1. キムチは発酵食品
■キムチは世界でも類を見ない発酵食品
キムチは乳酸菌によってつくられる発酵食品だ。乳酸菌による発酵食品というと、キムチ以外にも、チーズやバター、味噌、醤油、納豆などがある。ただしこれらの食品は、チーズやバターは牛乳、味噌や醤油は大豆と米や小麦と、材料に使われる食品は1~2種類というのが基本だ。しかし、キムチの場合、白菜や唐辛子をはじめとする野菜類、イカやタコなどの海産物、ゴマなどの植物性油など、さまざまな食品が発酵して出来上がった、世界でも類を見ない総合的な発酵食品になっているのだ。
■キムチの発酵の仕組み
キムチに使用されている塩は、野菜に脱水作用を起こさせ、野菜の持っている微生物や酵素に影響を与える。キムチには野菜だけでなく、さまざまな材料が使用されているため、それぞれに含まれている栄養素が塩と相互作用を起こし、微生物の増殖につながっている。さまざまな材料が発酵されていく過程で、人間の体に有害な腐敗菌は死滅していき、逆に体に有益な乳酸菌が増加していくと言われている。こうして増殖した乳酸菌の作用によって、食材がもともと持っている栄養素が、別の有益な栄養素に変えられるため、キムチをはじめとする発酵食品は、優れた栄養食品として世界中から注目されているのだ。
2. 発酵していないキムチとは?
■キムチの作り方
キムチとは本来、「ヤンニョム」と呼ばれる、いわゆる合わせ調味料作りからはじまる。ヤンニョムの配合にはさまざまなものがあり、その組み合わせは無限と言っても過言ではない。ニンジンやニラ、タマネギなどの野菜の千切りに、リンゴやニンニク、ショウガなどの薬味のすりおろし、アミエビの塩辛、米のとぎ汁、ゴマや魚醤などをペースト状にしたものが、使われている。干して塩漬けにした白菜に、ヤンニョムをまぶして発酵させたものが、本来、キムチと呼ばれるものなのだ。
■市販のキムチには発酵させていないものが多い
このように発酵させることによって旨みが増幅し、栄養価も高くなるキムチだが、実は残念なことに、市販されているキムチの中には発酵させていないキムチも多い。そもそもキムチに限らず、漬物全般において発酵させていない「名前だけ」の発酵食品も多い。それではどのようにして、無発酵のキムチが作られているかというと、食品添加物が使用されているのだ。甘味を出すための糖類や果糖ぶどう糖液糖、酸味を出すための酢酸ナトリウム、旨みを出すためのアミノ酸や酵母エキス、色味を出すためのパプリカ色素にカロチノイド色素、粘着力を出すためのキサンタンガムなどなど、さまざまな食品添加物を使って、いわゆる「キムチ風漬物」は作られている。
これらの食品を、キムチの代用品として食べるのであれば構わないが、本来の自然発酵したキムチには、約1億6千万個もの乳酸菌が含まれている。そのような発酵食品として食べるのであれば意味をなさないということは覚えておいたほうが良いだろう。
これらの食品を、キムチの代用品として食べるのであれば構わないが、本来の自然発酵したキムチには、約1億6千万個もの乳酸菌が含まれている。そのような発酵食品として食べるのであれば意味をなさないということは覚えておいたほうが良いだろう。
■発酵キムチの見分け方
現在、市販されている多くのキムチは「キムチ風漬物」だ。その中から発酵させた本物のキムチを見分ける簡単な方法は韓国から直輸入された製品を購入することだ。また、国産のものでも韓国の製法で作られたというものでもいいだろう。
そもそも、なぜ、これほど無発酵のキムチが流通しているかというと、日本でのキムチの定義が広いことにある。本場・韓国では、最低でも4日から5日以上は発酵させたものをキムチと呼んでいるが、日本では、浅漬けもキムチと呼んでいる。本物を手に入れたいのであれば、やはり韓国産のものを購入するのが一番だと言えるだろう。
そもそも、なぜ、これほど無発酵のキムチが流通しているかというと、日本でのキムチの定義が広いことにある。本場・韓国では、最低でも4日から5日以上は発酵させたものをキムチと呼んでいるが、日本では、浅漬けもキムチと呼んでいる。本物を手に入れたいのであれば、やはり韓国産のものを購入するのが一番だと言えるだろう。
結論
キムチは他の発酵食品と比べてさまざまな食材が使用されていることから、豊富な種類の栄養素が含まれている。しかし、発酵させていないキムチ風漬物も多く市販されているため、健康食品としてのキムチを食べたい場合は、発酵されているキムチを選んで購入することが大切なことだと言えるだろう。