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伝統を知ろう!【江戸東京野菜】の種類と選び方・食べ方

伝統を知ろう!【江戸東京野菜】の種類と選び方・食べ方

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 南城智子(なんじょうさとこ)

鉛筆アイコン 2021年5月25日

高層ビルが林立するメガシティ東京だが、じつは畑があり、農作物が育っている。江戸から東京へ、時代を超え作られ続ける「江戸東京野菜」。その種類と特徴、選び方について紹介しよう。

  

1. 江戸東京野菜の種類

百万都市だった江戸は、世界にも類を見ない大消費都市だったという。徳川家康が関東に入国し江戸の町づくりが始まると、合わせて江戸への人口大移動が起こった。急速に人口が集中したことで起きた深刻な食料不足を補うために行われたのが、生鮮野菜の安定生産だ。

「江戸東京野菜」は、江戸期から始まる東京の野菜文化を継承した在来種、または栽培法などに由来する野菜のこと。昭和40年頃(1965年)にかけて東京周辺で作られていた、伝統的な野菜を指す。一時途絶えつつあったが近年復活運動が起き、潤いのある都市生活の一翼を担っている。現在50種近く登録されている中から主な野菜をピックアップしてみよう。

■練馬大根

大きいものは1mほどにもなる大根。関東ローム層の練馬一帯に植えられ、全国へ広がって沢庵漬の材料になった。五代将軍・徳川綱吉が脚気を患い、治療のために訪れた練馬で大根を作らせたのが発祥という伝承もある。

■滝野川大長人参

現在の北区滝野川付近で栽培され、全国に名を馳せた、長さ1mにも及ぶ細長い品種。美しいオレンジ色で香りが強く肉質がしまっている。

■谷中生姜

水に恵まれた土地・谷中で栽培されていた。「盆生姜」ともいわれ、夏の食欲増進のために江戸っ子の食卓に上ったという。

■伝統大蔵大根

江戸時代、豊多摩郡の農民が作り出した「源内つまり大根」が原種。以後、世田谷区大蔵原で栽培されていた円筒型の「源内つまり大根」。葉も豊かに茂り、真っ白な根はみずみずしい。

■亀戸大根

亀戸香取神社周辺で栽培されていた、根が30㎝程度と小ぶり。葉と根を一緒に浅漬けにすると絶品。

■小松菜

江戸時代の小松川村(現在の江戸川区)で生まれた緑色野菜。寒さに強く霜にあたると美味しくなる冬菜で、正月の雑煮には欠かせなかった。

■東京ウド

江戸末期、現在の武蔵野市吉祥寺で栽培が始まり、初物好きな江戸っ子にとって春の楽しみの一つだったウド。第2次世界大戦後から、「室(ムロ)」と呼ばれる地下の穴の中で本格的に育てられるようになり、真っ白でアクの少ない名品に。

■内藤唐辛子

新宿御苑のある場所にかつてあった高遠藩(現在の長野県伊那市)内藤家の下屋敷。その周辺で栽培されていた唐辛子。江戸っ子が好んだソバの薬味などに用いられていた。

2. 江戸東京野菜の旬と特産地

開幕後、江戸には続々と人が集まって来た。そうした人たちの栄養源を確保するために、土地の農民をはじめ関西方面からきた開拓民が野菜作りに取り組んだ。さらには、参勤交代で集まった大名たちも、国元から種を取り寄せて、大名屋敷で栽培させたといわれている。こうして、江戸にはいくつもの野菜の産地が生まれたのである。

江戸の近郊には、東に旧利根川(現在の江戸川)がある水が豊かな低湿地、西北には武蔵野台地が広がり、それぞれの自然条件や土壌に合う野菜が栽培された。気候が温暖で水が豊富な葛西領では、セリ、レンコン、ネギ、きゅうりなど。土が深く乾燥した武蔵野台地では、大根や人参、ごぼうなどだ。この他にも、刺身や焼き物の添え物や吸い物の吸い口になる「つまもの」や「芽もの」なども江戸発祥の野菜だという。

千住ネギやごぼう、きゅうりなど、たくさんの野菜が栽培されていた江戸時代。その伝統を受け継ぐ江戸東京野菜は、今も各地の直売所や飲食店などで実際に目にし、買い求めることができる。特産地を巡って、旬の味を探すのも一興だ。

3. 江戸東京野菜の美味しい食べ方

通年安定した供給を目的に改良された一般的な野菜に比べ、昔ながらの伝統野菜は味が濃く、どこか懐かしいような、野菜本来の旨味が感じられる。江戸東京野菜もしかり。実際に口にすると、いつもの野菜と一味違うと感じることだろう。また、旬の時期に出回るものなので、季節そのものの味覚を存分に味わえるのも魅力だ。

たとえば、伝統大蔵大根は世田谷区の篤農家が守り育てているが、毎年12月末頃の一瞬にしか出会えない冬野菜である。豊かに茂った葉ごとずっしり重い白い根は、寒さに甘さが増してじつに美味しい。

青々した葉はサラダやナムル、浅漬け、菜っ葉めし、スムージーにと大活躍。白い根の方は、味が染みやすく煮崩れしにくいので、ふろふき大根、おでん、シチューなどに最適。特にふろふき大根は絶品で、口の中でかすかなほろ苦さと甘さが混然一体となり、ほろほろと溶けていく。

結論

江戸時代から人々の食生活を支えてきた江戸東京野菜。江戸の人々が作り、味わってきた貴重な伝統野菜を、現代でも味わえるのは何とも嬉しい限り。全国的に普及した小松菜以外は、栽培に手間がかかるうえ収穫量は多くはないので、出会えたとしたら即入手を。
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  • 公開日:

    2018年11月16日

  • 更新日:

    2021年5月25日

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