1. 肉の色はミオグロビン

牛肉だけでなく肉の赤い色は、ヘモグロビンとミオグロビンが関わっている。これらは、アミノ酸がつながったポリペプチドとヘムが結合しているため、ヘム色素またはヘムタンパク質と呼ばれている。ヘムの中の鉄原子は、酸素と結合したり、離れたりする。
■ヘモグロビンとミオグロビンの特色
ヘモグロビンは血液の色素タンパク質で、酸素の運搬を行なう。また、ミオグロビンは筋肉中の色素タンパク質で、酸素を蓄える働きをしているのだ。肉は枝肉処理の過程で、血抜きを行なうため、肉の色は主にミオグロビンが関わることとなる。
■ミオグロビンの量の違い
ミオグロビンの量は、品種、年齢、性別、運動量、部位によって異なる。運動量の多い動物では、酸素の消費量が多く、酸素を蓄えようとするためにミオグロビンが多く含まれている。そのため、運動量の少ない動物よりも濃い赤色をしているのだ。
2. 酸素で変わる肉の色

ミオグロビンの色は、ヘムの鉄原子と酸素の反応で左右される。
つまり肉は酸素と触れることで色が変化するのだ。
つまり肉は酸素と触れることで色が変化するのだ。
■新鮮な肉の色は?
動物は死ぬと全身に送られていた酸素の供給がストップし、筋肉に蓄えられていた酸素が消費される。そうすると、ミオグロビンに
結合する酸素がなくなることで、肉の色は赤紫色となる。このときのミオグロビンは還元型と呼ばれる。新鮮な塊肉の中心部をみると、赤紫色をしているのだ。
結合する酸素がなくなることで、肉の色は赤紫色となる。このときのミオグロビンは還元型と呼ばれる。新鮮な塊肉の中心部をみると、赤紫色をしているのだ。
■再び酸素と触れることで起こるブルーミング
塊肉をスライスして肉表面が空気に触れると、ミオグロビンが再び酸素と結合する。そうすると赤紫色だった色が鮮やかな赤色に変化する。これを酸素化またはブルーミングと呼ぶ。店頭に並ぶ肉が色鮮やかなのは、ブルーミングによるものだ。その一方で、スライスしたときに肉が重なり合って酸素と触れなかった部分は、赤紫色のままのことがある。
■時間経過とともに酸化していく
ブルーミングによって鮮やかになった肉の色は、時間が経つにつれて褐色に変化する。これは、ミオグロビンの酸化によるものだ。
これを酸化型またはメト化と呼ぶ。鮮度の落ちた肉の指標ともなる。また、加熱によって肉の色が褐色に変化するのも、ヘムが酸化され、またタンパク質が変性した結果である。
これを酸化型またはメト化と呼ぶ。鮮度の落ちた肉の指標ともなる。また、加熱によって肉の色が褐色に変化するのも、ヘムが酸化され、またタンパク質が変性した結果である。
■ハムが色鮮やかなのは?
ハムやソーセージは、時間が経ってもピンク色をしている。通常ならミオグロビンが酸化して褐色に変色するのだが、食品添加物の
亜硝酸塩などを加えることで安定したニトロソミオグロビンに変化し変色を防いでいる。
亜硝酸塩などを加えることで安定したニトロソミオグロビンに変化し変色を防いでいる。
3. そのほかの条件でも色の変化が起こる

牛肉などは、部位に分けて解体されると冷凍されることがほとんどだ。冷凍肉は-25℃で保管されるが、スライスするなど切り分ける場合は、-5℃まで解凍して切りやすくする。肉の保管温度が-18℃よりも高くなると色の変化が起こるといわれている。また、赤身肉は色素タンパク質を含む量が多いため、他の部位に比べて褐変が早く起こることがある。
肉の色の変化にはさまざまな条件が関わっており、色が黒いからといって食べられないわけではない。しかし、肉が重なり酸素と反応する前で色が黒いのか、酸化しているのかは判断しにくい場合もある。肉の色が変色していたら、ドリップの有無や匂いなどの要素も確認してから使うようにしたい。
肉の色の変化にはさまざまな条件が関わっており、色が黒いからといって食べられないわけではない。しかし、肉が重なり酸素と反応する前で色が黒いのか、酸化しているのかは判断しにくい場合もある。肉の色が変色していたら、ドリップの有無や匂いなどの要素も確認してから使うようにしたい。
結論
牛肉を含む肉は、酸素の有無で色が変化する。新鮮な肉でも肉が重なって酸素と触れないと、色が暗赤色のままのことがある。
その場合は、食べることができるが、酸化したことで変色した肉との判断がつきにくいため注意しよう。
その場合は、食べることができるが、酸化したことで変色した肉との判断がつきにくいため注意しよう。