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どんなものが食べられている?各地の夏至グルメとは?

どんなものが食べられている?各地の夏至グルメとは?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2021年1月28日

関西では「タコ」、奈良では「半夏生(はんげしょう)餅」、福井では「焼きサバ」、讃岐では「うどん」。田植えが終わる夏至から半夏生のころに各地で古くから食べられてきたものである。田植えを終えるこの時期だからこそ食べられてきた夏至グルメに迫る。

  

1. タコやうどんを食べる

関西では、旬を迎えて栄養価の高いタコを夏至から半夏生(はんげしょう)に食べる風習があり、スーパーでもタコの売り場が拡大されるところがあるほどだ。讃岐地方でも同様に、半夏生にうどんを食べる習慣があるのだとか。

半夏生とは、二十四節気を補助する役割で作られた日本独自の暦である雑節の1つで、夏至から数えて11日目にあたる日からの5日間をいう。夏至も毎年日付が変わるため、半夏生も年によって違っており、おおよそ7月1日や7月2日頃に始まる。

雑節は、農家が農業の開始時期や節目などを知るために、季節の移り変わりを正確に理解する目的で作られたという背景があり、夏至から半夏生の間に田植えを終わらせることができなければ、収穫が半分になると言い伝えられてきたとされる。そのため、半夏生までに田植えを終わらせ、豊作を祈る祭りを行うことが多かったようだ。田植えを終えた作物が、タコの8本の足のようにまた吸盤が張り付くように、地面にしっかりと根を張って、たくさんの吸盤のごとく稲穂がたっぷりと実ることを祈願し、タコを神様への供物としたことに由来するという。

また、讃岐地方ではこの頃に収穫されてきたのが小麦であったため、田植えや麦刈りが終わった半夏生の頃には、労をねぎらう意味を込めて昔からうどんを振舞う風習があるのだという。ちなみに、香川県製麺事業協同組合が、1980年(昭和55年)に7月2日をうどんの日に設定している。

2. 半夏生餅を食べる

奈良県の平坦部である大和盆地にも、田植えが終わる夏至から半夏生の時期に食べるものがある。農家では「半夏生餅」とよばれる餅をつき、田の神様に捧げて豊作を祈るとともに、田植えが無事に終えられたことを神様に感謝しながら半夏生餅を食べる風習がある。県民俗博物館の資料には、古くは室町時代から、奈良県中南部から中西部にかけての地域で半夏生餅を作って食す習慣があったと記録されているという。

半夏生餅は、つぶした小麦ともち米とを半量ずつ混合したものをついて餅にするため「小麦餅」ともよばれる。前述した讃岐地方のうどんと同様に、ちょうど収穫を終えたばかりの小麦を使ったのであろうと考えられる。餅米だけをついた餅に比べてねばり気が少なく、麦のツブツブが残った独特の食感と香りを楽しむことができる。半夏生餅は一度にまとめてついて鉢に入れ、しゃもじや箸で少しずつ分けてはきな粉をまぶし、4日~5日かけて食べていたという。
田植え後に豊作祈願の供物を捧げたり、労をねぎらう宴などを開いたりすることを「早苗饗(さなぶり)」ということから「さなぶり餅」という呼び名もあり、奈良県の郷土食であり名物となっている。

3. 半夏生サバを食べる

福井県の内陸地であり岐阜県に接する奥越地方では、半夏生の時期に、「半夏生サバ(はげっしょさば)」とよばれる焼きサバを食べる風習がある。

半夏生サバとは、丸焼きにしたサバのことをさす。江戸時代、当時の大野藩主が農繁期を迎えて疲労していた領民を思いやり、暑い夏を乗り切るために、飛び領地であった越前海岸から運んだサバを丸焼きにして配り、田植えで疲れた身体を癒すために食べさせたのが始まりとされる。この地では、サバの水揚げが非常に多く、年貢として納められるほどであったのだ。

サバには良質なたんぱく質とDHA、EPAが豊富に含まれ、盆地特有の蒸し暑い夏を乗り切るための貴重なスタミナ源として夏バテ防止にも効果があったのだろうと推測される。

半夏生の日には、大野市内のあちこちでサバを焼く香ばしい煙が立ち上がり、魚屋の主人は赤く火照った顔に大粒の汗をかく。県内ばかりでなく県外にも配送することもあり、1日に800本以上も焼き上げるという。ちなみに、「はげっしょ」とは大野弁で「半夏生」のこと。福井では、脂ののったサバを竹串に刺して丸ごと焼き上げる「浜焼き鯖」を年間通じて食べているというが、中でも半夏生の時期に食べる半夏生サバは格別に美味しいそうだ。

大野商工会議所青年部では、半夏生サバのルーツをたどるウォーキングイベントの開催や、焼きサバずしの巨大なモザイクアートでギネス認定を受けるなど、半夏生サバの文化を意欲的に発信している。

結論

夏至から11日目の半夏生は、田植えが終わる大切な時期であり、豊作祈願と田植えの労をねぎらうため、農業地域では田の神様にさまざまな食べ物が供えられ、食されてきた習慣がある。現在では、農作業はしていなくても、それらの料理を郷土食として食べることが多いようだ。
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  • 公開日:

    2018年6月22日

  • 更新日:

    2021年1月28日

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