1. 西洋人参と東洋人参
ふだん目にするいわゆる「ふつうの人参」は、「西洋人参」だ。
金時人参は昔ながらの東洋人参で、日本で販売されている人参はおよそこの2つに分類される。
金時人参は昔ながらの東洋人参で、日本で販売されている人参はおよそこの2つに分類される。
ほとんどが西洋人参
スーパーなどで目にする人参は、ほとんどが西洋人参である。西洋人参には旬が2回あり、4~7月の「春夏人参」と10~12月の「冬人参」がある。冬人参の方が甘みと栄養価が高い。人参の栄養素と言えば「カロテン」が有名だ。カロテンは人参のオレンジ色のもとで、体内でビタミンAに変換される。人参独特の「人参臭さ」や青臭い風味が苦手な人がいるが、実はあの人参の臭いはカロテン由来である。品種改良が進んで独特の臭いはかなり改善されてきたが、あの風味は栄養素の証でもあるのだ。
東洋系の代表が金時人参
西洋人参にはたくさんの品種がある。しかし、東洋系は金時人参・品種名「本紅金時」、ほぼこれのみという代表格だ。別名を京人参というとおり関西で愛された伝統野菜で、色がオレンジ色ではなく紅色に近い。これは、色素がトマトと同じ「リコピン」由来だからだ。一般的な西洋人参にくらべてカロテン=ビタミンAの含有量は少ないが、豊富なリコピンを蓄えている。つまり、あの人参独特の青臭い風味が少ないのである。味が濃くて甘みも強いため、人参嫌いの人でもチャレンジしやすいのだ。
2. 大阪出身のなにわ野菜
関西の正月料理に欠かせない金時人参。その発祥は大阪で、伝統的な「なにわ野菜」のひとつである。
もっとも誇るべき特産品の一つ
1960年刊行の「大阪市農業誌」では、金時人参を「もっとも誇るべき特産品の一つ」と紹介するほどの名品だった。しかし、食生活の変化と栽培の難しさから、大阪市内での生産・流通はほぼ途絶えてしまった。現在栽培は復活しているものの、生産量全国一位は
香川県となっている。人参全体で見てみると、出回る量は西洋人参に比べて極めて少量だ。
香川県となっている。人参全体で見てみると、出回る量は西洋人参に比べて極めて少量だ。
栽培がとても難しい
金時人参は西洋人参に比べて栽培が難しい。金時人参は地中深く伸びるため、美しくまっすぐ伸びるには畑の土質がとても重要になる。深く耕して土が柔らかくないと育たないのだ。市場では、形がきれいで割れていない、まっすぐな人参しか出荷できない。西洋人参は丈が短く扱いやすいし、育つのが早く旬が2回もある。このため農家は生産を西洋人参メインに移行していった。最近はせっかくの伝統野菜を見直そうという動きがあり、生産側も普及に努力している。
3. 煮物に最適!金時人参の特徴
栽培が減ってはいるものの、今でも関西では正月料理の主役に欠かせない。どのような料理をするのだろうか。
甘くて味が濃い
関西圏の人や高齢者は、いまでも西洋人参を「匂いは強いけど味が薄い」ということがあるそうだ。昔ながらの金時人参はそれほど味が濃い。独特の風味はあるものの、カロテン由来の青臭さは弱く、甘みが強い。子どもや人参嫌いにも試してもらいたい味である。
柔らかいのに煮崩れない
正月の煮物に欠かせない理由が、煮崩れしにくいことだ。加熱すると驚くほど柔らかくなるのだが、肉質が緻密で煮崩れしにくい。
このため、花型などで抜いてめでたい料理に花を添えることができる。生だとボソボソと繊維質な食感が気になる人もいるので、人参スティックなどよりは煮物に向いている。
このため、花型などで抜いてめでたい料理に花を添えることができる。生だとボソボソと繊維質な食感が気になる人もいるので、人参スティックなどよりは煮物に向いている。
結論
流通が少ないが、もし正月近辺に見かけたら煮物などで食べてみよう。保存は葉を切り落とし、濡れ新聞に包んで野菜室で逆さまにするといい。地味な色合いの煮物にパッと彩りになる。人参が嫌いな子どもにはかわいい型で型抜きを手伝ってもらい、食べるのにもチャレンジしてもらおう。