1. 関東串揚げ、関西串カツ
大阪では自然に「串カツ」と呼ばれるが、全国的な呼称は「串揚げ」。明確な差や決まりはないものの、各地によって微妙に異なるのが面白い。
定番串揚げは関東圏
定義がないとはいえ、スタンダードな串揚げといえば、ひとくち大に切った豚肉と長ねぎもしくは玉ねぎを交互に串に刺して揚げたものだ。小麦粉・溶き卵・パン粉の順につけて揚げ、千切りキャベツを添えるのが一般的。ソースは上からかけることが多い。名古屋では、愛知ならではの八丁味噌で仕上げた「牛スジ肉のどて煮」を串カツにした「味噌カツ」を食べられる店舗もあるそうだ。
独特!大阪流「串カツ」
本場の新世界エリアでは、大阪らしい串カツが食べられる。基本は串に具が1種類。肉も豚だけでなく牛があり、野菜や魚介とさまざまな種類がある。ステンレスの容器とザク切りキャベツがテーブルに出ていることが多く、この容器の中にソースが入っている。関西圏はほぼこの大阪流串カツが主流だ。
2. 大阪串カツの歴史と文化
大阪で串カツが発展したのは、大阪の歴史と文化に深い関係がある。串カツ元祖の店舗は昭和に入ってすぐに登場していた。
屋台やカウンターで大流行
新世界は労働者が多く、「昼酒上等」のおおらかな気質の街だ。安価でつまみになり、腹も満たせるよう、串に刺して食べやすくした揚げ物は大流行した。豚だけでなく牛、魚介、野菜とリクエストにこたえ、下町名物としてソウルフードに成長した串カツは、今も昔も新世界の人々を魅了している。
安い、早い、食べやすい
大阪の串カツは新世界のスタイルが基準になっているが、価格が低めでとにかく食べやすい。そして、衣・キャベツ・ソース・食べ方などに独特の特徴がある。それは、大勢の労働者が一堂に会す新世界の文化が作り上げたスタイルなのである。
3. 二度づけ禁止!串カツの特徴
大阪串カツの特徴やルールにはきちんと理由がある。もし本場で食べることがあったら、食べ方はきちんと予習しておこう。
元祖の衣は分厚い
今では薄い衣も人気のようだが、もともと串カツの衣は分厚めである。具はひとくち大で小さく、パン粉は極細目で滑らかだ。理由は、大量の客に出すために衣つけの手順を省いたことと、揚げ時間短縮のためだ。小麦粉・卵を一緒にしたバッター液で衣をつけるが、労働者の空腹を満たすために分厚く衣をつける。ほおばりやすいように口当たりのいい極細目のパン粉にしているのも配慮である。
二度つけ禁止
いちいちソースをかけるのでは面倒くさい。そのため、卓上のステンレス容器に入ったたっぷりのソースに「どぼづけ」する。多くの人がつけて食べるため、衛生上、ソースは口をつける前の最初の一度のみとしている。大阪はお好み焼きやたこ焼きには濃厚ソースを使うが、串カツには基本的にさらりとして辛口のウスターソースを使うことが多い。配合が企業秘密の店もあるようだ。
キャベツの形
千切りではなく、大きめのざく切りキャベツ。実はソースをどうしてももう一度つけたくなった時は、このキャベツをスプーンのようにしてソースをすくい、カツにつけるという裏技を使うのだ。ほとんどのお店でキャベツはお代わり自由である。
結論
関西以外では馴染みのない「串カツ」。家庭で屋台の気分で串カツパーティーをするのも面白い。サイズはひとくち大なので子供にも食べやすい。うずらの卵や魚肉ソーセージ、ピーマンなど、自宅で屋台ごっこをしてみよう。ざく切りキャベツも欠かせない。もちろんソースは二度づけ禁止である。