギリスの外交官が赴任先のインドで食べたソースの味が忘れられず、ウスターシャー州の夫婦に再現を頼んだのがきっかけだった。夫婦は樽にソースを仕込んだもの、長期間放置してしまった。しかし数年間熟成されたソースは結果的に素晴らしい状態に仕上がっていたのだという。これがイギリスのウスターシャー州で作られたソース=ウスターソースの始まりである。
日本には明治時代に伝来
明治時代の洋食ブームと共に日本国内でも独自のウスターソース製造が開始した。日本人の味覚に合うようスパイスや甘味の調整が行われ、次第にソースの濃度や味わいが複雑化。こうして「中濃」や「とんかつ」といった種類が作られていったのだ。
2. ソースの種類
JAS規格によるウスターソース類の定義は、「野菜若しくは果実の
搾汁、煮出し汁、ピューレー又はこれらを濃縮したものに砂糖類、食酢、食塩及び香辛料を加えて調整したもの」、「これにでん粉、調味料等を加えて調整したもの」とある。
搾汁、煮出し汁、ピューレー又はこれらを濃縮したものに砂糖類、食酢、食塩及び香辛料を加えて調整したもの」、「これにでん粉、調味料等を加えて調整したもの」とある。
ウスターはサラサラ
ソースを分類する基準は濃度だ。ウスターソースの濃度は0.2pa.s(パスカル秒)未満、サラダオイルより少し粘りが強い程度。
野菜や果実のパルプ質を濾過しているのでサラリとしており、一番スパイシーな辛口であることが多い。塩分もやや多くしっかりした味だ。西日本で愛用される傾向にある。
野菜や果実のパルプ質を濾過しているのでサラリとしており、一番スパイシーな辛口であることが多い。塩分もやや多くしっかりした味だ。西日本で愛用される傾向にある。
中濃ソース
ウスターソースと濃厚ソースの中間。ほどよいとろみ、スパイスが効きつつ甘みのある味わいで、常備これ一本という家庭も多い。
関東以北は中濃ソースの使用頻度が高い。
関東以北は中濃ソースの使用頻度が高い。
濃厚ソース
いわゆるとんかつソース、お好み焼きソースのこと。関西では濃厚ソースの種類が大変多く販売されている。
粘度は2.0pa.s(パスカル秒)以上と、シャンプー並みのとろみである。野菜や果実の甘みが際立ち、酸味やスパイスは抑えられている。
粘度は2.0pa.s(パスカル秒)以上と、シャンプー並みのとろみである。野菜や果実の甘みが際立ち、酸味やスパイスは抑えられている。
3. ソースに合うあれこれ
それぞれのソースには甘口・辛口と、とろみによる味わいの差がある。
料理の隠し味に
サラッとしたウスターソースはスープや煮物の隠し味に最適だ。少し入れるだけで洋風の味わいをプラスしてくれる。酸味と辛みが強いので入れすぎには注意しよう。中濃ソースなら煮込み料理にコクを与え、ほどよい照りもつけてくれる。濃厚ソースは具とよく絡むので下味を付けるのに大活躍する。濃厚ソースは別名フルーツソースともいうくらい果実の甘みが効いているので、子供には喜ばれるだろう。
王道の「かける」スタイル
ウスターソースはサラサラしすぎているので、一度に大量にかけないように注意しよう。串カツのように「つける」のがむいている。中濃ソースはキャベツの千切りにピッタリで、粘度が高く流れにくい濃厚ソースはやはりお好み焼きやたこ焼きのような粉物にむいている。関西ではフライや串カツの他、天ぷらにウスターソースをかけることもしばしばだ。目玉焼き、ポテトサラダ、カレーに少し足すのもおすすめである。
結論
ちなみに、ソースには「特級」と「標準」という分類もある。簡単に説明すると、野菜や果実の含有量が定められた規定量より多いと特級になるのだ。世界から見ても日本はウスターソースの種類が多い国らしい。それぞれに異なる味わいを楽しめるのは幸せなことなのである。